表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
51/127

サラの魔法の弓が盗難に遭う

そんなこんなで、2週間が経った。


今日のLV上げを終え、ダンジョンから帰って来たサラが叫んだ。


「あ、私の弓がない。ここに置いておいたのに。」


「ん、知らないよ。」


ミラが弓を探しながら言っている。


「無い無い無い。どこにも無い。どうしよう。みんなから貰った大切な弓なのに。」


「どうしたサラ、ちゃんと探したのか?」


「あたりまえじゃない。いつもここに置いていたの。きっと盗まれたんだわ。どうしよう。」


「ネロ、知らないか。」


「知らない。」


俺がネロに聞いてみたが、知らないみたいだ。


ということは、俺たちが部屋を空けている時に、盗まれたってことだな。


「ハク~。犯人を見つけることできるか~?」


俺はみんなに聞こえるように言った。


「わん。」


ハクは返事をした。


「え、ハク解るの?」


サラは期待した目でハクを見た。


きっとハクは臭いで解るんだと俺は思った。


「わんわん。」


ハクは吠えて、外に向かって走り出した。


4人でハクを追いかけて行くと、村長の家の前に止まった。


「わんわん。」


とハクが吠えた。


「え、ハク。ここに弓があるの?」


サラは不思議そうにハクを見ている。


ハクは勝手に村長の家に入り出した。


「ちょっと待って、ハク。」


サラは慌ててハクを追いかけた。


俺たちもハクの後を追った。


ハクが螺旋階段を2階に上がり、そのまま3階に上がった。


「ハク、だめじゃない。勝手に入って。」


サラはハクを捕まえた。


サラはふと、部屋の中を見るとそこには、サラのお姉さんが弓を持っている姿があった。


「あ、それ、私の。」


サラは叫んだ。


俺たちも3階に上がりサラの様子を見ていた。


「どこにあなたの弓って証拠があるの?」


サラのお姉さんはこちらに気づき、サラに弓を見せながら白々しく言った。


「えっ、それは~。」


サラはお姉さんに面と言われて、どうしていいか解らない状態だった。


「ほうれみなさい。そもそもこの弓は私のなのに、私に言いがかりをつける気。」


サラのお姉さんは、少しニヤついた顔で言い放った。


こいつ何言っているんだ。確かにあの弓は俺たちが見つけた弓だ。


そう思っているとハクがサラの一歩前に出て、咆哮を発した。


それもかなり強烈なやつ。


「ひぃぃいい~」


サラのお姉さんは腰を抜かしており、怯えた様子で、ハクを見ている。


「どうした。!!」


ハクの咆哮を聞いて、村長が急いで上の階から3階に下りてきた。


ハクの咆哮は、村中に響きわたり、外を見ると村中のエルフが村長の家の前に集まってきている。


「ホワイトウルフの泣き声が聞こえたが何があった!」


村長が叫んだ。


ハクがサラのお姉さんを睨み付け、腰を抜かして涙目になっている状況を村長は確認した。


「お父様、助けて、ホワイトウルフに殺される~。」


サラのお姉さんは村長に助けを求めている。


村長はこの場所に俺たちもいたので、状況を把握するために、俺たちに聞いて来た。


「これは、どういうことだ?」


「サラの弓をサラのお姉さんが盗んだみたいだ。」


俺は答えた。


「サラ、そうなのか?」


「はい、あの弓は私のです。」


「どこにそんな証拠があるの!。これはわたしのだ~。」


サラのお姉さんは引くに引けなくなったのか悪あがきをしている。


「いい加減にしろ。なぜおまえはそんなことをする?」


村長がサラのお姉さんに怒鳴った。


「この魔法の弓は私のだもん。絶対に渡さないもん。」


サラのお姉さんは弓を見て、弓は私の物とぶつぶつ言っている。


「いい加減にしろ!」


パン。


村長はサラのお姉さんに近づき、頬を叩いた。


サラのお姉さんは、横にたおれ、右手を叩かれた頬に沿え、もう一つの腕で上半身を支えながら言った。


「だって、おかしいよ。この弓はエルフの宝物よ。

どうして、ハーフのサラが魔法の弓を持っているの。

絶対にサラがエルフの宝物を盗んだんだわ。」


「そんなことしていないわ。これは、ユーちゃんにもらったの。」


サラは事実を言った。


「魔法の弓、これはどこで手に入れたものなんだ。ユート殿?」


村長は俺に聞いて来た。


「ああ。あの弓は、先日、ダンジョンで宝箱がドロップして、その中に入っていましたよ。」


俺はそう告げると、村長は横に落ちている弓を拾って、サラに渡した。


「サラ、その弓を外に向けて放ちなさい。」


村長はサラに命令した。


「わかりました。」


そう言うとサラは弓を構え、矢を放った。光の矢を外に向けて。


矢は、大きく弧を描くとやがて消えて行った。


村長の家に集まっているエルフたちは、その光景を見て、歓声を上げた。


「その弓はサラを持ち主と認めたんだな。サラ、その弓を私にもう一度、貸してくれ。」


そう言って村長はもう一度サラから、弓を受取った。


村長はサラのお姉さんに近づき、


「本当にお前のだったら、さっきサラがやったように、出来るだろ。やって見なさい。」


そう言って村長はサラのお姉さんに弓を渡した。


「何よ。私だって出来るわよ。見ていてなさい。」


そう言って弓を構えた。


サラのお姉さんは、目を閉じたり、呪文みたいのをぶつぶつ言ったり、いろいろやっているみたいだが、いっこうに弦は発現しない。


「何よ。この弓、壊れているんじゃないの!」


そう言って、弓を床に投げつけようとした。


その時、また、ハクが吠えて、その行動をキャンセルさせた。


「いい加減にしろ、これはサラのだ。」


そう言って村長はサラのお姉さんから弓を取り、サラに返した。


「ある、一定の強い武器や防具は、使う相手を選ぶ。サラが弓を放ったって言うことは、そう言うことだ。」


と村長はサラのお姉さんに言った。


そういうことで、無事にサラの弓が見つかった。


めでたし、めでたし。


あとから村長に話を聞いたんだが、

サラのお姉さんは、サラが逆にエルフの村をたびたび外出ていることに嫉妬していたらしい。


しかも、今まで、みんなに虐げられ、みじめだったサラが、カッコいい男を連れて、

女の友達も増え、さらには森の守り神と一緒に楽しく冒険していたことが羨ましかったらしい。


しかも、エルフ全員の夢である魔法の弓を持っていて、

楽しそうに矢を放っているところを見て、さすがに我慢できなくなったそうで、

こんな行動に出たということだそうだ。


でも、カッコいい男って誰だろう。まさか俺じゃないよな。村長の社交辞令だな。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ