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ホワイトオーガ

「いい加減、かわいそうよ。ユート。」


「そうだな。ミラ、行けるか?」


「ええ、たぶん無理だと思うけど、出来るだけ頑張ってみるわ。」


ミラは折れている槍を捨てて、鋼の剣を構えた。


ホワイトオーガと呼ばれているが、青オーガに似ている訳ではなく、雪男に似ていて腹以外は毛深い。

というか。体格は太っているのに筋肉質で現役のころの千代の富士の体格に似ている。


太っているのに筋肉質って感じかな。


毛深いのに筋肉がわかる。背は2m以上あり動きも素早そうだ。


「行くわよ。」


そう言ってミラはホワイトオーガに駆けだした。


ホワイトオーガはミラの攻撃に併せて右から高速なパンチを繰り出してきた。


それをうまく左に躱すと、そのままの勢いでミラは腰を低くしてホワイトオーガの腹を目がけて剣を振り切った。


「ガチ~ン」


ホワイトオーガの腹に剣は当ったが、薄く固く凍った氷がホワイトオーガの腹を包み防いだ。


「ちっ。じゃあ次はこれよ。ウォーター。」


ミラが呪文を唱えると、ホワイトオーガの顔の周りを水の塊が覆った。


「よし。これでおしまいね。」


ミラは勝利を確信したようだ。


たぶん息が出来なくなって窒息死すると思って。


ピキピキピキ。


ホワイトオーガの顔を包んでいる水が凍り出した。


「ふん!」


ホワイトオーガは左のこぶしで顔を包んでいる氷を破壊した。


「さすがに、一筋縄ではいかないわね。次はこれよ。ピックランス。」


ミラは両手を天に上げその上に、氷のランスが浮いている。


全長2m、質量100kgぐらいはありそうだ。


「いけ~!」ホワイトオーガに向かって馬鹿でかい氷のランスがものすごい勢いで飛んで行った。


ホワイトオーガはそれを正面から両手で受け止めた。


ランスの先はホワイトオーガの腹に当っている。


「グオー」


飛んできたランスの勢いでホワイトオーガは地面に足を付けて後方に引きずられ、大きい岩にぶち当たった。


ガラガラガラ。


岩の上から石が落ちて来て砂埃が上がり、ランスが岩に刺さっているように見える。


「やったわ。」


ミラが叫んだ。


「いや、まだだ。」


俺はミラの油断を咎めた。


「ワォーーー」


ホワイトオーガが咆哮を発すると、氷のランスが上空に投げられ、遥か後方に飛んで行った。


ホワイトオーガが飛ばしたのだ。


「うそ。私の奥の手だったのに。信じられない。」


シャーー


気づいたらミラの目の前にホワイトオーガがいて、ミラの顔を目がけて、強烈なパンチを繰り出している。


ミラは剣先に左手を添えてホワイトオーガのこぶしを顔の前で、剣で受け止めた。


しかし、そのまま、ミラは後ろに吹き飛ばされたと同時に、

剣が強烈なパンチに耐えられなくなり、パリーンと砕けた。


「ミラ、大丈夫か?」


「ええ、大丈夫よ。まだやれるわ。」


そう言って、折れた剣で構えると、折れた剣の先は氷の剣になっていた。


「いいわよ。なりふり構わずに行くわ。」


そう言ってホワイトオーガに向かっていった。


だめだ。


ホワイトオーガの方が魔法が上手だ。


いくら切り付けるスピードが速いからって言って、切り付けても、全然刃が断たない。


相性が悪すぎる。


「キャー」


ついにミラはホワイトオーガの攻撃をまともに受けてしまった。


ホワイトオーガはその隙を見逃すわけが無く、猛スピードでミラに向かっていった。


おれは、ミラの前に立ち、剣で、ホワイトオーガの強烈なパンチをうまく力が逃げるように防いだ。


俺が出て来て警戒したのか、ホワイトオーガは後ろにジャンプして距離を取った。


「大丈夫か?ミラ。」


「もう無理。私じゃ。敵わないよ。後はユートに任せていい?」


「ああ、良く頑張ったな。そこで見てて。」


俺は、ホワイトオーガと対峙した。


ミラが先に戦ってくれたから、大体ホワイトオーガの戦い方は解った。


属性は氷だし。


ならば熱だな。炎は水に弱いけど、氷だったら溶かすことが出来るかもしれない。


そう思い、王様から貰った剣をファイヤーで熱して刃を真っ赤にした。少し炎も揺らいでいる。


ホワイトオーガは俺の様子を見ている。


「行くぞ。」


そう言って俺はホワイトオーガに詰め寄った。


「グォーー」


ホワイトオーガも俺を攻撃してくる。


「はっあ~!」


俺はホワイトオーガの腕を切り付けた。


ピシャ。


ホワイトオーガの血が少し飛び散った。


よし、行ける。


ホワイトオーガは自分の腕が切られたことにビックリしたのか、動きが止まった。


「今だ。」


俺は、ホワイトオーガの腹を切り付けた。


「よし。勝った。」


ガシャーン。


ホワイトオーガの腹を包んでいる固い氷を砕いたが、いっしょに俺の剣も熱して強度が弱くなったのか砕けてしまった。


俺は、ホワイトオーガの近くにいると危険と思い、後方に一旦ジャンプし距離を取った。


ホワイトオーガの腹には一本の赤い筋が入っている。


でも傷は浅そうだ。


「おい、この斧を使ってくれだべ。これは魔石で出来ている。ある程度は保つだベ。」


そう言ってドワーフは俺に斧を投げた。


俺は、斧を取るためにホワイトオーガから目線を外した。


パン。


俺は斧を左手で取り、


「ありがとう。使わせてもらう。」


そう言いながら、ホワイトオーガの見るとそこにはホワイトオーガの姿が無かった。


「ユートに恐れを感じて、逃げたわよ。」


そう言って、ホワイトオーガが逃げた方向をミラは指している。


「そうか逃げたか。魔物も頭がいいんだな。逃げるなんて。」


「そうね。これからは気を付けなくちゃね。」


そう言ってミラは俺に近づいて来た。


「ミラ大丈夫か。顔が痛々しいし。鼻血も出ているぞ。ヒール。」


そう言ってミラの顔を直し、いつものきれいなミラに戻った。


「ありがとう。ユート。顔に傷が残ったら、誰も私を貰ってくれないわ。」


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