ユート、祝福を受ける。
宿屋についたら、
早速、アリスが宿のおばちゃんと話をしていた。
「3人部屋、2食付きで一晩、
小銀貨12枚だよ。よろしいかい?」
「ええ。」
「じゃぁ、夕食と朝食は食堂だよ。
時間になったら呼ぶから部屋で待ってておくれ。」
そう言われ宿のおばちゃんからアリスは部屋のカギを受け取った。
部屋でミラにお金のことを聞いたら
「そんなことも知らないの。」
って少しバカにされたけどちゃんと教えてくれた。
ミラは銅貨と小銀貨を1枚ずつポケットから出して
「この銅貨20枚でこっちの小銀貨1枚。
その上は小銀貨20枚で、大銀貨1枚。
大銀貨20枚で、小金貨1枚になるの。
小金貨の上が大金貨。
その上が白金貨。
私も大銀貨以上は見たことないの。」
へ~。20枚単位で上がって行くのか。
地球の時は10枚単位と言うか、
数字の桁上がりとお金の単位が連携していたからわかりやすかったけど、
素材そのものが貴重だからお金の数え方だけは、
20枚単位なのかな。
日本でも、昔、小判とかあったけど今の価値は解らないしな。
時代や世界で色々な考え方があるんだろう。
この宿屋が一泊二食で小銀貨12枚だから、
地球で泊まると8千円と見積もって三人で2万4千円か。
だとすると小銀貨1枚は2千円ぐらいか。
銅貨1枚で百円か。
最小限単位は百円位か。
地球でも、缶ジュースは昔、一本百円だったし。
これくらいの感覚なのかな。
「ユートは、ほんとになにも知らないのね。」
「いやいや、ダリルの村ではお金なんて必要なかったし。
問題ないでしょ。」
は~、やっぱりユートを一人で旅に出すのは心配だわ。
私が付いて行ってあげなきゃ。
とミラは思った。
次の日、朝食を食べ終え、
アリスが宿屋を精算して、3人で教会に向かった。
教会は少しだけ立派だった。
地球でいうとクリスチャンがいる大きめの一軒家って感じで、
家の上には十字架ではなく、
十字架の上に矢印みたいな三角形が乗った形があった。
教会に入るとそこは、
地球でいうチャペルの様に赤い絨毯が伸びていて、
絨毯の両脇には椅子が並べられている。
その先の奥には白い像が飾られていた。
教会の司祭らしき人が奥から出てくるとアリスと話し始めた。
「ミラ、あの像はなんていうんだ?」
「あれは、カミール神の女神。
この世界を作った神様だよ。」
この世界の神様だそうだ。
俺が会った綺麗な人とは違うみたいだ。
司祭はアリスとの会話が終わり、
司祭が俺とミラをその白い像の前に案内し、
「膝をついて両手を組んでお祈りを捧げよ。」
と指示を出した。
俺とミラは言われるがまま、
指示に従い顔を下に向きながら祈り始めた。
すると司祭がなにやら呪文みたいなもの唱え始めると、
俺とミラをうっすらと光が包みだして、
少し経つとその光は飛散して消えた。
「これで祝福は終わりです。
ユートとミラは無事にカミール神から祝福を与えられました。
おめでとうございます。
それでは早速ですが、
カミール神から授けたられた祝福を体感するために、
ステータスオーブンと唱えてください。」
その時、俺はアリスの方を見たら、
こっちを見て頷いていた。
「ステータスオープン」
と俺とミラは一緒に唱えた。
「何かが見えるでしょう。
それはあなたのステータス、性能です。
これから、魔物を倒すとLVがアップし数値が増え、
成長していきます。
ちなみにお二人のHPとMPとその他の数値はいくつですか。」
と司祭が聞いてきた。
ミラは
「HPは1、MPは0です。その他も1か0です。」
俺も、ミラと同じように言った。
本当はHPが1でMPは2で、
その他も2か3、5なんてものもある。
でも、念のためすぐに1と0にすぐ書き換えた。
もちろん、種族もだ。
ふと、アリスの方をみたら、
顔を青くしている。どうしたんだろう。
司祭は俺たちの言葉を聞いて奥の部屋に居る、
もう1人の司祭に目線で合図をした。
そしたら何事もなかったように、
祝福を授けた司祭はしゃべりだした。
「そうですか。残念ですね。
一般の人と同じなようですね。
しかし、鍛練すればそこにいらしゃるアリスさんを超える冒険者になることもできます。
がんばってください。」
と言い祝福の儀式は終わった。
特に祝福に関する詳しい説明はなかった。
ま、そんなもんだな。この世界はそんなに甘くない。
その後、少し休憩してそのまま馬車を引き取りラサールの町を出て、
ダリルの村へ帰路についた。
その途中、アリスは腑に落ちない顔をしながらから
「ユートのステータスは1と0だったの。
そんなことは無いと思っていたけど当てが外れたんだね。
やっぱ普通の子だったのね。」
と笑いながら
「実は、あの協会に鑑定スキルをもった人が居たの。
普段はいない筈なのにどうして居たたんだろね。
ま、いいか普通だったし。」
アリスは一人で納得していた。
お金の話が出て来ました。20枚単位にして、解りにくいと思いましたが、あまり物が無い世界だと考えていますのでそうしました。でも、自分的にも計算が難しいので、この後、一回は、お金の話を書きたいと思っていますが、そのあとは、主人公が少しずつ裕福になってくるので、お金の話は、そんなに書かないと考えています。いつも、お読み頂いてありがとうございます。




