ユートの、出生の秘密を話す
俺たちは夕食を食べて宿屋に戻ってきている。
「ねえ、ユート。冒険者ギルドの時に話していた、調べたいことってなに?」
ミラが思い出したかのように言った。
「ん。そんなこと言ったっけ。」
俺はとぼけようとしたが、
「言っていたわよ。絶対に」
ってミラに釘を刺されてしまった。
いい加減無理かな。俺の正体を秘密にしておくの。
みんなに伝えるか。
「実は、みんなに内緒にしてあることがあって。」
言うのをもったいぶった。
「なに、内緒って?」
ネロが聞いて来る。サラも俺の方を見ている。
「実は俺、捨て子なんだ。」
「え~、本当に?」
ミラはすごいビックリしている。
たぶん、俺をアリスの子どもだと思っているからだろう。
「ちょっと待って。お母さんはアリス奥様で、お父さんはダンではないってこと?」
「そういうこと。なんか問題ある。」
「・・・・」
ミラは黙り込んでしまった。
さすがにミラには衝撃的だったか。
「お~い。ミラどうした。俺は別に何とも思っていないぞ。
っていうか、アリスやダンやミランダおばさんにはかなり感謝しているよ。」
「そうなのユート。そんなことを聞いてショックじゃなかったの?」
「別にショックじゃないよ。俺、強い子だし。」
「強がっているのね。」
そう言ってサラが俺に抱き着いて来た。
「ちょっとサラ、なにやっているのよ。」
ネロがサラを引き離そうとしている。
「だって、私。ユーちゃんの気持ちがわかるもん。私も、お母さんの顔知らないし。」
「ちょっと違うからサラ。」
そう言って、サラを放した。
「それだったら、ユート君は私が慰めてあげる。」
そう言ってネロが俺に抱き着こうとしたので、さっと躱した。
「ちょっと、なんだよ。みんなして。別に強がっていないよ。それに悲しくないし。親には感謝しているよ。俺をここまで育ててくれたし。だからみんなにも出会えたし。」
「ん、もう。いいのよ。強がらなくて。」
サラは両手を広げて俺に抱き着いて来いといわんばかりのポーズを取っている。
「サラ、いい加減にしないと怒るよ。」
俺は、サラに言いつつ、同じ様なポーズを取っているネロを睨んだ。
「ちょっと。ユート。ビックリしたわよ。そんなことがあった
なんて。それで、そのことと、調べものと関係があるの?」
ミラの口調は強い。
「うん。俺って、ソロス領のモーゼの町の近くで拾われたらしいんだ。だから、出生の秘密を知りたくてね。」
「そうなんだ。私と一緒ね。」
サラが賛同している。
「そんなに大きな秘密を話してくれてありがとう。本当に辛い時には私に甘えていいからね。ユート。」
「何言っているのよ。ミラ。ユート君。私の大きな胸で心を癒して。」
「ユーちゃん。私を好きなようにして」
だめだ。めちゃくちゃになっている。
「わかった。ありがとう。
みんなの気持ちは嬉しいよ。それで、みんなは、一緒に着いて来てくれるかい。」
「もちろん。」
女性陣3人の返事はハモった。




