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男2人組

今、俺たちは商業ギルドの入口の前にいる。


「とりあえず、俺は、ライオネル城での用事は、すべて終わりました。みんなは、なんか用事ある~?」


「ユート。ちょっと一回、みんなでクエストを受けようよ。」


ミラが提案してきた。


「そうね。ユーちゃん。私もみんなとクエスト受けてみたいわ。」


「ネロは?」


「私は別にいいわよ。」


「そうか。ならこの後、ギルドに行って、いいクエストがあったら受けようか。」


「賛成」


「それじゃ、ギルドに行こう。」



ギルドの中。


ネロ以外はギルドの掲示板を見ている。


「ねえ、ユート。これなんかどう?

ラサールの町に行く途中に魔術師同士が争って出来た焼け跡があって。その調査と原因と突き止めるクエスト。」


あ、まずい。たぶんこれは俺とネロのお母さんのことだ。


無視無視。


「ねぇ。ユーちゃん。これは?」


「ん、なになに。最近、村の裏山で叫び声が聞こえる。どうやら魔物のようだ。安心して暮らせないので、原因を突き止めて、対応してほしい。か。

う~ん。

これって結構やばいんじゃないの?

もしかしたら魔物がすごい強いかもしれないし。」


「でもこれ、ランクBよ、ユーちゃん。」


「じゃあ、サラ、詳しい内容を受付のお姉さんに聞いて来て。俺は、他もの探してみるから。」


「ええ、聞いてみるわ。」


「ねぇユート。これにしようよ。」


まだ、ミラはさっきのクエストのことを言っている。


「ミラ、あまりラサールの町の方はに戻りたくないから、他の

を探して」


「は~い。」


ミラは諦めて他のクエストを探した。


「ユーちゃん。聞いて来たわよ。このクエストは原因を突き止めて、対応できる場合は、対処する。

難しい場合、例えば、魔物が強いとかは、その情報をギルドに持ち帰るそうよ。

ランクB以上なら慎重に対応すれば、命の危険は少ないってことみたい。」


「なるほどそういうクエストもあるのか。」


「それで、私たちのPTがこのクエストを受けて頂ければ有難いって。」


「それで、報酬は?」


「原因の排除は大銀貨10枚、情報は大銀貨3枚よ。情報だけだと割に合わないクエストね。」


「クエスト達成条件は?」


「依頼主の村が納得してもらえればいいって。」


「そうか。よく解らないから、冒険って感じで面白そうだね。距離も片道、馬で4日だし、受けてみようか。」


「なになに、ユート?このクエスト受けるの?」


「そうしょうかと思って。何が出るか解らないところがいいんじゃないのかな。

しかも、危なくなったら逃げればいいし。この辺だとそんなに強い魔物は居ないでしょ。」


「いいわよ。ユートが決めたんなら。」


「ネロはいい?」


「私はユート君に付いて行く。」


「サラは?」


「もちろん OKよ。」


俺たちは、受付のお姉さんに事務処理をしていただき、このクエストを受けることにし、早速、依頼主の村に向かった。


その村は、ライオネル城から南に1日、西に3日行った所にある。今回の冒険から道中は馬で移動している。


ミラのポチが先頭を走ってそれを3人が追いかける形だ。


でも、この世界の馬は、手綱をもって馬を操作する必要がほとんど無く、勝手に馬が、ポチの速度と方向を合わせて走ってくれる。


だからミラは、ポチに指示を出すから大変だけど、追いかける馬に乗っている人は、馬から落ちないようにするだけだ。


はっきり言って、落ちなければ馬に乗って寝ていても問題がない。


ほんとに、この世界の馬はお利口さんだ。


「ん、なにあれ?」


ミラが上を見て叫んだ。


俺たちが走っている上空を黒い物体が抜かして行ったのだ。


「あれは、ワイバーンね。」


サラが答えた。


「この前、サラが弓で落としたやつか?」


「そう。あれは、野生だけど。ワイバーンをこの辺で見るのは珍しいわね。ひょっとしたら、人が乗っていたかもね。」


「あれに、人が乗れるのか?」


「そうよ。どこの国か解らないけど、ワイバーンを手なづけて移動に使っている国があるそうよ。」


「へ~。俺たちもワイバーンを手なずけようか?」


「無理無理。ワイバーンは仲間意識が強いから、子どもから育てないと無理よ。」


「そっか。それは面倒くさいね。」


「ははは~。ユーちゃんらしい。」


「見て、前方に下りるわよ。」


ミラが叫んだ。


俺たちは馬を止めた。


「魔女のエレナはどこだ。」


ワイバーンから降りた男は叫んだ。


ネロの眉がピックっと動いた。


よく見ると、ローブをかぶっており、フードの中の顔にはゴーグルみたいなものを目にしている。


俺は、女性陣に目で合図し、馬を反転させ、逃げる体制を取らせた。


すると今度は、俺たちが逃げる方向にもう一匹、ワイバーンが下りてきた。


「逃がさね~ぞ。魔女やろう。」


最初に下りてきた男が叫んだ。


確定だ。


こいつらだ。エレナをあんな目に負わせた2人組。


「大人しくしろ、その魔女を渡せ。」


そう言って最初に下りてきた男が叫んでいる。


ネロが魔女だってわかったみたいだ。


俺の正体は、ばれていないみたいだ。


たぶんネロの正体は、あのゴーグルで見ているのだろう。


さてどうするか?


ネロはすぐにでも切りかかって行きそうな雰囲気だか、俺の指示をちゃんと待っている。


ミラとサラの目も鋭くなっている。


俺たちは馬から降りた。


「サラ、ワイバーン2匹?」


「余裕よ。」


サラは、魔法の弓を構えた。


すると、後ろに現れた男は危険を感じたのか、急いで上空に上がった。


しかし、サラは、魔法の弓から2本の矢を発現させ、

上空に放つと、一本の矢は最初のワイバーンに飛んで行き、頭を貫通させた。


そして、もう一本の矢も、上空に逃げるワイバーンを追いかけ、ワイバーンの頭を貫通させた。


「すごっ。そんなこともできるの?」


「2本なら余裕よ。3本は無理だけど。」


サラは自慢げに話した。


「お前ら、良くもワイバーンを。絶対に後悔させてやる!」


「ふざけないで、私があなたたちを後悔させてやるわよ。

魔女を金儲けの為にひどく扱ったことを。」


もうネロはとまらない様だった。


「いいよ。ネロ。」


俺が言うとネロは、最初に下りてきた男にもうスピードで近づいて行った。


「サラ、後ろのやつを警戒。」


と言いながらサラを見ると、既に弓を構えていた。


「大丈夫よ。ユーちゃん。」


「わかった。ミラは馬を頼む。」


「了解」


俺は、ネロの戦いに目を向けた。


ネロは、グランの剣を振り回しているが、ローブの男は器用に躱している。


ネロのグランの剣は大きく、大振りになっているからだ。


「こんな攻撃は、当たりませんな。魔女は魔女らしく魔法でも使ったらどうなんだ。」


「うるさい!」


「魔女は、奴隷以下だ。人間様のおもちゃだ。無駄な抵抗はやめて大人しく捕まれ。」


パーーン。


大きな音が響いた。


男のローブに穴が開き、そこから煙が出ている。


ん、ピストルか!


ネロは大丈夫か。


「キッサマ~!何をした?」


ネロの左肩から血が流れている。


「ほほ~。良く躱したな。心臓を狙ったんだが。だが次は外さないぞ。」


「ネロ、大丈夫か?」


俺は心配した。


「ユート君。大丈夫。不意打ちだったからよ。」


ネロは、右手にグランの剣を持ち、左腕はだらんとしている。


ヒールって飛ばしたりできないか。え~いやってみよう。


「ヒール」


俺は、遠くにいるネロに向けて手をかざした。


すると手から光が発射され、ネロに当った。


「ありがとう。ユート君。痛みが引いたわ。」


どうやら成功したようだ。


なんか簡単に成功しているけどいいのかな。


ま、いいか。


「死ね~」


男はネロに向かって銃らしきもので、数発、発射し攻撃をした。


ネロは弾が見えるらしく、幅が大きいグランの剣で器用に弾いている。


「おのれ~これならどうだ!」


男は、どこから出したか解らないが、ロケットランチャーみたいのを構えた。


「やばい。ネロ!それは躱せ。」


俺は叫んだ。


男はロケットランチャーを発射した。


ネロは、素早く横に飛んでロケットを躱したように見えた。


しかし、ロケットは地面に着弾し、爆音とともに地面は大きな穴が開き、その爆風で、ネロは吹き飛ばされた。


馬たちも爆音を聞いたため、パニックになっているが、ミラが馬たちの周りを氷で囲ったため、何とか落ち着いて来ている。


「大丈夫か?ネロ。」


俺はすぐにネロに駆け寄った。


やばい。爆発の威力で片腕が引きちぎられ飛ばされている。


しかも身体中、大やけどをしていて、ネロは瀕死の状態だ。


息が弱い。


「ハイヒール。」


俺は、魔法を唱えた。


するとネロは、元通りに戻った。


服はポロポ口で胸が見えそうだけど。


「ユート君。ありがとう。助かったわ。」


「良かったよ。それで、倒せそうか?」


「ええ、全力で行くわ。」


そうしてネロは立ち上がった。


「おい、2号。どうしてお前は戦わないんだ!」


「うるせぇ、一号。あいつの弓は、厄介なんだよ。今は動けないんだ。」


「そうか。ならこれならどうだ。」


そう言うとさっきまでネロと戦っていた一号は、機関銃を取り出した。


何だあいつは。たぶん魔法の袋から取り出していると思うが、いくつ出て来るんだ。


核が最終兵器じゃないだろうな。


まさかそれは無いだろう。


そんなことを考えていると、一号は機関銃を俺たちに向かって、適当に打ち出した。


俺はネロの後ろに隠れ、ネロがグランの剣で弾を弾いている。


ミラは、自分の前に氷の盾を出して防いでいる。


サラは、2号の照準を外し、ステップで機関銃の弾をかわした。


「おい、2号。どうだ!これでお前も戦いに加われるだろう。」


「ああ、鎧を装着した。あんな魔法の弓なんてもう怖くない。お前たち全員死刑だ。」


「ははは~。俺たち2人が本気を出したら、お前たちは助からん。皆殺しだ。」


よくしゃべる。やけにうるさい。


「まずは、さっきから怪我を直している忌々しい、お前からだ。」


俺は、l号に指を差された。さすがにむかついた。


「ネロ、お前は、後ろのやつを頼む。しくじるなよ。」


「わかったわ。さすがに頭にきた。ぶち殺す。」


さすがにさっきネロは死にかけたから、女の子らしくない。


俺は、ウインドで体を浮かせて、一気に一号に詰め寄った。


一号は、俺の速さに驚いていたが、俺の必殺技、風のボールを一号の腹に当てると、その勢いで後ろに吹っ飛んだ。


10m先で倒れている。


2号は、ネロにローブを切られ、武器を隠しながらの戦いは出来なくなっている。


「おのれ~。一号をよくもやってくれたな。」


そう言って、さっき一号が出したのと同じ、ロケットランチャーを魔法の袋から取り出した。


それと同時に、ネロはすぐさま近づいて行き、ロケットランチャーをグランの剣で切り付け、ロケットの部分を切った。


「ちくしょう、これならばどうだ。」


そう言って、魔法の袋から何かを取り出そうとしたが、ネロの剣が2号の頭をとらえていた。


グランの剣の側面で思いっきり、2号の頭を叩いたのだ。


2号は叩かれた勢いで、地面にも頭をぶつけ失神している。


「ふ~。ちょっと苦戦したわ。」


ネロの方も終わったようだ。


「ちょっと、さっきのネロは怖かったわよ。ぶち殺すって言っていたわよ。ユーちゃん。」


すかさずサラは、ネロの言ったことを指摘している。


「そんなこと言っていないわよ。 ユート君の前でそんな悪い言葉使う訳ないでしょ。ぷち殺すって言ったのよ。」


「なによそれ、絶対にぶって言っていたわよね。ミラ。」


「ええ、言っていたわ。ぶって」


「まあ、まあ。今回は仕方がないよ。死にかけていたしね。ネロ。」


「ユート君、私の口が悪いからって嫌いにならないでね。」


そう言って抱き着いて来た。


さっきも説明したように、爆風で服がところどころ破けていて、胸が見えそうだ。


「ちょっとそんな恰好で、ユートに抱き着かないでよ。」


ネロは、ミラに俺から剥がされた。


ちょっと俺は残念だったが、ここで遊んでいる場合では無かった。


「大丈夫だよ。ネロ。そんなことで嫌いにならないよ。ミラだって口が悪いし。」


「ちょっと、ユート。それは無いでしょ。これは生まれつきよ。」


「あははは~、悪かった。とりあえず、ミラとサラ、こいつらの腰にある魔法の袋を取って来て。」


「了解」


サラは1号、ミラは2号の魔法の袋を取りに行った。


「ちょっとネロ。その格好は目に毒だから、ミラに言って、あとで着替えてね。」


俺がそう言うと


「ユート君がこのままの方がいいんなら、このままでいいわよ。」


「まったくもう。ちゃんと着替えなさい。じゃないと、ミラに言って、勉強の時間を増やすよ。」


「は~い。わかりました。すぐに着替えます。」


ネロは本当に勉強が嫌いみたいだ。


「キャ~」


サラの声がした。


そっちを見ると、一号がサラに銃を向けている。


あいつよく生きていたな。


「おい、この女が死んでもいいのか。こいつはエルフのお姫様だろ。殺されたくなかったら、馬を渡せ!」


「きゃ~。ユーちゃん助けて~。」


ワザとらしい。


いつもより多くサラの言葉にぶりっ子が表現されている。


「おい、早くしろ。こいつを殺すぞ。」


「ユーちゃん。助けて~」


サラは体をくねくねして、余計ぶりっ子になっている。


そんな態度に1号はむかついたのか、予告もなしにサラを撃った。


カキーン。


サラの前には透明な氷が張られていた。


ミラが魔法で防いだのだ。


「まったくもう。いい加減にしてよね。サラったら。」


「ふふふ ミラちゃんありがとう。助かったわ。」


そう言って、サラは弓を構えて矢を空に打ち上げた。


矢は、天高く上がるとそこから重力で落ちて来て、一号の頭に当った。


一号は、そのまま、後ろに倒れた。


「おい、サラ。殺したのか?」


「いいえ、気絶させたわ。」


「そんなこともできるのか?」


「ええ、便利よ~。魔法の弓は。自分の魔力を矢に込めているから、いろんなことが出来るわ。」


「たとえば?」


「矢を重くして気絶をさせたり、矢を大きくしたり、細くしたり」


「へ~。どれくらい大きくなるの?」


ミラがサラに発破をかけている。


「どれくらいかな。見てて」


そう言ってサラは弓を構えだした。


矢はどんどん大きくなって行ったが、弓の弦よりは大きくならなかった。


「えい!」


それでも弓いっぱいぐらい大きくて太くなった矢をサラは近くの木に向けて放った。


だか、その矢は、そのまま落下して、地面に落ちると、ちくわが落ちた様にしばらくプルンプルンと跳ねてやがて消えた。


それを見ていた俺やミラとネロは吹き出し、大声で笑った。


「ちょっと何よ。そんなに笑わなくてもいいでしょ。」


「だって、ブルンブルしてたわよ。」


ネロが腹を抱えながら笑っている。


ミラも目に涙をためている。


「なによ。もう。私の魔法の弓を馬鹿にして。もう知らない。」


サラの頬は大きく膨らんでいる。


3人の笑いはなかなか収まらなかった。



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