表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
126/127

撮影その3

「やっぱり、サラはお姫様ね。」


ミラが白いドレスを着ているサラの姿を見て言った。


「へぇ~。ミラちゃんは、神様の巫女みたい。なんかカミール神の女神みたいね。」


赤と白を基調とした、巫女みたいな服を着ているミラ。


「ちょっとなにそれ。ネロ。」


「知らないわよ。」


「似合っているわよ。ネロちゃん。なんか野生的で。絶対にその格好は強い男を虜にするわね。」


ネロの姿は、ビキニ風で、上手く茶色い布で胸を隠しており、いやらしくない。

しかも、右手には剣。左手には盾が用意されている。森林に住むアマゾネス風だ。


「キキちゃんは、民族衣装ね。」


「ええ。私は、産地と品質を紹介するだけだから。

このドワーフ村の民族衣装が適切よ。それにしても。ミラ殿はかわいいですね。」


キキはミラの姿を見て煩を赤らめているが、ミラは無視している。


「もう、ミラ殿はツンツンなんだから。」


キキは呟いている。


「それでは、みなさん撮影を開始しますので、それぞれの部屋に別れてください。

この衣装の撮影が終わりましたら、次の衣装に着替えて、今度は、ユート殿と一緒に撮影します。

それが最後になりますので、よろしくお願いします。」


と案内の人に言われ、それぞれ、撮影の場所に別れた。


それぞれが撮影を終わり、先ほどの着替え部屋に戻って来ている。


「ふ~。結構、疲れたわね。」


ミラが呟いた。


「そうね。さすがになれないことをすると疲れるわ。でも、さすがサラね。全然問題ないみたい。」


「サラの衣装は、お姫様だしね。着慣れているのよ。きっと。」


そんな話をミラとネロがしていると、


「う~、お腹が痛い。」


と言いながらサラがお腹をさすっている。


「どうしたのサラ?」


「このドレス。中にコルセットがあって、ものすごくお腹を締め付けているの。

私も、みんなと魔物と戦って、結構、筋肉が付いたでしょ。だから、前は問題なかったけど、今は筋肉がコノレセットと反発して、ものすごく痛いのよ。」


「と、いう事は、その笑顔は?」


ミラがサラの笑顔をみて言った。


「もちろん、作っているわよ。こういう撮影は、笑顔が大事。」


「すごいね。サラ。私は大丈夫だったかな。」


ネロは撮影風景を思い出して反省している。


「大丈夫よ。ネロちゃん。うまく編集してもらえるから。なんてったって、みなさん、本職の人たちですから。うまく魔法で対応してもらえるわ。」


「そうなの? いいの? 魔法を使ってそんなことして。」


「大丈夫よ。その辺はうまくごまかしているわよ。」


「あんまり考えてもよく解らないから、サラを信じるわね。」


ネロは考えをやめた。


ミラも頷いている。


「さ、もうひと踏ん張りよ。着替えましょう。ミラちゃん。ネロちゃん。」


そう言って3人は着替えだした。


「そう言えばキキ姫は?」


ミラがキキ姫が居ないことに気が付いた。


「キキちゃんは何か、他の用事があるって言って、オータルさんと打合せをしているみたい。

それに、この後の撮影は、私たちだけみたい。」


「そうなんだ。って、今回の衣装は、なんかみすぼらしいわね。」


ミラが自分の服を見て感想を漏らした。


「今回は、みんな同じ衣装の様ね。村人みたいね。」


ミラが感想を漏らした。


「たぶん。あれよ。ユーちゃんが言ってたと思うけど、誰でも手に入れやすい宝石だから。

手ごろ感を出すために村人の衣装なのよ。」


サラが想像した。


「そうね。サラ。きっとそうよ。」


ネロは相変わらず、適当というか。何も考えていない。


「みなさん、着替え終わりましたね。それでは、付いて来てください。」


案内係が指示を出した。



俺は、みんなを撮影場所で待っている。


銀のプレートメイルを着て。


「しっかし、動きづらいな。この鎧。戦争の時とか、騎士団はこれと似たようなのを着て戦っているのか。可動域が狭くて腕を上げるにも金属が体に当って痛いな。」


そう言いながら俺は腕を回している。


「ユートさん。それは衣装ですから見栄え重視ですよ。本物の鎧はもっと滑らかに動きますよ。」


案内係のマイさんに言われた。


ふ~ん。


今度、機会があったら、オータルに言って、展示品を試着してみよう。と思った。


「あ、ユーちゃん。」


サラの声が聞こえたので、振り向くと、普通の村娘3人が居た。


「あれ、なんか普通だね。」


「そうよ。ユートは鎧ね。」


「ああ、ミラ。今度は鎧だ。」


「え、ユート君。何回着替えたの?」


「これで、4回目だ。」


「私たちは、2回よ。」


「え、いいな~。少なくて。」


「でも、たいへんだったよのね~着替えが。」


「そうか。女の子はいろいろと大変だよね」


「そうなの。それでユーちゃんの方は順調なの。」


「よく解らない。一応指示通りにしていたけど。」


「はい。みなさん。撮影を開始しますから。お願いします。」


そう係の人に合われ、指示通りに動いた。


その間、黒い箱みたいのに撮られているのは解ったが、係の指示に対して理解不能だった。


完成がどうなるのか全然想像がつかない。


ミラもネロも顔に?マークを時折織り交ぜながら、終始笑顔だ。


サラに限って言えば、なんか要領が解っているのか、余裕がありそうだ。


「は~い。お疲れ様でした。撮影は以上です。」


「え。これでいいの?」


俺は、あまりにも撮影の仕方が不思議だったので聞いた。


だって、適当にポーズを撮ってただけだから。


「はい。大丈夫ですよ。後は、こちらで編集しますので、期待して待っててください。」


と簡単に係の人に言われた。


「大丈夫よ。ユーちゃん。任せとけば。いいのが出来るわよ。」


「そんなもんなのか。?」


「そんなもんよ。」


サラに説得された。


ま、いいか。撮影も終わったし。良しとしよう。


「じゃあ、帰る支度をしよう。」


「は~い。」


女性陣は返事をして着替え部屋に戻って行った。


「ユートさん。その鎧脱ぐの手伝いますね。」


マイさんに言われ俺も着替える部屋に戻った。


「お疲れ様です。ユートさん。」


「撮影はいつもあんな感じなんですか? 」


「そうです。詳しくは教えられませんが、みんなが知らない技術で映像を作っていくらしいです。」


「それって魔法かなにか?」


「簡単に言うと、魔法っぽいのです。」


「そっか。魔法なら何でもアリだな。しかし、不思議な撮影だった。」


「ええ、普通はそう思うでしょうね。でも、大丈夫です。良く撮れています。編集には3か月ぐらいかかると思いますので、楽しみに待っていてください。」


「そんなにかかるんだ。」


コンコン ドアが叩かれた。


「どうぞ」


俺は返事をした。


「ユート殿、お疲れ様でした。」


オータルだった。


「ユート殿、編集の作業がありますがどうしますか?」


「え、俺たちも編集に参加するの?」


俺は嫌な顔で答えた。


「ええ。絶対とは言いませんが・・・」


なんかオータルは含みを入れて答えている。


「あ~、その辺はオータルさんに任せてもいい?」


「いいですけど。今回の撮影の件はすべて任せてもらってもいいですか。?」


「なんか不都合がある?」


俺は聞いた。


「特には。ただ、編集作業は3か月ぐらい掛かります。」


「わかった。全部任せる。」


「了解しました。」


オータルはいつもの営業スマイルだ。


それが怪しいが、こんなのに付き合っている暇はない。


「それでは、出来上がったら確認されますか。」


「いや、全部任せるよ。今回は俺からの話だし。よく商品が売れるようによろしく。」


「わかりました。それでは私の方で進めさせていただきます。」


「よろしくお願いします。」


そうして、撮影会は終了した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ