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サラとミラが冒険者になる

俺たち城の前にいる。


「さてと、今日泊まる宿屋でも探しますか。」


「そうしましょう。」


俺たちは宿屋を目指した。


「そう言えば、サラは冒険者登録してあるの? 」


「してないわよ。」


「ミラは?」


「私もしてないよ。」


「そっか。じゃあ、先に冒険者の登録をしよう。冒険者登録をすると冒険者ギルド加盟店で割引が受けられるから。」


そう言って冒険者ギルドを目指した。


「っていうか。サラは冒険者ギルドの場所、知ってる?」


「知らないわよ。今まで必要無かったから。」


「ミラは?」


「知らない。」


「そうか。じゃあさ~。城の周りを探検しようか。まだ、明るいし。」


「そうしよう。そう言えば、プリンは?」


ネロが思い出した。


「あ~プリンね。プリンは明日だね。時間も無いし。」


「え、どうして時間無いのよ。」


「だって、冒険者ギルドを先に探さないと。宿屋の割引が受けられないし。だからもうちょっと我慢して。」


「ぶ~。楽しみにしていたのに。」


ネロは悪態をついている。


俺たちはネロを無視して適当に歩いている。


裏の方には、うす暗い場所もあって、普通なら観光客が近づかないようなところもづかづかと入って行った。


怖いもの知らずというか、俺たちはただのバカで世間しらずだ。


「は~い。そこの冒険者さん。一体どうですか。珍しいのも入荷していますよ。」


そんな声が聞こえてきた。


よく見ると、人が檻に入っている。


「何あれ?」


「奴隷商よ。」


ミラが教えてくれた。


「あ~。奴隷ね。」


「ええ。奴隷になる人は、罪人だから仕方がないわ。ほら、あの手の甲についているのが奴隷紋よ。」


ミラも奴隷制度の賛成派だ。


俺も、仕方がないと思っている。


この世界は命が軽い。


と言うのも、魔物がいたり、種族間で争いがあったり、

ネロの村みたいに貧しい村があったり、生きて行くのが本当に大変だからだ。


だからどうしても、犯罪が起きやすい。


それで捕まると、牢屋に入れられ、起こした罪により、死刑や奴隷、戦争用の兵隊など。


一応、裁判みたいのがあって、そこで決まるらしい。


これはこの世界では常識だから俺でも知っている。


ちょっとこの世界の暗い部分を見てしまった。


そんなこんなで、さすがに当てもなく歩くのは辛いので、

その辺を歩いている通行人に冒険者ギルドの場所を聞いて、冒険者ギルドにやって来た。


中に入ると、中にいる冒険者全員が俺たちを見た。


ま、そうなるよな。美女3人と男1人だ。


俺はその目線を無視して、受付に行った。


「すみません。」


「あ、お待たせしました。」


そう言って受付のお姉さんが対応してくれた。


「冒険者に登録したいのですが。」


「はい。それではこちらに、ご記入をお願いします。」


そう言って、俺の前に申請書が置かれた。


「あ、すみません。俺じゃなくて、この二人です。」


「そうですか。もう一枚必要ですね。ってあれ、あなたはサラ姫ではございませんか?」


「そうですけど。」


サラは答えた。


「サラ姫様も冒険者登録をなされるのですか?」


「はい。何か問題でも?」


サラは困ったように答えた。


「いえいえ、問題ありません。ちょっと疑問に思っただけです。

それではこちらの用紙にご記入をお願いします。

書けるところまでで結構です。書けましたらこれに血を一滴たらしてください。」


そうして、サラとミラは申請用紙に必要事項を記入し、冒険者カードに血を垂らした。


「では、少々お待ちください。ってその前に、あの~お二人は、冒険者ですか。」


「はい。そうです。」


俺は答えた。


「冒険者ランクはいくつですか。」


「Dランクです。」


そう言って、俺とネロは冒険者カードを受付のお姉さんに見せた。


「そうですか。それでは、PTの登録をしませんか。

いくつか条件は有りますが、こちらのお二人は、冒険者ランクEから始めることが出来ますよ。」


そう言って、サラとミラを指した。


お、そんないい制度があるのか。


「その条件とは?」


俺は聞いてみた。


「本来なら冒険者ランクFから始まりますが、お二人が冒険者のイロハを教えることが一つと。

あと、PTを結成した時のメンバーの総意で加入や脱退を承認することで、

基本的にはPTでクエストをしていただくことになります。」


なるほど。冒険者の心構えを教えるのと、勝手にPTの脱退や加入が出来ないと。で、クエストはPTでか。別に問題ないな。


「わかりました。大丈夫です。PTの申請をお願いします。」


「それでは、お二人の冒険者カードもお預かりして、PTの処理も一緒にしてきますね。」


そう言って奥の事務室に入って行った。


「ねえ、PTを組むと私たちのランクが一つ上がるの?」


ミラが聞いて来た。


「たぶん、事務の効率化だろ。新米冒険者は、ギルドからいろいろと心構えを教えてもらわないといけないから。」


「それって、難しいの?」


サラも聞いて来た。


「いや、サラとミラだったら問題ないよ。既に一般常識を持っているし。たぶん紙が渡されるからそれを読めば問題ないよ。なぁネロ。」


「なんで私に振るのよ。私が、常識が無いみたいじゃないの。」


「いやいや。そんな深い意味はないよ。あははは~」


「まったくもう。」


「お待たせしました。これが冒険者カードです。

そしてこれが、ご案内ですので後でお読みになってください。」


とギルドカードと紙を渡された。


ほんとにそれ以上の説明は無かった。


ま、いっか。聞くの、めんどくさいし。


「ねえねえ。これが依頼書?」


そう言ってミラは掲示板を指した。


「そうそう。ここの掲示板で好きなクエストを選んで、受付に番号を伝えるんだ。」


「へ~。いろいろなクエストがあるのね。」


ミラは興味津々に見ていた。


「やっぱりミラって字が読めるの?」


俺の耳元でささやいているネロがいる。


「見ての通り。依頼書は理解できていると思うよ。

そうだ、ネロ。ミラとサラに読み書きを教われば。」


「ん、ネロは読み書きできないの?」


サラが聞いて来た。


「できないわよ。教わらなかったし。」


たぶん嘘だ。ネロは勉強が嫌いだ。


「今度、私が教えて上げるわ。ネロは私に剣術を教えてくれるから、お互い様ね。」


とサラが返答した時、ミラも


「私も教えて上げる。いろいろ鍛えて貰ったし、お礼として。」


と顔がニヤけている。


ネロはそのミラの含み笑いに後ずさった。


たぶん、ネロは気づいた。ミラの復讐を。


「サラ、優しく教えてね。」


ネロはサラの方に近づいた。


「いいわよ。や·さ·し·く·教えてあげる。」


サラの言い方もなんか怖い。


ネロはその言葉を聞いて青くなっている。


「ははは~。それじゃ、今度またゆっくり掲示板を見に来よう。次は宿屋探しね。」


そう言って俺たちは冒険者ギルドを後にした。



「ここがいいわ。」


ミラが大きい宿屋を指して、目をキラキラさせながら言っている。


「無理無理。どこにそんなお金があるの?」


「いいじゃない。さっきお金もらっていたでしょ。」


「そりゃそうだが。一泊ならともかく、連泊する可能性があるから、もっとランクを落とすよ。」


「わかったわよ。」


ミラは、少し怒っている。


「じゃあここは? この前の所と同じぐらいだよ。」


そう言って次の宿屋をミラは指した。


「だから、高級な宿屋は無理だって。この前の時は祭りで混んでいて、選ぶことが出来なかったの。

たまたまサラがいたから泊まれたけど。」


「そうなんだ。じゃあ、どれ?」


ミラは俺に指示を仰いだ。


「あれ、ぐらい。」


俺は、普通の宿屋を指した。


「ええ~」


サラも反抗してきた。


「いいの。冒険者はあれぐらいでちょうどいいんだ。なあ、ネロ。」


「うん。私はユート君と一緒だったらどこでもいいよ。」


お、ネロは俺の味方だ。


「ちょっと、ネロ。なにユートにアピールしているのよ。

今日ぐらいは、少しお高い宿屋でもいいじゃないね。サラ。」


「私も、ユーちゃんと一緒だったら、どこでもいいよ。」


あ、サラがミラのことを裏切った。


「あ、ちょっと。解ったわよ。ごめんなさい。わがままは言いいません。」


ミラも2人に裏切られて諦めたようだ。


「今度、クエスト受けて報酬がたんまり入ったら、良い宿屋に泊まろうな。ミラ。」


「はい・・・。」


ミラはちょっと大人げなかったのか、落ち込んでいた。


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