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ライオネル王と面会をする。

いま、ライオネル城の門の前に俺たち4人はいる。


しかしなんて大きいお城だ。


そう思っていると、サラが門番と何か話をしている。


たぶん、王様に遭いに来たと言っているのだろう。


しばらくすると、門の奥、城の中から白いひげを生やした白髪頭の身なりがキチットした服装の執事みたいな人が現れ、


「ようこそ、サラ姫。そしてユート様、ネロ様、ミラ様。」


と名前を呼ばれた。


「ミラが名前を呼ばれるって、なんかしたのか?」


「知らないわよ。私だってビックリよ。」


「では、ご案内します。」


と執事が俺たちの前を歩きだした。

それに俺たちはついて行く格好だ。


中庭を抜け、執事が城の扉を開け、中に入るとそこは大理石の様に磨かれた床の上に赤い絨毯がまっすぐ伸びていた。


天井には大きなシャンデリアがいくつも飾られ、横には白い柱がいくつも並んでいて、これぞお城という感じだった。


その赤い絨毯の上を歩いて奥に進むと左右からアーチを上がるような階段があり、

俺たちは左側から2階へと上がった。


そこの奥にはもう一つ白い部屋があり、その奥には大きな扉があった。


たぶんその奥に玉座がある謁見の間だろう。


執事が扉を開けると赤い絨毯の前方には立派な椅子が2つ並んでおり、

その奥の両サイドに、銀の鎧を着た兵士が3人ずつ立っている。


執事は左手で俺たちを促した。


俺たち4人は椅子の方に歩き出した。


サラが止まったので俺たち3人もその場で止まった。


こういう距離感なんだな。


と感心していると、ラッパが鳴り響き、椅子の左側から王様、右側から王妃が現れその後を側近の数名が後を付いてきている。


両サイドのサラとミラは膝をついている。俺とネロは立ったままだ。


「ユート、ネロ、膝をついて頭を下げるのよ。」


ミラが言っているが、俺はあえて無視をした。

ネロも俺に合わせている。


王様と王妃は着席した。


「われはライオネル王5世、ライオネル=ジョセフである。面を上げ~い。

これはこれは、エルフの森のサラ姫、相変わらず美しいのう。」


「まあ、王様ったらお世辞がお上手ですわ。」


「で、今回はどうしてわしのとこに寄ってくれんだか?」


「はい、特に用事は済んでしまったため、王様はお忙しそうなのでご遠慮をいたしましたわ。」


「そんなこと気にしなくて良い。エルフとわしらは昔つからの付き合いではないか。」


「そうですわね。では次回から遠慮しないでお伺いしますわ。」


「そうだぞ、その美しい顔を見せておくれよ。

それでそなた、名をなんと申す。」


王が俺に聞いて来る。


「わたくし、ユートと申します。以後お見知りおきを。」


「おう、そなたがュートか。この度の活躍、あっぱれじゃった。」


「え、活躍と申しますのは?」


「何だ、聞いておらんのか、おい。」


そう言って、王様は側近に指図した。


奥から、商業ギルドの店長が現れた。


「王様、このユート様とネロ様がカイロの町を救ってくれた張本人です。」


ばれていたか。


「ほほほ、よくやってくれた。あの臭いオークを駆除してくれて。

これでまた、カイロが流通して我が領土も栄えるというものよ。なにか褒美を取らう。」


「え、褒美と言われましても、もうすでに依頼料はいただいております。」


「ほほ~、お主は欲が無いのう。気に入った。そなたの格好を見ると冒険者と見るが、違うか。」


「はい。冒険者です。」


「それだったらこれをやろう。おい。」


それを聞いた側近は奥から剣を3本持ってきた。


「これは、鋼の剣じゃ。お前さん持っているロングソードより、切れ味も耐久性も上じゃ。

しかもライオネルの紋章入りじゃ。これを持っていれば、いつでも城下町に入れるし、わしにも会えるじゃろう。」


「ありがとうございます。使わせていただきます。」


「あの~、王様、私もいただいてよろしいのですか?」


ミラが不思議そうに王様に聞いた。


「よいよい、お主にもいろいろと迷惑をかけた。おい。」


そう言って王様は人を呼んだ。


バツが悪そうに奥から出てきたのはそう、先日、ミラにちょっかいを出したあいつだ。


「あんた、なんでここにいるの?」


ミラは声を張り上げた。


「おれ、王子だもん。」


「はぁ~?」


ミラと俺は頭を押さえた。


「そういうことじゃ。」


「サラは知っていたのか!」


俺は怒り口調でサラに問いかけた。


「ええ。もちろん。でもユートさん、手加減していたから。問題ないかと。」


そういえば、俺もサラの正体聞いて無かったな。あの時のことでサラを責めても仕方ないか。


「ごめん。ごめん。サラ。ちょっと怒って。」


「いいのよ。」


「それでサラ姬、お主、エルフの森で問題を抱えておるじゃろ。」


「どうしてそれを。」


サラはビックリしている。


「わしを誰だと思っている。そんなのお見通しじゃ。それで、討伐者は見つかったのか?」


「ええ、そこのユートさんです。」


「そうか。それなら安心じゃ。アリスの息子でもあるしな。」


「え、お母さんをご存知なんですか?」


「あ~、昔、ちょっとな。いろいろ助けて貰ってな。」


「そうなんですか。」


「だから、ミラの話も聞いておるぞ。」


だからか、納得した。


「それでじゃ。わしからのお願いじゃ。どうかこの息子を一緒に連れて行ってくれ。」


「えっ」


王子はかなりビックリしている。


「はあ~」俺たちは呆れている。


俺はサラの腕を肘でつついて無理だよと伝えた。


「王様、それは無理でございます。ダンジョン討伐は危険が付き物です。最悪、命を落とすことも考えられます。どうか、もう一度、ご検討を。」


サラは困ったように嘆願した。


「それは解っておる。でもこのままでも、いつ、こいつは命を落とすかもわからん。

先日だって、お主らにちょっかいを出して、問題を起こした。

ユート殿だったからよかったが、他の者だったら命を落としても文句は言えまい。」


「そうりゃそうですが。」


「じゃあよろしく頼む。王、自らのお願いじゃ。」


「はあ~、どうするか、サラ?」


「ユートさんにお任せるわ。」


あ~、ずり~。最後はそれかい。


「王様、それでは条件があります。王子様に、私の言うことは絶対に聞くと誓わせることはできますか。」


「そんな事だったらいくらだってさせよう。」


「ちょっとお父さん本当ですか。僕は嫌ですよ。」


「うるさい。お前は、ユート殿の下で修業しろ。大丈夫。

お前が死んだって、跡取りはいるから安心しろ。」


「そんな~」




そんなこんなで、今、王子様と俺たち5人は城の前にいる。


俺はふと、いいことを思いついた。


この王子を赤オーガのとこに預けよう。確かサブもある程度、サラの通訳なしで意思の疎通ができたし。


よし。いい考えだ。なんか楽しくなって来たぞ。


俺がニヤけている顔に気づいたのか、王子様はびくびくしていた。


「とりあえず、明日から、ここを出てエルフの森に向かうから、今日は城に帰ってもいいよ。

いろいろ準備もあると思うし。じゃあまた明日ね。」


そう王子様に告げて別れて、俺たちは装備を買いに行った。


「何を考えていたの。顔がニヤけていたわよ。」


相変わらず鋭いネロは聞いて来た。


「いや~ね。王子を赤オーガのとこに預けようと思って、俺らがエルフの森から帰るまで。どう思う?」


「ふふふ~。賛成。」


サラは笑っている。


「ユート君ってホント鬼だね。」


ネロは王子様が不憫みたいだ。


「なに、赤オーガって?」


ミラはもちろんわからない。


「大丈夫。後のお楽しみにしていて。面白いから。」


ネロとサラは、ミラのことも考えると吹き出しそうになっている。


「もう、ずるいんだから。」


「まあまあ。」



そんな話をして、装備屋にたどり着いた。


「とりあえず、剣は王様からもらったから盾かな。」

「私、いらな~い。」


ネロは盾が必要ないみたいだ。


「そう言えば、サラの装備はどうするの。サラだけ王様から何も貰うわなかったよね。」


「そうね。」


「サラの装備も鋼が良いよね。」


「でも高いんじゃないの。」


サラはお金を心配している。


「大丈夫だよ。たぶん。」


「あ、ユート、これ渡しとくね。」


そう言ってミラは袋から小金貨を一枚出した。


「え、なにこれ?」


「これ、アリス奥様にもらったんだ。だから、ユート使って。」


「いらないよ。ミラが使いなよ。」


「いいの。私もこれから一緒に冒険するんだから、一緒に使って。」


「ミラがそう言うならいいけど。」


そう言って小金貨を受け取った。だんだんとお金が増えている。


「サラ、ミラからお金もらったから、これだったら大丈夫だよ。」


といって大銀貨5枚の鋼の剣を買った。


「ありがとう。ミラ。」


サラはお礼を言った。


でもみんな鋼の剣だけど扱えるのかな。重たいのに。


「鎧とかはいらなの?例えば鎖かたびらとか?」


と俺の問いに対して、3人から


「高いからいらない。」


そんな返事だった。


「あ、私の村にもある程度、装備あるからあげるわよ。」


とサラが言い出した。


「そうか。じゃあここでは買わなくてもいいか。それじゃ、着替えと食料を購入しよう。」


そう言って店を出た。




いろんな洋服屋が並んでいる。普通の洋服からドレスまで。


ためしに、っていうことで、少し大きめの

洋服屋に女性陣は勝手に入っていった。


「あ~。もう。」


俺は、その後をついて行った。


中に入ると、いくつかのドレスが並べられている。見本みたいなものだ。


「店員さん 他に洋服は無いの?」


ミラが聞いた。


「ここは特注で洋服を販売しておりまして、ご注文を頂いてから10日ほどで、お渡しできます。」


「そうかぁ、特注か~、ユート、時間ある?」


「ありません。今回は無理です。」


俺はミラに断った。


「ざんねん。じゃあ、既製品が売っている洋服屋に行きましょう。」


そう言ってミラは店を出た。その後をネロ、サラ、俺と続く。ミラはなんか楽しそうだ。


「じゃあ、次はここにしましょう。」


そう言ってミラは店に入って行った。そのあとを俺たち3人は追いかけた。


「あまりいいのが無いわね。仕方がないか。

じゃあ私、この白いのにするわ。」


「私も白。」


「私も。」


サラとネロがミラと同じものを要求している。


「え、3人とも同じでいいの? もっと別のでもいいよ。」


「私はこれでいい。」「私も。」「私も。」


「みんながそれでいいんだったらいいけど。」


まっいいか。お金が多く手に入ったら、違うのも買うでしょ。

俺も、洋服を一着、購入した。



宿屋に戻ってきている。もちろん連泊をお願いしてある。


今、女性陣は先ほど買った洋服に着替えている。俺の目の前は壁だ。ベッドに座って壁を見ている。


「別にユート君、見てもいいのよ。これからもそんなことしたら大変でしょ。」


なんてネロは言ってくるが、見れるはずがない。


「ユーちゃん。着替えたわよ。」


この頃、サラは俺のことをユーちゃんと呼んでくる。さん付だと、他人みたいだからということで。

ネロは君づけ、ミラは呼び捨てだ。


「ほ~。みんな、似合っているね。かわいいよ。」


三人とも、スカートのすそを持ってヒラヒラさせている。ノースリープのワンピースなんだが、

スカートは膝丈で、ヒラヒラしており、

袖と腕を隠すようにその上から上着を羽織っている。

だからウエストがスッキリしていて、かわいらしい。


でも、男が俺一人で、同じ服を着た白い女3人、なんか俺が王子様で、

使用人を連れているような感じだな。なんか嫌だな。


「それじゃ~、洋服と持っていくもの、まとめといて。この袋に入れるから。」


「ユート。それってまさか。魔法の袋?」


「そうだよ。やっとの思いで手に入れたん

だ。」


「どうしたの? そんな大金?」


「いや~。ネロと冒険者ギルドの依頼を達成した時にお礼をもらって、それを売ったら、購入できたんだ。」


「へ~。すごいわね。どんなすごいクエストだったの?」


「いや、普通の 冒険者ランクEで受けられるやつ。」


って、言っても、全然普通じゃなかったけど。


「そんなんで、購入できたの?」


「たまたま、村長さんの息子さんがお礼にって、いいものをくれたんだよ。」


「へ~、今度私も、クエスト連れてってね。」


「うん、エルフの森の問題が終わったら、みんなで受けようね。」


そんなこんなで夜が更けて行った。


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