エルフの洞窟
数時間たってサブたち赤オーガはだいぶ俺に慣れて来たみたいだ。
「ユート殿、なんとか近づくことが出来ました。」
「そうか。よかったな。そうだ。時間もあるし、ちょっと、エルフの洞窟に行って俺の強さを確かめたいんだが。」
「それって、ハクのお母さんと戦うってこと?」
ミラが反応した。
「違うよ。あの、山で飛んでいるファルコンでもいいんだが、俺的にはちょっとトラウマで。」
「別にいいよ 私は。ユート君に付いて行く。」
「もちろん、私もよ。」
「私はユーちゃんと離れられない。」
取り合えず3人ともOKみたいだ。
「ホープとサブはどうする?」
「やめときます。」
ホープが答えた。
「なんで?」
「さすがに今回は遠慮します。仮にユートさんが戦うことになったら、その気迫で気絶しそうで。
迷惑をかけたら申し訳ないので。もう少し強くなったらお願いします。」
「そっか。解った。俺も、みんなが気絶しないように努力してみるよ。」
「ユートさん。私も一緒に連れてってください。」
「いいよ。別に。」
「ありがとうございます。」
エレナは嬉しそうだ。
「じゃあ、時間もないことだし出発しようか。」
「は~い。」
「ユート殿たちは相変わらず行動が速いですね。」
サブが呆れるように呟いた。
昔落ちた川に着いた。
「あ、大きな川がある。流れが速いですね。これはどうやって渡るのですか?」
エレナが聞いた来た。
「跳ぶのよ。」
とネロが答え、川から離れると、そのまま助走を付けて跳んだ。
ネロは悠々と川を飛び越えた。
「すご~い。」
エレナは感心している。
すると、今度はミラがジャンプして、その後をサラが追いかけた。
「おーい。ユート君。早く早く。」
ネロが対岸から呼んでいる。
「それで、エレナはジャンプできるのか? それとホーキを使って飛ぶの?」
「ホーキは今は持っていません。それにこの川を飛び越えるジャンプなんか出来るわけありません。」
冗談で言ってみたけど、やっぱりホーキで飛ぶのか。特に突っ込まないけど。
「そうか。じゃあ俺が運ぶか。」
そう言って俺はエレナをお姫様抱っこをした。
エレナの顔が赤い。
それにやけに俺を見つめて来るが、俺は無視して、魔法で飛んで川を渡りエレナを降ろした。
エレナは、両手で顔の頬を押さえ、ボーっとしている。
「ちょっとエレ」
ネロがエレナの肩を掴もうとした時、サラがネロと手を止めた。
「ネロちゃん。仕方がないわよ。今のユーちゃんにあんな風に抱っこされたら、誰でもああなるわよ。
でも、私たちはユーちゃんのPTなの。余裕を見せないと恥ずかしいわよ。」
「それもそうね。」
ネロは返事をした。
「うんうん。 」
ミラも頷いている。
そんな会話を無視して俺は歩き出した。
「エレナ、行くわよ。」
ネロはボーっとしているエレナに声を掛けた。
エレナは、はっと気が付き、「はい。」と言って駆け出した。
やっと森を抜けたと思ったら、やけに上空が騒がしい。
確認すると、慌てるようにワイバーンの群れが上空にギャーギャー叫びながら飛び立った。
その先を見ると相変わらずファルコンが優雅に飛んでいる。
「あのワイバーンどもは大丈夫か。ファルコンにやられるんじゃないのか。」
ワイバーンはファルコンの近くを通過し、更に上空に上がった。
「あれ、ファルコンがワイバーンを無視したぞ。」
「本当ね。こんなことあるのかな。あの高さはファルコンの縄張りなのに。」
サラが答えた。
ファルコンは何事も無いかのように優雅に飛んでいる。
「絶対、ファルコンは俺に気づいているよな。あ、遠ざかって行く。」
「逃げたのね。」
ミラが呟いた。
「ま、いいか。行こう。」
俺たちは歩き出した。
エレナは俺たちの会話について来れない。
「ようし、洞窟に着いた。先頭はサラ、お願い。」
「わかったわ、行きましょう。」
そう言って俺たちは洞窟の中に入ってい行った。
「ユーちゃん。もうすぐ、ハクのお母さんがいる場所よ。大丈夫。」
「ああ、大丈夫だ。そのまま進んで。」
しばらくして広い部屋に出た。すると、
「ワンワンワン」
白い子犬がこちらに走って来た。
「あれ~この前、赤オーガの村に居た子犬よね。」
ミラが不思議そうな顔で言った。
「わわわわ~」
エレナが震えている。
「どうしたのエレナ。」
そう言ってネロがエレナの目線の前方を確認したら、そこにはホワイトウルフがこちらを向いて4本の足を地面に立てて起き上がっている。
ネロは、剣を掴み引き抜こうとした。
「まて、ネロ。」
俺は、ホワイトウルフに対峙しながらネロを止めた。
「主、会いたかったよ~。」
「お、 やっぱりお前はハクだったか。なんか雰囲気が変わったな。毛の色も青っぽいし。」
「主~。すごい頑張ったよ。主に負けないように。でも、さすが僕の主。やっぱ全然敵わないや。」
「お~よしよし。がんばったな~」
とハクの頭を撫でながら、テレパシーで会話をした。
「うぉっ!」
俺は 叫んだ。
なんと、ハクのお母んさに思いっきり舐められた。
ハクのお母さんは体がでかいから、舌が俺の身長と同じぐらいある。
「ちょっとユートさん。この白い魔物は大丈夫なんですか。」
「ああ、大丈夫だ。安心しろ、エレナ。それにネロ。」
「さっきのは用心しただけ。剣を抜くつもりは無かったわよ。」
「わかったよ。そういう事にしておくよ。」
俺は答えた。
「ねえ、ユート。この子はハクなの?」
「ああ、そうだ。」
「ハク~。元気にしてた~。」
ミラはハクを持ち上げて抱き上げた。
「ハクちゃ~ん。なんか毛並みに青みかかってて綺麗になったわね~」
「ほんとだ~。良く見ると綺麗ね。」
ネロも頷いている。
そんな話を女性陣はきゃっきゃきゃっきゃ話している。




