ダンジョンの入口
俺たちはカミルに案内され、今、ダンジョンの入り口付近に来ている。
ここは、冒険者で溢れていて、ごった返してる。
周りには冒険者目当ての出店があったり、薬屋があったりすごい賑やかだ。
「ありがとう。カミル。あとは適当に兵士に聞いたりして調べるよ。」
「ユートさんたちは、どれくらいで戻ってきますか?」
「わからないな、取りあえず、10日間は潜りたいと思っている
。」
「そうですか。それじゃあ、10日後に迎えに来ます。」
「え、何時に戻ってくるか解らないですよ。」
「大丈夫です。暇ですから。」
「カミルがそういうなら別にいいですけど。」
「はい。それでは、みなさんお気をつけて。」
そう言って、カミルは自宅の方に戻って行った。
「ねえ、ユート。10日分の食料を買ってくるね。」
「ちょっと待って。ミラは、食料ね。で、サラは魔力の回復薬を買ってきて。
エルフだから魔力の回復薬を買っても問題ないでしょ。それで、ネロは、迷子になるから俺と一緒な。
俺は、情報収集だ。
それじゃあ、用事が済んだらここで待っててね。それじゃあ、よろしく。」
「ちょっとユーちゃん、どれくらい買えばいいの?」
「5つぐらいでいいよ。どこに売っているかもわからないし、売っている場所が解らなかったら無理に買わなくてもいいからね。ちょっと調べてみて。」
「それだったら、わかったわ。ちょっと調べてみるね。」
「じゃあ、よろしく。」
そう言って俺たちは一旦別れた。
「ユート君、私たちはどこに行くの?」
「ん、とりあえず、入場料を聞きに行こうか。」
「は~い。ユート君に付いて行きます。」
ネロは相変わらずだ。
辺りを見渡すと、兵士が立って警備している場所がある。
たぶんそこで何か聞けるだろう。
「あのぅ、すみません。」
「何だ?」
兵士が反応してくれた。
「ちょっと聞きたいのですが、ここからダンジョンに入れるのですか?」
「ああ、そうだが、チケットは持っているのか?」
「え、チケットってなんですか?」
「ああ、ここは初めてか?」
「はい。初めてです。」
「そうか。チケットはあそこで販売している。」
そう言って兵士は少し立派な建物を指を差した。
「おい、坊主。お前、弱そうだからちょっとアドバイスしてやる。
あの建物の中に受付があるが、その前にPTを集めろ。
それも信用が出来る人を。
じゃないとダンジョンの中で殺し合いになるぞ。」
「え、殺し合いって。そんなに危険なんですか?」
「危険は危険だが。低層では、モンスターの取り合いだ。みんな高い金を払って、魔法の袋を借りて、魔物を詰め込んでいる。
採算を取るために。」
「え、魔物も売れるんですか?」
「坊主は何も知らないんだな。いいか。はっきり言って、宝箱はほとんど低層階じゃ出ない。
だから坊主みたいな初心者の冒険者は、魔物が弱い低層で稼ぐために、PTの人に魔法の袋を持たせ、魔物を狩ったらそれにどんどん入れる。
だが、そう言う新人を痛めつけて、魔法の袋を強奪する冒険者も何人かいる。
本当はダンジョン内での強奪は禁止になっているが、なかなか
取り締まるのも難しくてな。
だから気を付けろよ。その子も一緒にダンジョンに行くんだろ。お前たち見たいのが格好の標的になるからな。」
「ありがとう。いろいろ教えてくれて。」
そう言って兵士と別れた。
「ふふふ。ユート君のこと弱そうな坊主だって。冒険者ランクAなのにね。」
「いいんだよ。弱そうに見える方が、今みたいにいろいろ教えてくれるんだよ。」
「そっか。わざとユート君は弱そうに見せているのか。」
「わざとってことは無いけど、そうみたい。」
「ふふふ。ユート君、かわいいからね。」
「からかうな。」
そう言って、兵士に教えてもらった建物に入った。
中はがやがやとうるさかった。
俺たちは受付を探すためにキョロキョロと店内を見渡した。
すると、
「おい、君たち。この辺では見かけない顔だが、ダンジョンに潜るのは初めてかい。」
メガネのやさ男に話しかけられた。
正直、面倒くさい。が情報を得るために話を合わせることにした。
「はい。初めてです。」
「そうか。俺はユモト。ダンジョンのことなら俺に任せなさい。いろいろ知っているから教えてあげるよ。」
「ありがとう。初めてダンジョンに潜るから、ちょっと不安で。
あ、俺はユート。こっちは俺と一緒に旅をしているネロだ。」
「ネロです。よろしくお願いします。」
ネロは可愛く挨拶をしている。
ユモトは、なぜか、少し顔が赤くなっている。
「改めまして、ユモトと申します。よろしく。これでも、もう何十回ってダンジョンに潜っていて、最高の到達階数は地下10階だ。」
「へ~すごいんですね。それじゃあ、ユモトさんは相当、お強いんでしょうね。」
ネロはユモトを尊敬するように言った。
「ははは~。僕なんてまだまだです。実は、地下10階もあるPTについて行ったから行けただけで、僕はそんなに強くはありませんよ。」
「でも、地下10階ですよね。そこに行けるだけでもすごいと思いますよ。」
俺たちより深く潜っているユモトを俺は尊敬した。
「そうですか。でも、君たちも相当、強そうに見えるから、す
ぐに地下10階に行けるようになりますよ。」
「おい、ユモト。何をしてる。打合せが始まるから戻ってこい。」
「あ、はい。ごめんね。呼ばれたから行くね。ダンジョンに潜っていない時は、大体、ここに居るから、解らないことがあったら声をかけてね。またね。」
そう言って、男たちがいる奥のテーブルに走って行った。
「ユート君、あんなに弱そうなのに、地下10階に行ったことがあるって言っていたわね。
人は見かけによらないね。ユート君みたいにね。」
「そうだな。地下10階に行けるってことは、俺たちよりあのメガネ君の方が強いってことか。
しかも、奥の男に命令されていたってことは、あいつらはユモトより強いってことか。
さすがダンジョンの町だけあるな。俺たちより強い奴がいっばいいそうだ。」
「そうね。私たちもがんばらなくっちゃ。」
「そうだな。」
奥に受付があったので、お姉さんに話しかけた。
「みません。ダンジョンに潜りたいのですが?」
「ようこそ。冒険者ギルドへ」
「え、ここは冒険者ギルドなんですか?」
「そうですよ。冒険者ギルドですが、どうかしましたか?」
「いえ、ただのダンジョンの受付かと。」
「ここは冒険者ギルド兼ダンジョンの管理室になります。」
「へ~そうなんですか。」
「あなた、ダンジョンに潜るのは初めて?」
「初めてです。」
「そう。冒険者ギルドには登録してある?」
「はい、しています。」
「それじゃあ、冒険者カードを見せて。」
「あ、すみません。連れが管理していまして、今は持っていません。」
「そう。それじゃあ、冒険者カードを用意してから、来てください。」
そう言われ、受付のお姉さんは奥の部屋に戻って行った。
「ここが冒険者ギルドだったなんて、解らなかったな。ネロ。」
「そうね、いつもとちょっと感じが違うわね。」
でも、良く周りを見渡すと、掲示板とかも置いてあった。
「あ、ユート君。まだ居たんだ。良かったら、リーダーにお願いしてあげるから、一緒にダンジョンに潜らない?」
ユモトが少し焦ったように勧誘してくる。
「ごめん。誘ってくれるのはうれしいけど、他にも仲間がいて、そいつらと一緒に潜るんだ。」
「だったら、その人たちも一緒でもいいよ。」
「本当にごめんなさい。」
「俺が誘っているのに断るなんて、どうなっても知らないからな。」
そう言って、ユモトは去って行った。
「ちょっと、ユート君。大丈夫? 怒らせちゃつたみたいだけど。」
「う~ん。どうしよう。やばいかな。話をした内容では俺たちより強いみたいだし。」
「でも、断っちゃたし、あのPTと遭遇しないことを祈りましょう。」
「そうだね。遭遇したら逃げようね。」
そう言って俺たちは、冒険者ギルドを出て、先ほどミラとサラと別れた所に戻った。
「お~い、ミラとサラは仕事が速いね。」
もうすでに、俺たちをミラとサラは待っていた。
「当たり前よ。ユート。それより、いろいろとダンジョンのことは解ったの?」
「ごめん。ミラがいないとだめだった。」
「なにそれ?」
「正確に言うと、ギルドカードが必要だった。」
「あっそ。」
「あっ、何だ、その呆れた目は?もちろん、他の情報も仕入れたけど、ミラには教えないからな。な、ネロ。」
「そうよ。今、ユート君を馬鹿にしたでしょ。」
「はいはい。ごめんね。ユート。で、なに?情報って?」
「なんか適当だなミラ。ま、いいや。実は、魔物が食べれるんだよ。」
「それは、知っています。はい、次。」
「ダンジョンでは強盗に気を付けろだって。」
「はい。そんなの当たり前。他には?」
「特にありません。」
俺とネロは下を向いた。
「はぁ~」
ミラにため息をつかれた。
やばい。話題を変えないと。
「サラは魔力の回復薬は買えたの?」
「ええ、ちょっと割高だったけど、ダンジョンにはS級冒険者も潜るから普通に売っていたわよ。」
普通にサラに話された。
「ユート。ちゃんとしなさい。冒険者ギルドに行くわよ。」
ミラが仕切っているが何も言えない。




