ホワイトウルフが仲間になる。
それからこんなことを数回やっていた。
そういえば昼の食事を用意するのを忘れてた。
どうしよう。誰も気づかないなんて。なんかこう、もっと頼りになるやつはいないのか。
っと思っていると。サブが男の村人を10人連れて、戻って来た。
その中には宴で飲みものをついでくれた、可愛い女の子も一人混じっている。
村人と女の子はブラックウルフの死体の多さを見て驚いている。
サラが体中、血だらけにして、こちらにやってきた。
もちろん血は魔物のものだし、通訳のためだ。
「これ、お昼だって。」
「お~、有り難い。用意するのを忘れてた。誰が気づいたの?」
「サブみたいだよ。」
「なんかすげ~、サブ役に立つな。
そこのブラックウルフ、持って帰って。まだまだ取れるから。どんどん食べていいからね。」
と指示をすると男たちは持ち帰るために作業を始めた。
すると、ネロが戻って来た。
「白いのがいたから、連れてきたよ。」
と叫びながらネロはそのまま、こちらに人がいっぱいいたから何事かと様子を見に近づいて来た。
「ホワイトウルフよ。」
とサラが叫んだ。
「ホワイトウルフって?」
俺がサラに聞くと、
「知能が高く、森の守り神みたいなもの。ブラックウルフより一回りおおきいのよ。
しかも、滅多に見られないめずらしい魔物よ。」
「へ~そうなんだ。」
と思いながらホープを見ると、たしかに、防戦一方になっている。
「ほら、サラ、行け~」
俺が指示を出したら、
「はい。」
と言って戦いに混ざって行った。それでも、状況は変わらない。
「サブ、行けるか?」
「ガウ。」
と言ってサブは駆け出した。
村人の男たちと女の子は声援を送っている。
どうも女の子はホープに対して、声援を送っているようだ。
ちょっと俺は嫉妬して、ますますホープをいじめたくなった。
なんてのは嘘で、ホープには村を守る強さを身に着けてもらわないと、俺がこの村から出られない。
ホワイトウルフとの戦いだか、こっち側の連携は全然出来ていない。
そうりゃそうだろう。そんな練習はしてないし。強さもバラバラだから3人ともやりにくそうだ。
ホワイトウルフが飛んでサラの首に噛みつこうとしたら、
サラは上手く剣で守ったが、ホワイトウルフの右フックが決まり吹き飛ばされているし。
ホープは剣を躱され、そのまま、突進され、吹っ飛ばされているし。
剣のオーガは、攻撃はもらっていないが、ホワイトウルフの攻撃を防ぐので精いっぱいというところだ。
「しかし、あの白い毛、綺麗だね。ネロ。」
「そうね、いいわね。」
そんな話をしていると、だんだん3人の連携も取れてきて、少しずつだが、ホワイトウルフに剣が当たるようになってきた。
するとホワイトウルフは後方に飛んだと思うと、
ホープの腕が後ろに飛んだ。
「キャー」
女の子は叫んでいる。
「ん、やばい。魔法を使ったのか。俺が行く。」
俺は棍棒を持って3人の前に駆けだした。
サラは服があちこち切れて、セクシーになっている。
サプは、魔法が見えるらしく、切られた傷はあるが、なんとか剣で防いでいたようだ。
ホワイトウルフは俺に向かって、ウインドカッターを飛ばしてきた。
俺も応戦するためにかまいたちを放った。
ホワイトウルフのウインドカッターは、俺のかまいたちにすべて切られその勢いを無くした。
もちろん、俺のかまいたちたちは、ホワイトウルフが放ったウインドカンター切って、
そのまま、ホワイトウルフを切り裂いていった。
ホワイトウルフは、かまいたちに切られ、自分の血で真っ赤になっている。
ホワイトウルフは俺に向かってガルルルーと威嚇し、力を振り絞って、俺の首、目がけて飛んできた。
「キャイ~ン」
ホワイトウルフの泣き声が響いた。
俺は、棍棒でスイングして、ホワイトウルフを吹っ飛ばしたのだ。
そのまま、動けなくなったホワイトウルフに近づいた時、俺は考えた。
どうしようかな。森の守り神って聞いたし。
知能も高いみたいだし。たぶんサラが無傷なのは、弱いと解って、攻撃をわざと外しているみたいだったし。
ホープはまた腕を切られたけど、首を狙えば一発で死んでいたと思うし。
たぶんこいつはやたらに人を殺す魔物じゃないと思うし。
よし、決めた。
まだ、俺に対して弱々しいが威嚇しているホワイトウルフに向けて「ヒール」を唱えた。
怪我はみるみる治った。
だが、流れた血は、戻らない。まだ、白い毛並みは真っ赤だ。
だけど治されたのか解ったのか。ホワイトウルフはそこでじっとしている。
「ネロ、こっち来て。」
俺はネロを呼んで、クリーンを唱えさせた。
すると血が弾けて真っ白になり、触りたい気分に駆られ手をホワイトウルフの頭に伸ばした。
「危ないわよ。」
ネロに注意されたが、俺の手は止まらなかった。
ホワイトウルフはじっとしていて、俺の手を受け入れた。
「は~。やわらけ~」
ちょっと横に抱き着いてしまった。
「ネロも触って見なよ。」
俺が言うと恐る恐る手を伸ばしたが、受け入れてくれて、俺の反対にネロも一緒に抱き着いている。
そんな光景を見ながらサラが近づいてきた。
「お~サラ。すごいぞ。気持ちいいぞ。サラも触って見なよ。」
「なにやってるんですか。二人とも。それより、ホープの腕を早く直してあげてください。」
あ、そうだ。忘れてた。
もっと触っていたかったが、仕方なく俺はホワイトウルフから離れ、ホープに近づいた。
サブと女の子はホープのそばで怪我を心配そうに見ていた。
サブはホープの腕を持って、俺を待ってる。
「ごめん。ごめん。今直すから。ヒール。」
ホープの腕は元通りになった。
「あ~良かった。また戻って。」
と女の子は言っているようだった。
たぶん切り口が綺麗だから問題なく付いたんだど思う。
やっぱり、俺はホワイトウルフのもふもふが忘れられなくて、ホワイトウルフの方を見た。
そしたらネロの反対、俺がさっきまで居た所にサラが幸せそうに抱き着いているではないか。
「サラ~ふざけんな~。お前だって抱き着いているじゃんか。どけ~」
といってサラをかるく吹き飛ばし、ホワイトウルフに抱き着いた。
「もう、少しくらい、いいじゃないの。あ、そうそう、ホワイトウルフがユートさんの下僕になりたいって。」
「は? サラお前、ホワイトウルフの言葉もわかるのか?」
「全部とは言わないけど、エルフには森に住んでいる。知能が高い魔物は、大体、考えていることが解るの。
ただ、敵対していなければって条件があるけど。」
「お前、すごいな。ネロのクリーンの次にすごいよ。」
ネロはクリーンを誉められて満足げだ。
「で、どうやって下僕にするの。っていうか仲間にするの?」
「それは、自分の血を魔物に分け与えるの。簡単に言うと血を飲ますの。」
「そっか。ホワイトウルフいいのか?」
ホワイトウルフは、俺が言った言葉が解ったのか頷いた。
俺は、ホワイトウルフの前に立ち、親指を切った。
そしたら、すぐにキズがふさがってしまっだ。最近、ギズの治りが早すぎる。
ネロとサラは、こいつなにしているのって目で見られるし。
手首を切るのは怖いから、左手の甲を大きめに切ることにした。
「えい」
と切ったらちょっと強すぎたらしく、ぽたぽたと地面に垂れたので急いで、ホワイトウルフの口に手を持っていき垂らして飲ませた。
すると急に、ホワイトウルフは苦しみ暴れだし、抱き着いているネロを吹っ飛ばした。
「大丈夫か。サラ。」
「解らない、普通は、こんなこと起きないよ。」
あ、ひょっとして俺の皿を飲ませたからか。
それしか考えられん。どうなるんだ、ホワイトウルフは。
しばらくすると落ち着き、横になってもがいて苦しんでいる。
と思ったら、立ち上がり目を「ぐわっ」と開いた。
なんと夕焼けのように目が赤かった。
しかも体が一回り大きくなっているし、俺の血を飲ます前は、目は黒かった。
そのうち、伏せの状態になり、目を瞑って動かなくなった。
ネロやサラ、赤オーガたちも様子を見守っている。
俺は心配になって、ホワイトウルフの前ににしゃがんで頭に手を置いたら、目を開き俺の顔を舐めた。
もうほとんど犬じゃんと思いながらホワイトウルフを確認したら、体と目は元に戻っていた。
それを確認し、安心したのか。
ネロとサラはまた、ホワイトウルフに抱き付いて
もふもふを体感している。
絶対、俺の血の影響だよな。影響って言ってもどうなったか解らないが。
ちょっと様子見だな。しかし、ホワイトウルフをよく見るとなんか強くなったような気がする。
たぶん今のホワイトウルフにはネロは勝てないんじゃないか。
そんな気がするのは気のせいだろうか。
既に俺の左手の甲の傷は治っている。
ホワイトウルフも仲間になったし、呼び名を考えなくちゃいけないな。
ホワイトで白..ハクでいいや。
なんかのアニメで出ていたような名前だけど。解りやすいし呼びやすい。
ハクに決定。
それで、俺のステータスを見たら、俺のステータスの横にハクのステータスが一緒に現れた。
種族を見るとホワイトウルフになっているがその横に括弧書きでヴァンバイアの下僕となっている。しかも、能力も高い。俺に近い。
これはまずい。
取合えず、書き換えた。
なぜかハクとステータスがリンクしている。
ヴァンパイアの特技なのかな。エルフが森の魔物の気持ちが解るとのと同じように。




