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ダンジョンでLV上げ 2

俺たちは3階に下りて、探索を始めた。


次はどんな魔物が出てくるのだろうか。もうそろそろ強い敵が出て来てもいい頃なんだが。


そう思っていると


「敵よ。」


ミラが声を張った。


「ユート君。こっちからも来たよ。」


後方のネロも警戒している。


「とりあえず、ミラとネロがんばって。」


「はい。」


二人は返事をした。


「ユート、蟻よ。それも大きくて赤いわ。」


ミラが叫んだ。


ん、蟻か。ということは、


「ミラ、ネロ。お尻に針があって毒を飛ばすかもしれないから気を付けろ~。」


と俺は叫んだ。


「こっちは大丈夫よ。もう倒したわ。」


ネロは仕事が早い。


「ちょっと私じゃ無理かも。全然、刃が立たない。」


ミラは頑張って蟻を切り付けているが、

ガンガンと音がするだけで、

蟻の勢いは止まらない。


「ちょっと、ミラにはむずかしいか。サラ行けるか。」


「ちょっと待って、試したいから。」


そう言ってサラは弓を構えて放った。


ガ~ン。


蟻の固い皮膚に弾かれ、音がダンジョン中に鳴り響いた。


「やっぱり弓じゃ無理か。」


そう言って腰から剣を抜き、前方の蟻に駆けて行った。


蟻の体長は1mぐらいで、牙がでかい。

全体が朱色で頭の部分がより光っていて固そうだ。


ミラが蟻の正面で、蟻の牙の攻撃をかわしながら剣で蟻の頭を叩いているが、

カンカン言っているだけで一向に傷を与えられない。


その間に横からサラが、蟻の前足を一刀両断した。


蟻は悲鳴を上げ、バランスを崩しそうになったが、

他の足に重心を移動させ耐えた。


切られた足の恨みか、サラを先に倒す目標として定め、

蟻の後ろのお腹の先から大きい針をだし、

お腹を丸めるようにしながら下から刺すように飛んできた。


しかし、サラはさっきの俺のアドバイスを聞いていて、簡単に横に躱した。


そしてそのまま、蟻のお腹を横から切り裂いた。


するとバサーって蟻の体液が腹から吹き出

し、サラが頭からもろに浴びてしまった。


「うわ~」サラも叫んでいる。


さすが昆虫だけあってしぶとい。


ミラもやわらかい場所が解ったのか、頭を狙うのをやめて、お腹を狙って切り付けている。


そうこうしているうちに、蟻は流石に切られ過ぎたのか、静かになって死んだ。


「あ~あ。サラ。そんなになって。だめだな。」


俺は、酸っぱいにおいがするサラに近づきダメ出しをした。


「え、やっつけたよ?」


サラは、困惑している。


「だってさ、サラ、もし、その魔物の体液が毒だったら。酸だっら。

お前は死んでいるぞ。」


「はっ」


サラは気が付いたみたいだ。


「敵がオークだったらどうする? 一生、誰もサラに近づかないぞ。なぁネロ。」


「あんな思いはもう嫌。」


ネロは両手を肩に抱いてブルブルしている。


「サラ、良く見て見な。ネロを。綺麗だろ。ああいう倒し方が一番なんだぞ。解った?」


「はい、頑張ります。」


みんな素直だ。


「ネロ、クリーンね。」


「了解」


サラの酸っぱいにおいは消えた。


「ワン、ワン」


ハクが吠えだした。


「どうした。ハク?」


俺は心の中で聞いた。


「主、蟻が集まってきている。」


ハクが教えてくれた。


「おい、みんな、さっきの戦いの音で、蟻が集まってきているぞ。

逃げられそうにないから総力選だ。ハクも行けるか?」


「ワン」


「じゃあ無理すんなよ。ハク行け。」


ハクは後方に走って行った。


たぶん後方の方が、魔物の数が多いのだろう。


「後ろはハクに任せて、前から来るぞ。ミラは無理するな。

サラ、今回は体液浴びてもいいぞ。ネロ、自由にやれ。」


「はい。」「わかりました。」「はいよ~。」


「よし、行け~。」


女子3人は蟻に向かって走って行った。


俺もその後を追いかける。蟻の数は解らない。


ダンジョンの床はもちろんのこと、両脇の壁、天井にまで逆さになってくっ付いている。


前には、赤い蟻だらけだ。


先に攻撃を仕掛けたのはミラだ。


だが、集団戦になれていないので、他の蟻の足に吹き飛ばされて、俺の前に倒れている。


「大丈夫か。ミラ?」


俺は声を掛けると同時にヒールを唱えた。


ミラは不思議そうに自分の体と俺を見て


「ユート、ヒールもできるの?信じられない。でもユートが居れば心強いわ。」


そう言って、戦いに戻って行った。


「ミラ、あんまり無理すんなよ。死んだら、直せないからな。」


そう言って様子を伺っていたら、


「きゃ~」


とミラの叫び声が上がった。


「ミラ!逃げて~」


サラが叫んだ。


ミラが倒れ込み、蟻の口がミラの首をかみ切るところだった。


俺は急いでミラの元に駆けつけ、蟻の固いであろう頭に剣を突き差し、蟻の攻撃を止めた。


「ミラ、今回はお前の腕じゃ無理だ。荷が重いな、下がって見ていろ。」


そう言って俺はミラの両脇をもって後ろに引きずって下がらした。


「さすが、ユート君。助けると思っていたわよ。」


赤い蟻と戦いながらネロはミラの様子を見ていて俺が助けると解っていた。


「だろうな。」


そう言ってミラの方を向いた。


ミラは歯を食いしばっていた。


「私も、ネロやサラの様に強くなりたい。」


「なれるよきっと。」


「どうやって?」


「鍛練だな。ネロとサラは、これでも地獄を見て来ているからな。最初からここまで強くないよ。」


「そうなの?」


「そうだよ。」


「私も、ネロとサラに肩を並べられるなら、地獄にでどこへでも行くわ。」


「そうか頑張れよ。今回でだいぶダンジョンのことが解って来たから、

数日、ダンジョンで訓練するから。覚悟しておけよ。」


「うん。わかったわ。」


そう言って俺とミラは、ネロとサラの戦いを見た。


さすがネロは余裕がある。先頭に立って、360度、プラス上と下にも目があるような動きをしている。


それで、わざとサラが相手をしやすいように、2匹ぐらいまで蟻を通している。


「すごいね。ネロ。」


「ああ、あいつは天才だ。たぶん剣術だと俺より強いよ。」


「え、そうなの?」


「うん。たぶん。」


「へ~すごいんだね ネロって。」


ネロって魔女なんだけど剣術の方がうまいってなんなの。


つてミラに言いたかった。


「サラもすごいね。私じゃあ、全然刃が断たなかったのに。

サラもだんだんと倒すスピードが上がっているし。」


「サラも天才肌って言うか努力家だね。

さっき初めて見たけど、サラの弓の腕は一級品だ。

サラの得意な武器って弓だと思うけど、それにこだわらず、剣もがんばっている。

本来だったら弓だけでも立派なのに、剣までとは、すごいよね。」


「そうね。私も出来るかしら。」


「大丈夫だよ。ミラは頭が良いし、ネロと同じことをやっても敵わないと思うけど。

ネロは魔法が苦手みたいだよ。」


「そうなの?じゃあ私、剣と魔法を頑張ろうかな。」


「いいんじゃない。きっと得意なものが見つかるよ。」


「私、頑張るわ。」


そんな話をしていると


「ワンワン」


とハクが帰って来た。


「あ、お帰りハク。」


ミラがハクの頭を撫でている。


ハクはほとんど汚れていない。


「ハク、片付いたのか。」


「わん。」


全部片付いたらしい。


もうそろそろネロたちも終わりそうだ。


さすがにネロとサラは疲れて来て、動きが鈍くなっている。


「お~い。あと少しだ。がんばれ~。」


「がんばって~、ネロ~サラ~。」


「わん。わん。」


俺たちは声援を送った。


「ちょっと、ユート君も手伝いなさいよ。」


いい加減ネロは飽きて来て俺に切れてきた。


「ネロ~、このダンジョンの件が終わって、ライオネル城に戻ったら、プリンを食わせてあげるからさ。」


「なに、プリンって?」


ネロが蟻と戦いながら聞いて来た。


「それは、とてもおいしいお菓子だよ。なあ、ミラ。」


「そうよ。私も一回しか、食べたことないよ。」


「ちょっと何、プリンって?」


サラまで聞いて来た。


「黄色くてぷるるん としてとてもおいしいんだよ。」


ミラが説明している。


「わかったわ。頑張る。」


ネロの蟻を倒すスピードがここに来て、一段階上がった。


最初の時よりも。


「ネロは面白いね。」


ミラが俺につぶやいた。


「そうなんだよ。いいキャラだよな。」


サラもがんばっていて、とうとう、全ての蟻をやっつけた。


ネロとサラは肩を上下してはぁはぁしている。


さすがに2人とも、蟻の体液まみれで酸っぱいにおいがする。


いったい全部で何匹いたんだろう。解らない。


でもダンジョンっていいな。全部ダンジョン

に吸収されるから。


オークの時もダンジョンの中だったら楽だったのに。


俺たちは、ネロとサラの呼吸が収まるまで、休憩した。


もちろん、ネロは自分とサラにクリーンを唱えている。


蟻を倒した時よりもクリーンを使ったことでネロの顔色が悪い。きっと使い過ぎだ。


「今日はもう戻ろう。」


「うん。」


俺とハク以外はみんな、くたくただ。



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