序章2
「ウェルー、早く起きなさーい!」
母親の声が聞こえた。時計を見るとちょうど午前10時を過ぎた頃だった。しかしウェルは眠たいのを理由にその声を無視していた。
ウェルは平凡な村の平凡な家族に生まれた平凡な青年だ。10時まで寝ていたのは今日は学校が休みの日だからだ。
「ウェルー! ウェルー!」
自分の名前が何回も呼ばれている。だが、ウェルはやはり眠たいので無視を続ける。
「ウェルー! ウェルー! ウェルー! ウェルー!ウェルー!……」
ん?流石におかしいとウェルは、母親が自分の呼び方が異常なことに気づいた。急いでリビングに行くと、自分の家族以外に体格の良い、とても力のありそうな老人が椅子に座っていた。老人はウェルに気付くと、おもむろに席を立ってこちらに近づいてこう言ってきた。
「ウェルくん、私は都立アラド学院の学院長、サーチル=バルトだ。 今日は、君に話しがあってきた」
都立アラド学院とはこの村の東に位置する帝都アラドという町にある少し特殊な学校のことてある。その学院長が平凡な村人であるウェルになんの話があるというのだろうか。
「話?」
ウェルは話が何か全くわからなかったので聞いてみた。
「そうだ、実は君に都立アラド学院に転校して欲しい」
「えっ? 」
今のは何かの聞き間違えだろう。もう一回聞いてみる。
「すいません。 聞き間違えたかもしれないのでもう一度言ってもらえませんか?」
「都立アラド学院に転校して欲しいと言った」
脳がその言葉を理解するのに数秒かかった
「ハァァァァァァァァ!?」
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