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商談の交渉

次の日、商業ギルドに来ている。


商売の話をするためだ。


「これはこれは。みなさん御揃いで。今日は何か?」


店長のオータルが対応してくれた。


ま、昨日、事前に約束をしているからだが。


「ちょっと店長と商売のお話がありまして、席を用意してほしいのですが。」


「まさかユート殿の口からそんな話が出るなんて、いいですよ。こちらの部屋に。」


そう言われ、いつもの部屋に通された。


「商売のお話とはなんでしょう。と聞く前に、サラ様やネロ様、ミラ様が首にしているネックレスは綺麗ですね。見たことが無いけど魔石かなんかですか?」


「ほほ~。やはり気づきましたか。さすが、商業ギルドの店長ですね。実はこの石の話なんですが。」


「ちょっと見せてもらえますか?」


「いいですよ。ネロ、ミラ、サラ、ちょっと貸して。」


女性陣3人は、ネックレスを外し、俺に渡した。


「よく見てください。この輝きを。」


「う~ん。どれもすごいですね。ダイヤモンドよりは劣りますが、宝石としての価値はありそうですね。で、これはどこで?」


「今は教えません。今までのやり取りを聞いているとやはり、商業ギルド長の店長でも初めて見る石とお見受けするが。」


「ええ、初めて見ます。」


やったぁ~。これでうまくいけばお金には困らなくなるぞ。


「商売の話というのは、この石を使ってうまく販売できればと思いまして。」


「ということは、この石を買い取れということですか?」


「少し違います。私の提案を買っていただきたい。」


「は? どういうことですか?」


「俺たちが直接、この石を加工して、販売をしても、販売数に限りがあります。ですから、いくつもの販売網や商売のノウハウを持っている商業ギルドと一緒に商売をしたいと思いまして。」


「ふむ。詳しく聞かせてくれ。」


店長は本気になったようだ。


「ご存じのように俺たちは冒険者です。だから、人類が未踏の地に行くこともあるでしょう。

その時に見つけたものを商業ギルドが販売する。

俺たちと専属で商業ギルドと契約を結び、売り上げのいくらかを頂けたらと思いまして。その最初がこの石です。」


「ユート殿は突拍子もないことを考えますな。

でも、こんな話は初めてなので、良く考えさせてください。」


「あれ、いい話だと思うんだけどな。無理だったら他を探すかな。」


「ちょっとお待ちくだされ。もう、ユート殿にはかないません。いいです。やりますよ。」


「さすが店長。話が解る。」


「おだてても、立場は公平ですからね。」


「大丈夫です。俺たちもそんなにがめつくないので。」


「それで、提案とは?」


俺は、魔法の袋から交渉用に買った石を取り出した。


「これは、ドワーフの村で取れた物です。」


「ああ、あそこは人間族が近づかないところですね。だから気がつかなかったのか。」


「ええ、聞いたところによると、商業ギルドを通して魔石の武器を国に納めているとか。」


「よく御存じですね。魔石の武器は、国家の最重要秘密事項でして、貴族以外はこのことは知りません。」


「それで、この石をドワーフ村から仕入れて、販売をしてほしい。」


「それは、構いませんが、そんなに売れるとは思いませんよ。石は綺麗ですけど、貴族にはダイヤモンドがあるし。」


「そう言うと思っていました。もちろん、この石はダイヤモンドには遠く及びませんですが、貴族以外の一般人にダイヤモンドに代わる宝石として、気軽に手に身に付ける宝石として売り出せば。」


「なるほど。」


「しかも、上手く広告を出せれば。」


「広告?!」


「あ、ごめんなさい。ここに居るサラ姫に身に着けてもらって、宣伝をすれば、影響は大きいはず。」


「なるほど。そこまで考えていらっしゃいましたか。よろしい。」


オータルは席を立ち握手を求めて来た。


俺はその握手に応じた。


「それで、ユート殿の取り分は?」


「どれぐらいが適正ですかね。」


俺は聞き返した。本来なら吹っかけるが常套だか、なんせ、市場規模が解らない。


「1割でいいですか?」


オータルは聞いて来た。


「はい。よろしくお願いします。」


俺は快く了承した。


「いや、すまん。2割にする。下手な小細はしたくない。」


「ありがとうござはず。よろしくお願いします。もちろん、俺や、ネロやミラも協力します。

それとお願いがありまして、この宝石はドワーフの村で、大小関係なく小銀貨1枚で売っていました。

ですので、上手く価値を引き上げるような運用をしてください。それと。」


「大丈夫です。その辺は私たちのテリトリーですからお任せてください。」


「あ、じゃ、あまりドワーフから搾取しないでください。」


「大丈夫ですよ。ドワーフ村とも付き合いが長いですから、卑怯なことはしません。」


「ありがとうございます。それではよろしくお願いします。この宝石は置いて行きますので使ってください。」


「それで、ユートさんたちは、これから旅に出るんですよね。連絡をどのように取りましょうか?」


「あ~そうですね。どうしましょう。」


「それじゃ、これをお持ちください。」


「ん、これは何ですか?」


「え、ユート殿、これを知らないんですか?」


「ええ。初めて見ます。ミラは見たことある。」


「ええ、あるわ。連絡石よ。」


よく見ると、一枚の黒い石だ。ちょうどスマホぐらいの大きさだ。


「これは、連絡石で、魔石の一種です。魔法の袋に入れていても、連絡があった際には、一覧に印が付きます」


へ~便利だな さすが魔法の世界。


「これで簡単な文字を飛ばせます。これでやり取りができます。」


「これっていくらするの?」


「これは、小金貨3枚ですね。」


「たかっ!」


「なに言っているんですか、今回の商売の話は、かなり大きく儲けられると踏んでいますよ。」


「そうなんですか。よく解らないけど、よろしくお願いします。」


「承知した。準備が出来ましたら、それでお呼びしますので、ライオネルに戻ってきてください。」


「わかりました。」


そうして俺たちは、商業ギルドを後にした。


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