赤オーガの村で
赤オーガのNO2。
最初に出会った時に、剣を持っていた赤オーガを、
NO2みたいなのでサブと呼ぼう。
そのサブに促され、今、赤オーガの村に案内されている途中だ。
サラを襲ったであろう棍棒を持った2匹が、サラと話している。
たぶんあの感じだとお詫びをしているようだ。
今、サブが先頭を歩いていて、次が俺たち、その次が赤オーガ約50匹。
知らない人が見たらすごいことになっていると思う。
さて、赤オーガの村は、どんなところだろう。
後ろから付いて来ている赤オーガはすべて雄で、魔物だから、
さすがに全員、いかつい顔をしている。
じゃあ、もちろん、村には女がいるよな。
たぶん、なんか関西のおばちゃんって感じだよ、絶対。
なんか、考えるだけで行きたくなくなった。
きっと同じ顔で、体のつくりが違うだけだ。
「何、考えているの?」
とネロに聞かれた。
「ネロさ、メスのオーガって見たことある?」
「ないけど、それがどうかしたの?」
「いやあ~、どんな感じなのかなぁと思って。」
「また、スケベなこと考えているでしょ。」
「違うよ。なんかこう、恰幅の良いお母ちゃんって感じなのかなぁと思って。」
「まったくもう、変な事考えていないで、ほら見えて来たわよ。」
村の着いた。森の中にある村だが、そこだけ綺麗に木は伐採され、整えられていた。
村の周りには、土で作った1mぐらいの高さの塀に囲まれ、南側に入り口がある。
その入り口から村に入ったが、中はものけのからで誰も居ないようだった。
もしかすると男しかいないのか。
そんなことを考えていると、サプが、叫びだした。
すると、どこに隠れていたか解らないが、家の中から、ちらほらと姿を現した。
あ、やっぱりおばちゃんじゃん。なんかちょっと安心した。
おばちゃんのあと、子どもらしき赤オーガの小さい子が出てきた。
お、子どももいるのか。なんかここは平和だな。
なんて考えていると、子どもたちはこちらを不思議そうに見ている。
たぶん、人間を見たのは初めてなんだろう。するとふと目に入った。
女の子。
「え・・・」
ビックリした。
解りやすく言うと、少し赤くした、うるせ⚪やつらのラムちゃんみたいな感じだ。
髮は黒のストレートで、後ろで結わいており、頭には小さい2つの角があり、かわいい。
着ている服も、ラムちゃんみたいな水着風の服をまとっている。
なんか赤いから常に恥ずかしいといった印象を受ける。
まずい、まずい。ここは平然に。
と思っていたが、ネロは俺の視線の先を確認して、
「女好き。」
と呟いている。
で、もう一つビックリしたのが、ホロホロ鳥が放し飼いになっている。
ネロがおいしいって言っていた鳥。
ネロを見ると涎を垂らしそうな勢いでホロホロ鳥を見ている。
俺はすかさず
「ネロの食いしん坊。」
って言ってやった。
「何をユート君だって女好きの癖に。」
と返されてしまった。
そのままサブに村の真ん中にある大きい家に案内され、その中には少し豪華な大きな椅子があった。
その両サイドには、先ほどのラムちゃんが2人立っている。
サブは俺に何か話しかけている。
「あそこに座れだって。」
サラが通訳した。
「え、俺が?」
「そうだよ。この村のリーダーなんだから。」
ちょっと女の子は気になるが、なんか祭り上げられているように感じる。でも、仕方ないか。
俺が座ったことを確認したサブは村人たちに向かって叫んだ。
「これより、この方が我々の道しるべになってくれるお方じゃ。わかったかー! 」
「オオー」
と叫んでいるとサラが通訳した。
その後、大きい葉っぱに乗って料理が運ばれてきた。
その中にはホロホロ鳥の丸焼きもあった。
俺はどうしたらいいか解らなかった。
俺たちを歓迎してくれているとは思ったが、
ここで一緒に暮らして行くわけにもいかないし。
どうしよう。
両サイドの女の子は飲み物を注いでくれている。
あ~この子たちとは一緒に居たいが、
そんなこともできる訳がないし。
そんな考え事をしているのに、ネロはホロホロ鳥にガブリついている。
サラは襲われたことが無かったかのように、
飲み物を飲んで、食事を食べて喜んでいる。
まったくもう、なんなのこの連れは。
と考えている時に、サブがこちらに歩み寄って来て、話しかけられた。
「この度はスマン。」
「あれ、人間の言葉、話せるのか?」
「少しだけ。」
「サラ、ちょっといいか。」
サラを呼び出した。
「俺、リーダー無理。ここにずうといる訳にはいかない。」
なんか俺しゃべりが、かたとこになっている。
「大丈夫。好きなようにしてくれればいい。」
「でも、リーダーは村を守ったりしなくてはいけないのだろ。」
「それも問題ない村が滅びることはよくある。」
「え、それは嫌だな。」
「でも仕方がない。自然の摂理。弱いものは滅びる定め。」
「じゃあ、サブがリーダーになれば。」
「おでは、向いていないし、リーダーについて行くのが定め。」
「じゃあこの村、強い魔物に襲われたら終わりじゃん。」
「それも仕方がない。」
とサラに通訳してもらい会話をした。
じゃあどうするか。こんな平和な村が滅びるなんて嫌だし、
一時的でも俺がリーダーになったんだから責任取りたいし、
かわいい子はいるし。
どうすっかな~。
「なあ、この辺で魔物が多く出現する場所はある?
あと、村人の中で将来性が高い奴はいるか?」
「魔物が多く出現する場所は、ここから西に行ったところに、
渓谷があり、その周辺は比較的多く魔物が出現する。
奥に入れば強い魔物もいる。」
「よし、じゃあ明日、そこに出発しよう。
明日の朝までに、優秀なやつを一人を連れて来てね。」
俺は、やることが決まったので、食事を楽しんだ。
「ユート君。LV上げするの? その人って言うか、赤オーガかな、かわいそう。」
とネロが話しかけてきた。たぶんオーク討伐を思い出したんだろう。
つぎの日、家で待っていると、サブが若者を一人連れてきた。
「あれ、お前は、この前の腕を直したやつだよな。」
「こいつ最近、調子に乗っていまして、前のリーダーに可愛がられ、対応に困っていたそうで。
そこのネロさんにやられて、良い薬になったよ。だってさ。」
サラが教えてくれた。
「それじゃ、とりあえず、ステータス教えて」
腕を切られた赤オーガは手を出した。
呼び名は、腕を切られた赤オーガでは面倒臭いのでホープと呼ぶことにした。
この村の赤オーガたちには名前がない。
だから俺が解りやすいように勝手に付けている。
LV10、種族、赤オーガ。なるほど。
剣のオーガも見させてもらった。
LV12、種族、赤オーガ。うん解ったわ。
「ついでにサラもステータス見せて」
「え・・・」
「だめ?」
「だめじゃないけど」
「じゃあ、よろしく」
と言って手を掴んだ。
サラは顔をスッゴイ真っ赤にしている。
「ん、嫌だった?」
「大丈夫。ステータスオープン」
LV6、種族、エルフ。ネロとあった時ぐらいの強さかな。
ん、幸運値が2だぞ。1と2じゃどれくらい違うのかな。解らないな。
そう言いつつ手を離した。
「サラ、なにまだ、顔を真っ赤にしているのよ。」
ネロの突っ込みに下を向いたサラだった。
「じやあ、行きますか。」
そう言って俺たちは渓谷に向かった。
「この辺だそうです。」
とサラが教えてくれた。
「この辺に少し開けた場所は無いか?」
とサラに伝えると、
「また、この前みたいなことをするの?」
とネロが聞いて来た。
「ああ、俺とネロは釣り要因だからな。あんまりいっぺんに連れてくるなよ。」
「大丈夫よ。ユート君より私、鬼じゃありませんから。」
と返された。
「ここはどうですか。だって。」
そこは、渓谷が眺められる絶景で、
下の方には細い川が流れており、
全面には赤い岩が連なっている。
ところどころ、緑のサボテンみたいのが生えており、
赤と緑のコントラストが見事だ。
霧とかもやが一切かかってなく、遠くの方には山が見える。
赤オーガ以外の俺たちは、「お~」と呟いてしまった。
「すごい、いい景色だね。こんな所があるなんて。」
とネロが感動している。
「私のエルフの谷も負けていないわよ。」
とサラが故郷を自慢した。
「へ~じゃあ、今度、サラの故郷の風景も見てみたいな。」
「ぜひ、いらしてください。歓迎しますわ。」
なんかサラが嬉しそうだった。




