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「おまたせー由香ちゃん! 待った?」
「大丈夫、待ってないよ」
休日、私は優芽ちゃんと出かけることになっていた。優芽ちゃんが私に似合う服を探してくれるのだそうだ。私はそれがとても嬉しくて昨日はあまり眠ることが出来なかった。だって好きな人と出かけるのだ。
「じゃあさ、行こっか」
「うん」
優芽ちゃんは化粧をしている。すっぴんも可愛いが、化粧するとより可愛さが際立つ。道行く人も優芽ちゃんのことをジロジロみたりする。
「もうすぐ夏だし、少しだけ肌出してもいいんじゃない?」
「これ、少しじゃないし……」
優芽ちゃんが差し出した服は少し肌を出すなんてレベルではなかった。私にはこれは着れない、なんて思って断ったが、
「いいじゃん、着るだけ着てみなよ。可愛くなると思うよ?」
なんて言われたので着ることにした。だって好きな人が選んでくれた服だ。
「……うーん、これやっぱり恥ずかしいかな」
私は試着室で下着姿になりながら唸る。うーんどうしたものか。
「由香ちゃんまだー?」
「わ、ちょ優芽ちゃん!」
「んー?」
私が悩んでいると、優芽ちゃんが試着室に入ってきた。私は下着姿のためかなり恥ずかしく、必死に体を隠す。
「そんなに恥ずかしがらなくてもいいじゃん、うりゃー!」
そんな私の様子をみた優芽ちゃんはいたずらを思いついた顔で私に向かってくる。狭い試着室でこんなに近づくともう抱きついているみたいだ。
「ちょっと、優芽ちゃん辞めてよ恥ずかしい」
「女の子同士だしいいじゃん」
良くないのだ。好きな人だから。
「にしても、改めてみるとかなり大きいね」
優芽ちゃんは嫌がる私を無視して胸をじっと見てくる。私はかーっと赤くなる。
「ふにふに」
「ちょ、優芽ちゃん!」
指で胸をつつかれ私は変な気持ちになった。なんだろう、これは。
「可愛いなー」
優芽ちゃんは私の胸をそっと撫でる。私はぞわぞわっと体が震える。恥ずかしい気持ちとは別になんだか違う気持ちが心に芽生えた。
「……ん、どうしたの?」
そんな私の様子に気づいた優芽ちゃんが顔を見つめてきた。
我慢できなかった。
「え、ちょっと由香ちゃん!?」
「…………はぁ」
私は自分の衝動に負け優芽ちゃんに抱きついた。口からは甘い声が出る。もう止められない。後から後から優芽ちゃんに対する気持ちが溢れ出てくる。
「ちょっと苦しいよ。由香ちゃんどうしたの?」
「…………あ、あのね」
私はもういいやという気持ちになった。ここまでやってしまったのだ。
「私、優芽ちゃんが好き」
とうとう、自分の想いを口に出した。