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ユート、嵌められる

「今日は、みんながどれくらい頑張ったか、成果を見たいと思います。」


「もちろん。いいわよ。」


ミラがやる気を出している。


「じゃあ ダンジョンに出発しよう。」


そう言って俺たちはダンジョンにやって来た。


地下1階、ここはゴブリンが出る。


俺たち4人と一匹が歩いている。


あ、ゴブリンがいた。


と思ったら俺たちを見つけたのか、すっごい速さで逃げて行った。


「なあ、ダンジョンのゴブリンって逃げるのか?」


「さぁ~。最近、私の顔を見ると逃げ出すわ。」


ミラがため息をつきながら言った。


たぶんここのダンジョンが特別だと思うが、普通、ダンジョンのゴブリンが逃げ出すことはなんてありえないだろ。


どれだけ、ゴブリンをいじめて来たのか。


地下2階、ここは、蜘蛛が出る。


蜘蛛も、さささ~と消えていく。


「どうしたんだ?」


「さぁ~。」


ミラが返事をしているが、ネロとサラは


「くすくす」


と、小さく笑っている。


地下3階、ここは、赤い蟻が出る。蟻も、さささ~と消える。


途中、黒い蟻もいたが同じ様に逃げて行った。


何なんだ、いったい。おかしい。


地下4階、ここには、始めて来る。


何のモンスターがいるか解らない。


「さぁ~、初めての地下4階だ。しまっていこう。」


そう言った俺を見て、3人でくすくすと笑っている。


ん、何だ。意味がわからん。


歩いて探索していると、進行方向の奥の方に大きい魔物がいることに気が付いた。


だが、一向に近づけない。


「あのさぁ、あの魔物は俺たちと一定の距離を保っているが、なんか俺たちを罠にでもはめようとしているのか?」


「さぁ~。来たことないし、解らないわ。」


ミラも不思議そうに言っているが、少し笑いをこらえている。


ネロとサラもお互いの目線で確認をしているようだ。


しばらく歩いていると、下の階へ降りる階段を見つけてしまった。


「あれ~、一回も魔物に遭遇しなかったぞ。どうなっているんだ。この階は?」


「さあ~知りません。一回も来たことが無いし。」


ミラは平静を取り戻したのか普通に言っている。


「次、行こう。」


ネロがそう言って、勝手にダンジョンの最終回、5階に下りて行った。


「おい、ネロ待て~」


と俺が言ったが、ミラとサラもネロの後を付いて、さっさと下の階に下りて行った。


「どうしたんだよ~」


誰もいない階段の前で俺は叫んだ。


俺はその場に取り残された。ハクは俺と一緒にいる。


ハクに聞いてみたが、完全に無視された。


たぶん怒っている。俺が弓事件の時に犬扱いをしたから。


この前のサラのお姉さん事件で、犬みたいに臭いで解ると俺が思ったことに対して、


「臭いで解るはずがないだろ。あれは、サラの魔力を感じて見つけただけだ!」


ってハクに強く言われ、そこから俺のテレパシーに反応してくれない。


あいつらだけで地下5階に下りて行ったので、すごく心配だったので、その後を追い、地下5階に降りた。


「何しているの、早く行くわよ。」


ネロが急かすように俺に言ってきた。


「ここ、地下5階だよ。大丈夫なの。あれ、ミラとサラは?」


「なんか、サラが、お腹が痛いとか言って、ミラが連れて帰ったよ。

ユート君、せっかくここまで来たから、ボス部屋を見てから帰りましょう。

危険だったらすぐに帰るから。ね。ね。」


ミラとサラはどうやって帰ったのか知らないが、きっとゲームみたいに帰還のポータルみたいのがあって帰ったんだろうし、

地下5階でもネロとハクと一緒なら大丈夫だろうと考え、


「ああ、危険だったらすぐに帰るぞ。」


そうネロに伝えた。


5階を探索していると、見たこともない魔物の死体が転がっている。


「きっと共食いね。」


ネロはそう言った。


俺はそのまま、ネロの言ったことを信じた。


そんなこともあるのだろうと。


なぜ、思ったかというと、死体の種類が3種類あるからだ。


たぶんなんだけど、一体がスケルトン。


2体目がカンガルーと熊をたしたような魔物。


足がカンガルーで手が熊みたいにでかい。


この手で殴られたらひとたまりもない。


もう一匹が、たぶん。ゴーレム。土の。


崩れていて良くわからないが。これもスライムと同じで核が壊されている。


だから、魔物どうして鉢合わせしたら、戦うのかなって、思った。


しばらくすると、


「着いたわ。」


とネロが指差した。そこのボス部屋は既に、扉が開いていた。


「おい、ネロ。扉が開いているぞ。」


「どうしてかな。不思議ね。行ってみましょう。」


そう言って開いている扉に俺たちは近づいた。


「ミラ、サラ、何やっている。そんなとこで!」


俺はボス部屋の中で仁王立ちしている二人を見つけ叫んだ。


「ミラ~、サラ~、大丈夫~!」


ネロも叫んでいる。


ミラとサラは俺たちの声に気が付いたのか、


「あ、ユート (ユーちゃん)助けて...」


と助けを求めている。


ミラとサラの奥を見ると、祭壇があり、その後ろに黒い服を着た骸骨がいる。


あいつに捕まったのか。


「大丈夫だ。今助ける。」


「だめ、来ちゃ。」


サラが叫んでいる。


「どうしてだよ。」


と言いながら近づいて行くと、ミラが俺に攻撃を仕掛けてきた。


俺は咄嗟に、剣で上から振り下されたミラの剣を防いだ。


すると今度は横からサラの剣が俺の腹を目がけて切り付けて来た。


おれは、後ろに飛び、距離を取ってネロにそばに行った。


距離を開けるとミラとサラは攻撃してこない。


「ネロ、ミラとサラは操られているのか?」


「たぶんそうね。あの後ろのリッチが操っているんだわ。」


そう言ってネロは上半身がどくろで、黒い洋服を身にまとった、少し浮いているリッチを指した。


「私が、ミラとサラを相手にしたら傷付けてしまうわ。

だからユート君がミラとサラの相手をして。私が、リッチを倒すわ。」


「解った。じゃあリッチをよろしく。」


俺は、サラとミラの方に駆けよった。


ネロはリッチに向けて走り出した。


「きゃ~。」


ネロは何の攻撃を受けたか解らないが叫んで、祭壇の前に倒れ込んでいる。


「ネロ~!」


俺は心配して叫んだ。


だが、ミラとサラの攻撃は続いている。連携もしていて、剣捌きも鋭い。

なんか操られているせいなのか。マジで強い。


おれ、本気を出さないと負けるかもしれない。


あ、そう言えばハクがいた。おいハク。リッチをやっつけろ。


「・・・・」


あれ、ハクがいない。


周りを見渡してもハクがいない。どこ行ったハク~。


呼んでもうんともすんとも返事が無い。


俺は、ミラとサラを相手にしながら周りを見たが、ハクはどこにもいない。


俺はハクを探すために、ミラとサラから一旦、距離を取って、攻撃される範囲を出るために、さっきの場所まで後退した。


だが、ミラとサラはどこまでも追いかけて来て、攻撃を緩めない。


やばいな。このままだと俺、やられるな。


そう思い、とりあえず、ミラとサラが持っている武器を無効化しようと、


「ウインド」


と唱え、俺は手に風を集めボール状にした。


青オーガと赤オーガリーダーを倒した技だ。


サラが、俺に近づいて来たので、サラの剣を破壊するために、

手のボールを、サラの剣にぶつけて壊そうとしたら、ミラがその間に入って来た。


やばい。このまま、ミラに当ったらミラが死んでしまう。


そう思って、手のポールは飛散させた。


「あっ!」


サラの剣が俺の頭のすぐ上に来ていた。


もうだめだ。やられる。俺は、目をつぶり、死を覚悟した。


数秒経った。あれ、衝撃がないぞ。


恐る恐る目を開けるとそこには、にっこり笑うミラとサラがいた。


「あ、嵌められた~。」


俺は大声で叫んだ。


だって、ここまで来る途中、どう見ても、3人の行動がおかしかったから。


「どう、私たち強くなったでしょう。」


ミラが笑いながら俺に立つように手を貸した。


俺はその手を掴み立ち上がった。


リッチに倒されたネロも、立ち上がった。


ハクは、リッチの後ろから出できた。


騙された俺は、困ったような、悲しそうな顔をしているとそれに耐えられなくなったサラが吐いた。


「ごめんね。ユーちゃん。私はやめようと言ったんだよ。」


って。


「ずるいわよ。サラ。3人と一匹で相談して決

めたんでしょ。」


ミラがサラに反応している。


「そもそも、ネロがオークのLV上げの話をしたからこうなったんじゃない。」


ミラがネロのせいにした。


「ちょっと、待ってよ。ミラがユートだけ強いからずるい、見返してやりたいって言っていたじゃん。」


ネロが俺に近づきながら言った。


「言ったけど、サラだって、ユーちゃんに強くなった私を見てもらいたい。感じてほしいって言っていたじゃないの。」


とミラが言い、俺に対して三人でやり過ぎた感が出たのか今度は責任のなすり付けが始まった。


「ゴン・ゴン・ゴン」


ついでにもう一匹


「ゴン」


俺は3人と一匹に強めにゲンコツを落とした。


「いった~い。」


「ごめんなさ~い。」


「もうしませ~ん。」


「キャイ~ン。」


3人と一匹は涙目だ。


「もういいよ。俺もいたずら好きだしさ。でも、今回のこれはないだろう。ミラを傷つけるところだったぞ。心配したんだからな。」


「ごめんなさ~い。」


三人と一匹は反省したらしい。


「でもさ、ほんとお前たち強くなったな 誰が、リッチを倒したんだ?。」


「はい。今回は私。」


ミラが手を上げている。


「すごいな。ミラ、強くなったな。って今

回って? ネロもサラも倒しているの?」


「うん。一番最初は、私がハクの助けもあってリッチを倒したわ。

それでそのまま、ボスの部屋を出て、サラとミラの元に戻ったの。

で、その後、私は、リッチでLV上げをしていたわ。」


ネロは自慢げに話した。


「サラも一人でリッチを倒したの?」


「ええ、倒したわ。」


信じられない。


リッチがどれくらい強かったか解らないが、

ミラのことで考えると、冒険者にすらなっていない人間が、数日間で小さいけどダンジョンをクリアしたってことか。


しかも一人で。


「いや~、マジで辛かったわよ。ネロのしごきわ。」


ミラが遠い目で言った。


「何言っているの。ハクちゃんだってすごいわよ。ネロちゃんのやり方を見た所からハクちゃんの目つきが変わって怖かったわよ。」


サラが怯えたような目でハクを見て言っている。


「く~ん。く~ん。」


ハクはサラにごめんねと言っているようだった。


「ま、いいか。それで、ボスを倒したら、ダンジョン討伐は終わりなの?」


俺が聞いたら、サラが反応した。


「う~うん。ボスを倒すと、ボス部屋の奥に扉が現れて、そこに入ると何かが起きて終了なの。」


とサラは奥の扉を指した。


そう言えは、その扉はず~とあったな。そういうことか。


「で、みんなは入ったの?」


「まだだよ。黙ってダンジョンクリアーしたら怒られると思って。」


サラは、さっきの件もあり、少し訳そうに言った。


「だから、俺をだますという結果になったのか?」


「うんうん。」


3人と一匹は頷いている。


「でも、ダンジョン初クリアーをユート君と味わいたくて。」


「そうよ。そうよ。みんなで達成したってことでね。ねえサラ。」


ネロとミラは何とかその場を取り繕うとしている。


「でも、おれ、何もしてないし、最後は3人と1匹のボスに完敗だったし。

俺にはそんな資格ないよ。・・・」


ちょっと拗ねてみた。


「ごめんね~。もうしないから~」


そう言って3人で俺に抱き着いできた。


汚い。女の武器を使ってきた。

でも、ちょっとうれしい。しかもみんなやる気を出してくれて、強くなってる。


なんか俺だけ、強いのもどうかなと思っていたけど。


俺が本気を出せば、3人と一匹に勝てるけど、でも、今回のミラとサラとの戦いで、

味方を人質に取られたら俺でもまずいってことにも気が付くことが出来たし。ま、いいか。


「解った。許すよ。みんなで扉に入ろう。」


「は~い。」


相変わらず、そういう時は3人でハモルんだな。


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