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さらわれた俺は

あ~ここはどこだ。


俺は今、2m四方の壁に囲まれている場所にいる。


特に扉とかは無く四方が壁だ。


確かダンジョンの壁に吸い込まれたよな。


罠に嵌ったか。


ゲームみたいでおもしれ~。


なんて他人事みたいに考えてしまったが、これは俺に起こった現実だよな。


やべ~俺はここで死ぬのか。


あれか、このまま、ここを出られなくて、空腹で死んで、ダンジョンに吸収されるのか。


それも辛いな。


でもあり得る。


ここから出られそうもないし って、考えていると正面の壁が上に動き出した。


ん、出ろって言っているのか。


ダンジョンが。


ま、罠だから仕方がないし、いつまでもここに居てもしょうがないから進むか。


しかしここはどこなんだ。


まさか最下階じゃないだろうな。


いくらなんでもそれだったら死ぬぞ。


そんなことを考えながら、先に進んでいくと光が差し込んでいる出口が見えた。


そこを抜けると目の前は森だった。


振り返ると出口は消えていて、ダンジョンの壁が左右に広がっていた。


上をみやげると、壁はずうっと上までそびえたっている。


何だ、ここは?


ここはダンジョンの中なのか。


それにしては広すぎる。


木は高くそびえたっており、太陽の日を遮っていて、大きな木の下は、あまり植物は育っていない。


だが、枯れたのか解らないが、大きな木が倒れているところには、我先にと植物が密集して大きくなっている場所もある。


まさに大自然だ。


「ん! 」


何か俺の意識が黒い物体をとらえた。


その黒い物体は俺を中心として結構素早く動いている。


目を凝らしてよく見ると、数体いるみたいだ。


しかも、結構な大きさだ。


現れたか魔物が。


ここを出るためにはあいつらをやっつけないといけない。


本当は様子を見たかったが、先に見つけられてしまったのだから仕方がない。


やるか。


そう思っていると正面から一体、黒い物体がゆっくりとこっちに向かってきた。


他の物体は、木と木の間を素早く移動している。


近づいてくる黒い物体をよく見ると、黒いヒョウだ。


上口の牙が長いがサーベルタイガーほどではない。


俺は構えて、様子を見たすると黒ヒョウは口を開けたと思ったら、そこに光が集まり出した。


「グォー」


黒ヒョウが叫んだ瞬間、レーザービームみたいのが俺を目がけて飛んできた。


俺は、素早く身を屈めながら、右に飛んだ。


なんとか避けたレーザービームはダンジョンの壁に当った。


レーザービームはそのまま、壁に吸収された。


は、なんだ、今のは?


璧に吸収されたから威力は解らないが、それでも、当ったらひとたまりもないって解るぞ。


ちょと待てよ。


こんな奴らが何匹居るんだ。


あ、また光が飛んできた。


今度は、ジャンプして躱した。


すると、その動きを読んでいたのか、隠れている黒ヒョウが俺目がけて飛んで来て、右前脚で殴り掛かられた。


俺は、魔法の小手でその攻撃を受けたが、そのまま後ろに吹っ飛ばされ、ダンジョンの壁に激突した。


冗談じゃないぞ。何なんだ。


黒ヒョウは今までのやり取りで、俺の強さを理解したのか、ゆっくりとこっちに向かってくる。


他の黒ヒョウたちは、動きを止めている。


俺が息を整えていると、黒ヒョウはスピードを上げ、俺に飛びかかった。


俺は、右手に風の玉を作り、飛びかかってくる黒ヒョウの下に潜り込み、腹に当てた。


すると白い腹がねじれ、黒ヒョウは口らは液体を吐いた。


だが、黒ヒョウは後ろ脚で俺の腹を蹴り、その勢いで俺から距離を取った。


マジか、あれでもダメか。


こっちはさっきの蹴りで肋骨が何本か持っていかれた。


どうする。


そんなことを考えていると、レーザービームが木の影からいくつも放たれた。


やばい。さすがによけきれない。


レーザービームは俺の左肩や右腿、右腹を貫通した。


痛い。シャレになんない。


俺はこんなとこで死ぬのか。


いや、絶対に死にたくない。


第2の人生、楽しく生きるんだ。


こんなとで死んだら、コンビニで車に引かれたのと同じじゃないか。


せっかく、女の子とも友達になれたのに、こんなとこでは死ねない。


俺に向けて、レーザービームがいくつも飛んできた。


ちくしょう !いちかバチかだ。


俺は、全ての力を解放して、自分で出せる最高出力の青いファイヤーを自分中心に発生させた。


その火は、俺を中心に急速に膨張して、レーザービームを飲み込み、俺の周辺にいる黒ヒョウや森を全てを飲み込んだ。


「はぁはぁは~」


なんとかやったか。


「もう無理。」


俺は、その場に倒れ込んで意識を失った。




「うぅぅ。ここは?」


俺は目が覚めた。


「大丈夫だったみたいね。ビックリしたわよ。死ぬかと思った

んだから。私が。」


「ごめんなさい。あなたが俺を助けてくれたのですか。」


その人の会話がよく解らないが一応、謝った。


「ええ、私は、氷の住人メーテル。ここは安全よ。だから安心して。」


メーテルをよく見ると、氷の様に肌が青白い。


髪も青く、腰まである。


ただ、見た目のみの印象だか、心も冷たそうだけど俺を助けてくれたからきっと優しい人だ。


「助けていただいてありがとうございます。どうして俺を助けたんですか?」


「ここにはたまに、ダンジョンに攫われて、貴方みたいに落ちてくる人がいるの。私もその一人なんだけどさ。」


「え、他にも仲間がいらっしゃるのですか?」


「いえ、居ないわ。ほとんどがあの黒い猫に殺されるか、気をおかしくして死んで逝ったわ。」


あ、黒ヒョウにやられたのね。


「メーテルさんは、いつからここに居るんですか?」


「メーテルでいいわ。私は、もうあまり覚えていないけど千年はここにいると思うわ。」


「え、千年ですか?」


「ええ、ずいぶん昔の話よ。それで、貴方。あれは、貴方がやったの?」


「あれって?」


「ちょっと来て。」


そう言われ、メーテルの後を追った。


「あそこを見て。」


メーテルが指を差した方向を見るとそこには、ダンジョンの壁から扇形に黒く焦げた跡があった。


俺は、高台の上にいるようだ。


しかも、下は、木が鬱蒼と茂っており、俺がいたであろう場所は半径100mの扇型に黒く焦げているような状態だ。


普通、木とかは焦げて残ると思うが、何も無くなっている。


「たぶん。俺です。」


俺は素直に認めた。


「やっぱりそうなのね。」


そう言ってメーテルは先ほどの部屋に戻った。


「メーテルさん、すみません。まだ、名乗っていなかったですね。ユートと申します。」


「そう。あなたは人間じゃないわね。」


「あ~、内緒にしているんですが、俺はヴァンパイアです。」


「あの、ヴァンパイアですか?」


「あのってなんですか?」


「強大な力を持っているが、一子相伝で、さびしい種族。」


「ん、一子相伝?」


「そう。仲間は居なくて、全ての子どもが従属ってこと。ま、私の種族も同じだけどね。」


ん、従属?


「俺が誰かの支配下に置かれているって事?」


「ええ、そうよ。感じたことはない?

誰かに監視されているようなことを」


「特には無いですね。」


「そっか。かくいう私も、ここに来てからそんなことは感じなくなったけどね。」


「それで、メーテルさんは、ここのダンジョンから脱出しないのですか?」


「無理よ絶対に。あなたも戦ったでしょ。あの黒猫と。」


「ええ、戦いましたが、何とか今は生きているし、って。

あ、そう言えば俺、肩と腹と腿を撃ち抜かれたんだっけ。」


「ええ、私がヒールで直しといたわよ。言っとくけど、ここでは、あの黒猫が最弱よ。」


「え、マジっすか。」


「ええ。あなた死にそうになっていたわよね。」


「はい。」


「そんなあなたが、ここを脱出できると思う?」


「あ~ちょうどいいです。俺、強くならないといけないですから。」


「ん、どういう事?」


「戻って魔族と戦わないといけないので。」


「え、魔族?あの魔族?」


お、何回も言い直したぞ。


「そうです。魔族です。メーテルさんは何か魔族のことを知っているのですか?」


「もうメーテルでいいわよ。ついに魔族が地上を取りに来たのね。」


メーテルは親指の先を噛んで考えている。


「どうかしたんですか?」


「いや、もう私には関係ないことだわ。それにここから出られないしね。」


「え、俺は、ここから出ますよ。さっきの戦いで黒ヒョウを数匹やっつけたみたいで、レベルもいくつか上がったみたいだし。」


「あんたね。そんなちょっとLVが上がったからってここを脱出するのは無理よ。」


「いいの。いいの。俺は、ここを出て、地上で待っているあいつらと一緒に魔族と戦わなくちゃいけないから。ありがとうございます。助けていただいて。」


そう言って俺は、先ほど外を見た場所から飛び降りた。


「ちょっと待って」


メーテルの声が響いた。


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