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第四話 後半、シエルの奥の手・決着

執筆時間が大幅に減ってしまい、やむなく今回は短いですが投稿しました。よろしくお願いします!m(_ _)m

 八岐大蛇は、全ての頭を俺達へ向けいつ襲いかかろうかとタイミングを伺っている。頭をうねうねと動かし、鋭い龍の眼光が俺達を見据える。


 このままだと埒があかないと分かったのだろう。シエルは仕方なさそうに空を見上げる。その様子から、また何かを隠していたな、と空は確信する。


「空、仕方ありません。これはもっと後で教えようと思っていたんですけど、状況が状況ですので吸血鬼のとっておきを教えてあげます」


「シエルさん……だからさぁ、そういうのがあるのなら、もっと言ってくれって」


「これ使うと、後の反動が半端じゃないんですよ、だから出来れば使いたくないですし、使うとしてもしっかり制御出来てからにしたかったんですよ」


「んなこと言ったって今回ばかりは仕方ないだろ。反動がとんでもなく疲労する、とかなら俺が動けなくなったお前を村まで運んでやるよ」


「本当ですね? 私嘘は嫌いですからね? 空がどんなに疲れて、今にも倒れそうだったとしても、私を運んで下さいよ?」


「分かった分かった」


 シエルは俺から言質をとりニンマリと笑うと、俺の手を握る。


「この状態で魔力を流して下さい。互いの魔力をリンクさせてリミッターを外します」


 俺とシエルは、互いの握ってる手に魔力を込めた。握っている手が淡く発光し、キラキラと美しい粒子が宙に舞う。


 魔力が徐々に高まり繋ぎあっている互いの手に真っ赤な模様が刻まれた。模様は手の甲から腕へ広がり、腕から肩にまで広がる。


 俺達は片腕に紅に輝く模様を刻み、互いの手を離す。俺達から放たれる魔力量がケタ違いに跳ね上がったのを感じたのか、八岐大蛇は若干後退りし俺達を威嚇した。


 俺は攻撃に出ようとシエルにアイコンタクトを取ると、八岐大蛇に向かって走り出す。八岐大蛇は龍の首を俺に突進させ、その巨大な顎門をガバッと開いた。


 大きく鋭利な牙が俺の眼前に迫るが、俺は慌てずに走りながら身体を横に回転させ、ブルートを大鎌に変形させた。遠心力を利用して大鎌を相手の横顔にぶつける。


 大鎌は相手の魔法陣に防がれたが、魔方陣はいとも簡単に砕け、龍の横顔へ深々と刺さり、貫通した。


 貫通された龍の頭は、上顎と下顎に分断され絶命した。龍の頭は力なく地面に落ち目から光を消す。


 八岐大蛇は自分の身体の一部を殺され、怒りを露わにする。


「キシャアアアア!!」


 咆哮を上げ、龍の本体にあたる真ん中の龍に凄まじい魔力量が集まる。魔力は凝縮され、全てを消滅させる光線となり発射された。


 俺は跳躍し光線の範囲から外れ、軌道上にいたシエルは左手を前に突き出す。


滅龍めつりゅう


 シエルの左手にとてつもない魔力が集結し、放たれたそれは一匹の黒龍。八岐大蛇と同等の大きさの龍は顎門を開き光線を飲み込み、八岐大蛇さえも飲み込んでしまおうと迫った。


 八岐大蛇は残りの龍の頭を滅龍の眼前へ集め一斉に光線を照射した。だが、その程度の攻撃で防げるほどシエルのその魔法の威力は弱くない。勢いを殺すことさえ叶わず黒龍が接近する。


 ならばと、八岐大蛇は殆どの龍の頭に魔法陣を展開させ、真ん中の本体を守らせる。魔法陣は黒龍を受け止め、攻撃に耐える。しばらくは何とか防げていたが、それもほんの数秒のことだった。


 魔法陣は破壊され龍頭が滅龍に飲み込まれ消滅した。だが、惜しく本体に届かない。全ての龍頭を失ってしまった本体は無防備の状態を晒す。八岐大蛇は苦しそうに唸り、俺に向かって光線を発射しようとした。


 俺がそんな隙を与えるはずもなく、そこへ追い討ちを掛けるように、上空から落下しながら大鎌を振り下ろす。


「喰らいやがれ化け物!」


 大鎌からドス黒い魔力が溢れ、弧を描き、八岐大蛇の巨体を斬り裂いた。大鎌は八岐大蛇を貫通して地面に突き刺さり、衝撃で地面が揺れ、亀裂が走る。


 ドオンッ!と音が響き地が割れる。そして八岐大蛇を中心に地面が陥没し、クレーターが出来上がった。衝撃で八岐大蛇は身体にポッカリと大きな風穴を空け、地面にまで大穴が空いている。


 八岐大蛇は命を刈り取られ、目から光を失い力尽きた。ピクリとも動かなくなり、シエルは八岐大蛇から魔力が消失するのを確認すると、安堵して地面に座り込んだ。


 俺はシエルの所へ歩いていくと、両手を俺へと突き出すシエルの意図を理解して、ヒョイっとお姫様抱っこしてやる。実はさっきから身体があちこち痛く、力も上手く入らないのでシエルを持ち上げるのも一苦労なのだが……。


 シエルは魔法で八岐大蛇を何等分かに切断すると、使えそうな素材を持てるだけ剥ぎ取って手中へ収める。流石にこの巨体の素材全てを持ち帰ることは出来ないので、勿体無いが本当に必要な素材だけを厳選して持って行くことにした。


 シエルが必要分だけ素材を持つと、俺達はその場を後にした。


 ――――――


 空達がその場を去ってから一、二時間後にシエルの水激により吹き飛ばされていた兵士達がその場に辿り着いた。空の予想を裏切り、空達を追いかけてきていたらしい。

本作を読んで下さりありがとうございます!是非感想や意見お聞かせ下さい!

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