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再会

夕方、ライオネル城の宿屋に着いた。


まだ、ネロたちは戻って来ていない。


俺とミラは、部屋で寛いでいる。


ミラの首には、ルビーが赤く光っている。


「ただいま。」


ネロの声が響いた。扉が開くとそこにはネロとサラとサラが抱いている白い子犬がいた。


「おお~意外と早かったね。」


「ええ、ユーちゃんに早く会いたくて、走って帰ってきちゃった。」


「ん、ミラ。その首の赤い石はなに?」


いち早くネロが気付いた。


「いいでしょう。ユートに買ってもらったんだ。」


その言葉を聞いた瞬間ネロが消えた。


気が付くと、ネロはミラの後ろから首を羽交い絞めにして、首元に短剣をちらつかせている。


サラは、人差し指と親指を立てて鉄砲の形を作り、ミラの顔に照準を合わせている。


しかも指の先からピュピュっと水が垂れている。


「わわわ~。ユート助けて~」


二人の殺気を感じたのか、ミラが助けを求めて来た。


「なんだよミラ。自分の撤いた種だろ。」


「ごめんなさ~い。ネロ、サラ。」


誤っているが、ネロとサラのミラを見る目はすごく怖い。


「ネロとサラの分もあるよ。ミラを放して上げて」


「なんだ~。あるならあるって言ってよ。ミラを殺すところだったわ。」


冗談で言っているとは思うけど、ネロはマジで怖い。


「ユーちゃん。どれどれ?」


サラは興味津々だ。


「じゃあ、二人はあっちに立って、向こうを向いて、目をつぶって。それでいいよって言ったら目を開けるんだよ。」


2人は俺の指示通り立って、目をつぶった。


俺は、ネロとサラの首にネックレスを掛けた。


2人はちょっと顔が赤くなっていた。


「いいよ。目を開けて。」


「うわ~きれい。私のは青いわ。ユート君ありがとう。あれ、サラのは、緑ね。」


「私のは緑よ。エルフにぴったり。ネロちゃんの青も綺麗でカッコイイわね。ユーちゃんありがとう。」


「サラ、ありがとう褒めてくれて。サラも似合うわよ。」


二人はとてもうれしがっている。


でも、ネロとサラの2人はミラについては一切触れない。


「ちょとお。私がユートにお願いして、みんなの分も選んでもらったのよ。」


「それがどうしたのよ。そんなの当たり前じゃない。今までユート君と2人っきりだったんだから。ね~。サラ。」


「そうよね。ネロちゃん。」


「らこらこら。3人ともいい加減にしないとそのネックレス返してもらうぞ。」


「ごめんなさ~い。私たちは仲良しで~す。」


3人で肩を組んでハモッて言い訳をしている残念な3人組でした。


ちなみに、白い子犬は、蚊帳の外で寂しそうだった。



「よーし。報告会も兼ねて夕食でも食べに行きますか。」


「はーい。」


「で、どこがいい?」


「この前の肉~」


ネロが提案した。


「他に食べたいものありますか~。

無ければネロの希望の肉でいいですか~」


「いいで~す。」


サラとミラは了承し、ネロの提案通り、この前食べたハンバーグ屋に行くことになった。


「そう言えば、この犬どうする?」


ネロが聞いて来た。


「そうそう、忘れていたけど。赤オーガの村に行く途中でこの子を見つけたの。」


サラが見つけたた経緯を説明した。


「かっわいい~」


ミラはさっきからずぅっと抱っこしている。


「へ~。城下町に入る時に検問に引っかからなかったの?」


「ええ、誰もがこの子の動きに鼻の下と目じりが下がっていたわ。」


サラが説明をした。子犬は、尻尾をすごく振って、体もくねく

ねしている。


「そっか。かわいい子犬だと誰でも騙されるんだな。」


「ん!どういうこと、ユート君?」


ネロが疑問そうに聞いて来た。


「それ、ハクだから。」


「はぁ?」


3人でまたハモった。


「なに言っているの?ユーちゃん。ハクはもっと大きいでしょ。」


「そうよ。ユート。頭がおかしくなったんじゃないの。どう見ても可愛い子犬よ。」


「じゃあさミラ、ちょっと手を放してみな。」


ミラから解放された子犬はミラの手を離れると俺たちから距離を取った。


子犬は、こちらに向きながら、伏せをして目をつぶり動かなくなった。


すると、子犬の体が、ドクンドクンと震えだした。


「どうしたの?大丈夫?」


「ネロ、大丈夫だから見てて」


ネロが子犬に近づこうとしたが俺は止めた。


心配そうに女性陣は子犬を見ている。


次第にそのままの態勢で、体が大きくなったと同時に、ハクの力も解放された。


「あ、ハクだ。」


ハクの力を感じたのか、3人はすぐに気が付いた。


「もう。なんだ~ハクちゃんか~。おかしいと思ったのよね。森の中に子犬が一匹って。」


「そうそう。やけに頭が良いしね。」


サラとネロは、納得がいったようだ。


するとなんか、宿屋が騒がしくなってきた。


ドンドンドン。


俺たちがいる部屋のドアが強い力で叩かれた。


「お客様、開けてください。魔物の気配がします。」


宿屋の主人が調べに来た。


「あ、やばい。ハク。早く戻れ。」


俺はハクに伝え、すぐに元の子犬に戻らせた。


「ん。あれ?」


ドアの外からそんな声が聞こえてくる。


「どうしたんですか?何かあったのですか?」


サラが扉を開けた。


「あ、貴方はもしかして、サラ姫ではございませんか?」


「ええ、私はエルフのサラですが。どうしたんですか?」


「このお部屋で、魔物の気配がしたものですから、中を見せていただけませんか。」


「いいですわよ。私の連れがいますが、どうぞ。」


そう言ってサラは主人を招き入れた。


「う~ん。問題なさそうですね。さっきのは何だったんだろう。

ですがサラ姫、うちの宿屋ではペットはお断りなんですが。」


そう言われた時、サラは主人に大銀貨を1枚渡した。


「ちょっと友人が、かわいいからどうしても見せたいと言って勝手に連れて来てしまったの。

すぐに友人は帰るから目をつぶってちょうだい。」


「わかりました。なるべく早くしてくださいね。国に知れると宿屋の営業免許を取り上げられてしまうので。」


「大丈夫ですわ。ご主人にはご迷惑はお掛けしません。」


「それでは、よろしくお願いします。」


そう言って主人は出て行った。


「危なかったわ~。」


ミラはほっと溜息をついている。


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