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ギルドで報酬を受け取る

アイスを食べ終わり、冒険者ギルドに行った。


「あ、ユートさんたち、お待ちしておりました。」


いつものきれいな受付のおね~さんだ。


「ユートさん。ネロさん。今回のクエスト達成、おめでとうございます。

では、報酬をお支払しますので、こちらのお部屋に。」


と言って、受付のおね~さんは、

カウンターから出てきて、カウンター右のドアを開けた。


そこには、来客用の机とソファーが置いてあった。


部屋の奥にはもう一つ扉があり、たぶんそこから他の職員が出入りしているのかなぁ。


と思っていたら、受け付けのおね~さんが、


「今、ギルド長を呼んでまいります。しばらくお掛けになってお待ちください。」


と言って奥の扉から出て行った。


ん~、本来はギルド長が来るまで立って、

部屋にある置物とか絵とか見て待っているのが作法なんだが。


見渡す限り何もない。ネロは俺を見て指示を待っている。


「いいや。ネロ座ろう。」


そう言って俺はソファーに座った。ネロは俺の左側に座った。


「どうしてギルド長が来るんだ。俺たちなんかしたかな?」


「何もしてないんじゃない。」


とそっけなくネロに返えされた。


たぶん、アイスの余韻に浸っているのだろう。


そうしていると「ガチャ」とドアが開いた。


俺は立ち上がり、ネロも慌てて立ち上がった。


「ユート君。ネロちゃん。今回は、よくやってくれた。ギルドからもお礼を述べさしてもらう。ありがとう。」


祝福の時、冒険者ギルドの前で大声を出して、ギースとの一件を治めてくれた人。

デブことギースを返り討ちにした時のことを疑った人だった。


「あ、あなたが、ギルド長さん?」


俺がビックリして尋ねると


「ごめん。ごめん。自己紹介がまだだったね。

俺はここラサールのギルド長をしているガラだ。

君のアリスお母さんとは昔からの知り合いだ。」


「そうだったんですか。」


「ま、おれのことはさておき、今回のオークのクエスト。

本当にありがとう。

このクエストは、国の方でもなんとかしてくれとお願いされていたんだ。

でも、ご存じのように、オークは臭さくてね。

だれもこのクエストを受けようとしない。

過去には数人いたが、途中で放り投げた人もいる。

それで、オークの駆除を誰もしないから結果、

カイ村周辺に多くオークが集まってしまった。

聞いていると思うけど、あそこはカイロの産地で、

カイロは貴族の人たちに大人気で、多くを買い求めている。

しかし、カイロの村周辺にオークが集まるようになってから、

カイロの生産数が激減した。

国の方からも、カイロを他国との献上品として使うためにどうにかしろとせっつかれていたのだよ。」


「そうだったんですか。でも僕たちはお金が欲しい一身で頑張っただけですので。」


ネロは無言だ。たぶんもう思い出したくないのだろう。


「それでこれが報酬だ。」


ドンとお金が入っている袋が置かれた。


「小銀貨500枚だ。

大きい金種だと使いづらいし、

これだけ大きい報酬は初めてだと思って、こうした。

確かめてくれ。」


袋を開けてみたら一杯入っている。


でも確か倒した数は、46体で、それに確か、ギルドが強制的に3割取られるんじゃ無かったっけ。


「この枚数で合っていますか。少し多いように感じるんですが?」


と首を捻ってガラに聞いてみた。


そしたら受付のおね~さんが、


「いいんですよ。間違っていません。

オークの討伐は46体と聞いています。

カイロの町からは46体分いただいております。多い分はギルドからのお礼です。」


って笑顔で答えた。


「3割は?」


どうしても俺は、強制徴収の分が気になった。


「強制徴収の分ですね。

強制徴収の分は掲示板に依頼を張り出した時に、

既に差し引いて表記してありますのでご安心ください。」


そっかぁ~。そうりゃ~そうだよな。

頑張って依頼を達成してお金をもらったら、

予定よりも少なかったら、ほとんどの人は怒るだろうな。


「わかりました。」


俺は、納得した。


「それでどうやって46体も倒したんだい。しかも3日間で。」


とガラが聞いてきた。


そうだろうな、やっぱ聞かれるよな。なんて答えよう。


「ネロが囮になってオークを連れて来てもらって、

俺が後ろからそうっとオークに近づいてやっつけました。

それを3日間ずっと。集中して。

オークは動きが遅いから何とか出来ました。」


ネロがほとんど倒したって言えないから俺と置き換えて話したけど白々しかったかな。


うそは言っていないけど、ばれているよな。きっと。


「そうか。解った。」


それ以上は聞かれなかった。


「私は、この後も仕事があるので、お暇するよ。じゃあ。」


そういってガラは席を立った。


「私の目に狂いは無かったわ。このクエスト達成は大金星よ。冒険者ランクもDランクに上がるわよ。」


「うそ。やった~」


俺とネロは喜んだ。


「それじゃ~カウンターの前で待っていてください。私は、ギルド長に挨拶をしてから行きます。」


「解りました。」


そう言って部屋を出た。



ギルド長

あいつらめ~。適当に説明しよって。


ほぼすべてのオークの首が飛んでいたと。報告はすべて俺の耳に入っているのに。


それにギースとの一件。


ギースの冒険者ランクはDだが、用心棒に雇っていた中には、Cランクも混ざっていた。


それなのに目撃者の情報ではあっという間に倒されていたと報告があった。


ま、たしか祝福の時、ギースと騒ぎを起こしていて、

本当なら、ユートが大怪我をする恐れが有ったのに、

逆にギースが顔を怪我していたし。

解らないことが多かった。


それでアリスにそれとなく聞いてみたら、ユートは、青オークを倒したというではないか。


これにはさすがにたまげたし、そんなことは無いと疑った。


だから、受付のリーゼになんとなく打診しといた。


リーゼは、


「冒険者になったばかりなのに、オークなんて絶対、無理です。私がちゃんと判断します。」


と言われたっけ。


そう考えていると、リーゼがこちらに歩いて来た。


ユート達との対応が終わったらしい。


「ユートとミラはランクを1つ挙げてもいいですか。」


ってリーゼが言ってきた。


オーク46体を二人で倒すには、Cランク以上が必要だろう。


ネロの強さは解らないが、問題ないだろう。


「いいぞ。上げて。それでさリーゼ。今のところ、あの2人のことは内緒にしていてくれ。頼む。」


「国の方にはどのように報告なさるのですか。隠すの大変ですよ。」


「大丈夫。うまくやるからさ。」


「ギルド長がそうおっしゃるなら。そうします。」



カウンターの前でネロと俺は話をしていた。


「ネロ、今回の報酬で宿泊代の借金はゼロだ。」


「そうなの。やったぁ。本当に苦労した甲斐があったわ。」


ネロは喜んでいる。


「それでさ、宿に戻ったら、精算して、ネロの分のお金を渡すよ。」


と俺が言ったら、


「いらない。お金の使い方、解らないし、そんな大金持っていたら変な人に襲われそうだし」


って、自分の肩をネロは抱いた。


たぶん、こいつを襲えるやつは、そうはいない。ギースレベルではまず無理だ。と思いながら、


「アイスとか一杯食べられるよ。」


と言ったら、


「一人で食べてもおいしくないし。また今度、そのお金で連れてってね。」


と俺に金庫番をさせようとしている。ま、いっか。


「別にいいけど。俺とネロのお金を別々に分けられないよ。」


「それだったら全部、ユート君にあげる。」


意外な言葉が返ってきた。そんなにお金に執着していないらしい。


「ネロがそんなふうに思っているんならいいけど、必要になったら言ってくれ。」


「うん。必要になったら言うね。」


そんな話をしていると。カウンター内の奥のドアからおね~さんが現れた。


「冒険者カードをこちらに提出をお願いします。」


と言われたので、俺とネロはEランクの冒険者カードを出した。


「少々、お待ちください。」


そう言って冒険者カードを持って奥に引っ込んだ。


「ネロ、そういえばさ、このおね~さんの名前知らないね。」


「そうだね。」


「ちょっと聞いてみようか。」


と話をしていたら、カードを持って出てきた。


「お待たせしました。こちらが冒険者カードです。」


と言って、Dランクと書かれているカードと冒険ギルドに預ける用のカードが返却された。


「おね~さん。ちょっといいですか。」


「はい。何でしょう。」


「聞たいことがありまして、まずは、おね~さんのお名前を教えて下さい。」


「あ、言って無かったっけごめんね。

失礼だったわね。

私はリーゼ。23歳。彼氏募集中よ。

ユート君。私の彼氏にならない?」


は、何この人言ってんの。


隣のネロ目はすーと細くなった。それを見てリーゼが


「冗談よ。冗談。それで他には?」


会話を変えた。おれも、そのことにはスルーして、


「カイロの村でカイロをもらったんだけど、

価値はどれくらいになるのかなぁと思いまして、

リーゼさんならいろいろ知っているから詳しいかなぁ~

と思いまして。」


「いいわよ。見せてくれる。」


おれは、黒カイロを見せた。


「ん~。この大きさだと今は、小金貨1枚ぐらいにはなるかな。」


少し、もの珍しそうにリーゼは答えた。


「じゃあ、これは?」


そう言って白いカイロを出した。


リーゼはビックリしたように俺の手の上にある白いカイロを見つめている。


「わたしも初めて見たわ。ひょっとして白カイロ?」


おれは頷いた。


「あんた、なんて物もってんの。こんなの普通もらえないわよ。」


「知りませんよ。貰ったんだもん。価値も解らないし。なあネロ」


「ええ」


リーゼのリアクションにネロはビックリしている。


「で、いくらぐらいするの?」


とリーゼに聞くと


「白カイロは黒カイロの数倍と聞くわ。

たぶん今、ほとんど出回っていないから、

小銀貨10枚は固いはずよ。

それも最小金額で。

お城の城下町で売ったらいくらになるか解らない品物よ。」


「へ~そんなにすごいんだ。」


俺は、すごいもの貰ったなぁと考えていると、


「ねえねえ。ユート君。これを売ればユート君が欲しがっていた魔法の袋買えるんじゃない。」


「そうだね。ネロ。でもさ、売っちやっていいのかな。」


「いいんじゃない。おいしくないし。」


「そうだな。」


「あ、今、そうだなって言った。ユート君もカイロの味、解らないんじゃないの?」


あ、間違って返事をしてしもうた。


「違うよ。ネロ。

ネロがおいしくないって言うから。

俺1人で食べる訳にもいかないし。

これから必ず必要になる魔法の袋。

これがあればこれからの旅は便利になって2人ともハッピーってことだよ。

決して俺が、味が解らないってことじゃないぞ。」


「あやしい。まあいいわ。ユート君の好きなようにしていいよ。」


「ありがとう。ネロ。」


ちょっとリーゼの目がうらやましそうだったが、カイロをしまって、宿屋に戻った。



夜寝る前に、明日の行動の打合せをした。


「ネロ、明日、この町、ラサールを発ちたいと思っているがいいか。」


「うん、いいよ。」


「それでさ、城までは歩いて行こう思っているけどいいかな。」


「いいよ。途中、村とかあるんでしょ。」


「たぶんあると思うが解らない。だから食料を準備して出発したい。」


「いいよ。任せる。ユート君と出会う前は、7日間ぐらいさまよっていたから、大丈夫。」


ん、なんか気になることをネロは言ったぞ。


でも、あんまり詮索するのも良くないし、明日のためにもう寝よ。


「じゃあ、お休みネロ。」


「お休み~」







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