ダンジョンでLV上げ
朝、ダンジョンに来る前に村長の家に向かい、
一応、俺たちの格好を見せ、装備を使っていいか了解を得ることにした。
「ほ~みなさん。冒険者らしくなって。いいですよ。あの倉庫にはいっている物は、自由に使ってもらって。」
そう村長が言ってくれたので、
「あの~、一番奥にあった、緑色に輝く剣もですか?」
って聞いたら村長はビックリして
「お主、その剣に触ったのか。」
「はい。だめでした?」
「いや、お主、体に異変は無かったか?」
「そんな、特には。」
「う~ん・・・。よし。このダンジョンの件が無事に完了したら、その剣をお前にやろう。」
村長が言うと、
「村長、いいのですか。あの剣は!」
側近が村長の考えを改めるように言った。
「いいのじや。お前は黙っておれ。」
「でも~。」
側近はしぶしぶ引き下がった。
「お主らの働きには期待しているぞ。ダンジョンの討伐を頑張っておくれ。」
「はい。わかりました。」
と言い、俺たちはダンジョンに向かった。
今、俺たちはダンジョンの前に来ている。
「とりあえず、先頭はミラね。その後は俺とサラ。
最後はネロね。魔物が出たら、ミラがやっつけてね。ハクは俺と一緒ね。」
「はい。」
ミラはちゃんと返事をしている。
「さあ、行こう。」
そう言って俺たち4人はダンジョン入って行き、地下1階を探索した。
ダンジョンの1階で出る魔物は、ゴブリンだ。
この前も少し探索したからわかるけど、ゴブリンだとミラの相手にはならなかった。
「ミラ、強くなったね。」
「当たり前よ。ダンに毎日、鍛練してもらたったんだから。それはもう辛かったわ。」
「そうか。それじゃ~、次は地下2階に行ってみますか。」
そう言って下の階に行く階段を探した。
「あ、階段だわ。」
ミラが指を差している。ミラを先頭に順番に2階に下りて行った。
2階で探索しているとミラが調子に乗って一人でどんどん進んでしまい、
俺たちとミラの間隔が大きく開いていた。
しばらくすると、
「あっ」
とミラの声がしたと思ったら、ミラが立ち止まった。
「きゃ~、蜘蛛よ。蜘蛛。」
そう言っておれた達の方にミラは逃げてきたが、急に転んだ。
正確に言うと、蜘蛛が口から糸のようなものを飛ばし、
ミラの背後から糸が足と体に絡まって、転んだ。
サラは背中から矢を取り、蜘蛛に標準を合わせて弓を放った。
それは、蜘蛛の眉間に刺さり、蜘蛛が足をばたつかせていたが次第におさまり蜘蛛は死んだ。
「ナイス。サラ。」
「ありがとう。ユーちゃんの」
「ミラ、大丈夫?」
ネロがミラに駆け寄って蜘蛛の糸を取ろうした。
「ネロ、ちょっと待った。」
俺は、ネロを制止した。
俺は未だに糸を取ろうとしてもがいているミラに近づき、
「ミラ、死ぬところだったぞ。」
糸に絡まってもがいているミラの動きが止まった。
「ミラ、遊びじゃないんだぜ。また、同じ様に何も考えず、
無謀なことをしたら、ダリルの村に返すからな。」
俺は、ミラを心配して強めに言った。
「あと、ネロ。お前も、目の前のことで頭がいっぱいで、その糸に触ったらどうなると思ったんだ。」
「・・・・」
ネロは黙っている。
「もし、毒が付いていたら。もし、ネロが触ってネロまでくっ付いたら、どうするんだ。」
「ごめんなさい。」
ネロは素直に謝った。
「誰かの悪い行動が連鎖して、取り返しのつかないことに発展することってよくあるんだぞ。
今回の場合、ミラが糸に絡まって、それをネロが取ろうとして、ネロまでくっ付いて動けなくなり、
そこに、蜘蛛が数体現れたら俺たちは全滅だぞ。
蜘蛛白体は弱いのに冷静沈着に対応できないから全滅しましたってなるぞ。」
「ごめんなさい。ユート。」
ミラも蜘蛛の糸に絡まり倒れながら反省している。
「ネロ、蜘蛛の糸に触って見な。」
ネロは人差し指で蜘蛛の糸を触った。
「あ、すごい。ねばねばしている。どうしよう指に着いたのが取れない。」
「な。魔物からしてみれば俺たちは食料だ。
だからいろいろな罠もあるし、こういう嫌な攻撃を仕掛ける魔物もいる。
気を付けないと簡単に死ぬよ。ネロ、クリーンだ。」
「あ、そっか。クリーン。」
ネロとミラについている蜘蛛の糸は、弾け飛んで消えた。
ミラは不思議がっていたが、
「ネロが解いてくれたの? ありがとう。」
と礼をいった。
「サラの行動は良かったよ。
蜘蛛を倒した後も今も、周りに気を配り、警戒している。」
「ありがとう。ユーちゃん。」
「ミラは頭がいいんだから、良く考えれば解るだろ、気持ちで動くな。考えて動け。解ったな。」
「わかったわよ。」
「うん。素直でよろしい。ネロは、ま、いいや。」
「なんで私だけ、ま、いいや。なのよ。なんかないの?」
「だって、ネロは、考えるの苦手だろ。大丈夫。ネロは体で覚えるタイプだから。」
「何よ。体って。私を筋肉バカみたに言わないで。」
「褒めているんだぜ。対応力が早いって。」
「そうなの。褒めてるの?」
「褒めてる。褒めてる。」
「それならいいわ。」
ネロは少し笑っている。
「クスクス」
そんなやり取りを聞いてサラは愛想笑いをしている。
さてと、大体、蜘蛛の強さは解った。
サラが弓矢一発で蜘蛛を仕留めていたから。
厄介なのは、あの口から吐く、ねばねばの糸だな。
ま、あのスピードなら、俺とネロとサラは、躱せばいいだろ。
問題はミラだな。
因みにハクは、敵の居場所がある程度解るみたいだが、黙って見ている。
「ミラ、今度は慎重に行けよ。」
「解っているわよ。同じ失敗はしないわ。」
「あ、でも、ミラさ~。蜘蛛は嫌いじゃないの?」
「大丈夫。頑張る。」
「そうか。頑張って。」
そう言ってミラは俺たちの歩くスピードに合わせて探索していく。
お、蜘蛛が現れた。
ミラは剣を構え、蜘蛛の出方を見ている。
糸を警戒しているようだ。ミラはじりじりと蜘蛛に近づいている。
蜘蛛が口をもぞもぞさせ、口から白い糸を吐きだした。
それをミラは、左斜め前に躱し、そのまま、蜘蛛に近づき、
さっきサラが弓を当てた場所と同じところに剣を着き差した。
すると蜘蛛は足をばたつかせて、次第に静かになり、死んだ。
ミラは、蜘蛛に刺さっている剣を抜き、冷静にこちらに戻って来た。
「ミラ、よくやったね。やれば出来るじゃん。どうしてあそこを刺したの?」
「さっき、サラが矢でやっつけた時に刺さっていたから弱点だと思って。」
「お~。やっぱりミラは、頭から動くとさすがだね。これからもそうしようね。」
「はい。頑張ります。」
ちょっとミラの様子が変わった。
この後も、ミラと蜘蛛を戦わせたが、全然、問題なかった。
時には3匹と戦っていたけど、頭を使っているミラはすごく強い。
わざと蜘蛛と蜘蛛の間に立って、蜘蛛の糸を飛ばさせ、
敵同士に蜘蛛の糸をぶつけ、動けなくして、糸が絡まっていない蜘蛛を先にやっつけてから、
動けなくなっている蜘蛛2匹に止めを刺したりしていた。
地下3階に行く階段を見つけた時、
「もうそろそろお昼にしようか。」
と俺はそう言って、魔法の袋から人数分の干し肉を出した。
「わん」
「わ~い。」
ハクと女子3人は嬉しそうだ。
エルフって、ベジタリアンで、エルフの村では肉は食べていない。
だから、ダンジョンで干し肉を出した。なんか、エルフの村で肉を食べていると軽蔑されそうだったからだ。
「サラは、ベジタリアンじゃないの?」
「え、私、そんな訳ないよ。野菜だけなんて嫌よ。よくライオネル城とか行っていたから、食べていたよ。」
「それで嫌われているんじゃないの?」
「え~肉で~。そんなことないよ~。」
「きっとエルフの嫉妬だよ。肉が食べられないから。」
「まっさか~。あははは~。」
なぜかサラは大声で笑っていた。




