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エレナを迎えに行く。

数日経って、ライオネル城に到着し、俺たちは直接、商業ギルドに向かった。


「おお、これは、これは。みなさんおそろいで。連絡がなかったので、心配しちゃいましたよ。」


「え、連絡って。」


「私がお渡ししたでしょ。連絡石。」


「ああ、オータルさんから連絡が来ていたから、すぐに戻らないとと思って。」


「え、ユーちゃん。内容を確認しなかったの?」


「え、なに、内容って?」


俺は聞き返した。


「もう、ユーちゃんは適当なんだから。ほらステータスから連絡石を選ぶと表示されるでしょ。」


「あ、本当だ。オータルさんからそんなに急いではいないが連絡がほしい。って書いてあった。

あ~、なんかいろいろあって、確かめなかった。すみません。オータルさん。」


「別にこちらは大丈夫ですよ。ただ、連絡が来てから準備しようと思もっていまして。」


「すみません。あの件ですよね。」


「そうです。皆さんにモデルをしてもらおうかと思いまして。」


「俺は、しなくてもいいんですよね。」


「いや、ユートさんにもお願いします。」


「え、俺、宝石は付けないよ。」


「いいんです。私どもが用意した服やアクセサリーを身に付けて頂きます。

コーディネートはすべて私たちが行いますので、指示に従っていただければ。

もちろん、女性の方々もです。」


「マジか~。俺も広告塔になることは考えていなかったな。」


「大丈夫ですよ。ユートさんは女性モデルの引き立て役ですから。そんなに気張らないでください。」


「なにユート。やる気を出しているのよ。」


「出してないよ。」


「ならいいけど。うふふ。」


ミラにからかわれた。


「ユートさん。準備がありますので、3日後にいらしてください。それと、あともう一人、モデルを増やしますので。」


「わかりました。それでは3日後にまた伺います。」


そう言って、商業ギルドを後にした。


「さて、ちょと時間が空いちゃったね。どうしようか。」


「アイスが食べた~い。」


ネロが叫んだ。


「いいよ。喫茶店に行って、相談しようか。」


「は~い。」


3人の良い返事をもらい、俺たちは喫茶店に向かった。


喫茶店で食事をした後、各々デザートを食べている。


そんな中、アイスを食べ終わったネロは、皿に残った溶けたアイスを一生懸命スプーンですくっている。


何で、もう一つ頼んであげないのかって。


だって、もうすでに5個完食しているから。


「ネロちゃん、そんなことしていると、はしたないわよ。」


「だってもっと食べたいんだもの」


「ネロはもうだめ。ちょっと太って来たわよ。」


「え、ネロ。太ったの?」


ミラがネロに言った後、俺はワザと聞いてやった。


「太ってないわよ、解ったわよ。我慢する。」


そう言って、水を飲みだした。


「まあ、いいや。取り合えず、エレナのことを終わらせようか。」


「そうね。それが良いわね。」


ミラが答えた。


「じゃあ、今から行って、2泊して戻ってくればいいか。」


「そうしましょう。ちょっとエレナのことも心配だしね。」


サラが付け答えた。


「ネロは?」


「私は、ユート君に付いて行くだけ。」


「よし、じゃあ、行こう。」


そう言って馬に乗らず、歩いてオーガの村に向かった。


オーガの村に着くと何やら人だかりが出来ていた。その中には子供が多い。


「おーい。」


俺は軽く叫んだ。だが、無視された。


よく見ると、エレナもいるようだ。


「ユーちゃん。何だろうね。」


「さあ、俺らも行ってみるか。」


そう行って、近づいた。


すると人だかりの真ん中には白い犬がいた。


「ん、どっかで見たような。でも、ハクじゃないよな。確かあいつは修業するって。」


「ワンワン」


白い犬は俺たちに向かって吠えた。


「かわいい~。」


サラは、子犬の方に駆けだした。


赤オーガたちは、急に人間が入って来たので、ぎょっとしたが、俺たちと解って、安心したようだ。


「あ、ユートさん。それにネロちゃん。ミラさん。サラさん。」


どうやらエレナも俺たちに気が付いたようだ。


「私の件、解決したんですか。」


エレナが聞いて来た。


「ええ、ユート君が解決してくれたわよ。」


ネロが答えた。


「ごめん。エレナ。奴隷からの解放は出来ない。」


「え、どういう事ですか。って別にユートさんの奴隷だったら私は嬉しいわ。」


「違うんだよ。実は、ライオネル王のアレク王子の下で、奴隷として働いてほしいんだよ。

でも、一般の奴隷としては扱われないから。」


「え、どういうことですか。」


エレナは俺に不振を抱いている。


「機械兄弟の件を解決した結果、魔女の処遇について解って来たんだよ。

さすがに魔女としてエレナの身元が割れていると、解放してもまた同じように違う人間に捕まるみたいなんだ。」


「そうなんですか。私も薄々気づいていましたが、そんなに魔女って人間から嫌われているんですか。」


「う~ん。嫌われているっていうか、陰謀というか。」


俺は困った顔をした。


「エレナ。ユート君の言うことを聞くか、魔女の里に戻るか。どっちかよ。」


ネロは聞いた。


「嫌よ。魔女の里には、帰らない。やっと、外に出られたんだから。

ユートさんの言うことを聞けば、安全なのよね。」


「ああ、安全だ。」


俺は答えた。


「それなら、ユートさんのいう事を聞いてどこへでも行くわ。」


「ありがとう。ちょっと心配していたんだ。断られるんじゃないかと思って。」


「断りません。私はユートさんの奴隷ですから。」


エレナはなぜか胸を張って言った。


「ちょっと、エレナ。おかしくない? なんでそこで胸を張っているの?」


ミラが指摘した。


「だって。私はユートさんの奴隷第1号よ。やっと私に合った主人が見つかったわ。しかも奴隷は私しかいないし。」


「は·あ!」


4人はエレナに呆れた。


「いいの。私は、奴隷として一生、ユートさんについて行くと決めましたから。」


やばい。地雷を踏んだか。絶対、ストーカー気質だよなエレナは。アレクに押し付けて離れよう。


「はいはい。」


俺は適当に答えた。


「おお、ユート殿。いらしてましたか。ん、その魔物は何だ。」


ホープが先ほどの小さい白い子犬をかるく威嚇した。


だが、その子犬はその威嚇を無視した。


「お、俺様の威嚇を無視するとは、小さいくせにやるな。」


そんなことを言いながらホープは意識を俺たちに戻した。


「ユートさん。なんかまた、強くなっていませんか。それに他のみなさんも。っていうか、ユートさんがけた違いなんですけど 」


ホープは俺にちょっと怯えている。


「ホープよく解るな。野生の感か。」


「ユートさんすみません。なんか勝手に体が震えちゃって。

ユートさんと別れてから次に会う時にビックリさせようと思って頑張ったのに、全然だめでしたね。」


「そんなことないよ。あの時より強くなっているって解るぞ。」


「ありがとうございます。これもエレナのお陰です。エレナがいたからこそ、ある程度無茶が出来ました。」


「そうか。良かったな。それよりなんでサブは物陰に隠れて俺たちの様子を伺っているんだ。」


「それは、ユートさんが怖いからですよ。

私だって、恐怖を押し殺して会いに来たんですから。」


「そうなのか。って、あれ、男の赤オーガたちもさっきまでいたのにいない。

なんで俺の周りには女性と子どもたちしかいないんだ。あ、俺ってもしかしてそんなに怖いか。」


俺は女性陣に聞いた。


「別に、元からユートの方が強いから。諦めている。」


ミラが言った。


「ユート君になら襲われてもいいわ。」


ネロがサラみたいなことを言ってくる。


「ユーちゃんは神様だから」


サラは訳が解らない。


「そういう事じゃないよ。エレナは?」


「主人には絶対です。」


はぁ~。聞いた俺がバカだった。


「ごめんね。ユーちゃん。冗談よ。ほら、町を歩いていても何ともなかったでしょ。

たぶん。魔物の特性というか性なのかな。感じるものがあるんだと思う。ユーちゃんを絶対の強者として。」


サラがちゃんと答えたくれた。


「よかったぁ。みんなから避けられたらどうしようかと思った。」


「大丈夫よ、ユーちゃん。」


「おーい。サブ。食べたりしないからこっちにおいで。」


「ユート殿。無理です。本能には逆らえません。」


サブが小さい声で叫んだ。


「じゃあ、俺から行くか?」


「いや、お願いだから来ないでください。もう少しすれば、慣れてくると思いますので。」


「ん!」


俺の脚に絡んでくる白い子犬がいる。


「あれ、お前は大丈夫なのか。不思議だな。ん、お前、ひょっとしてハクか?」


「そんなことないわよ。ユート。ちょっと毛並みが違くない。色もなんか青っぽいし。」


ミラが答えた。


俺は、白い子犬を見つめた。すると子犬は「ワン」と俺に向かって吠えた。


「やっぱり違うようだな。でも、俺に絡んでくるってことは、赤オーガたちより強い可能性があるな。」


「まっさかぁ。まだ小さくて、わからないだけよ。」


ネロが答えた。


「それもそうだな。」


するとその白い犬は、どこかに走って行った。


「ちょっとどうしようかな。俺がいると迷惑そうだし、帰るか。」


「え、ユートさん。もう帰られるのですか。」


ポープが慌てたように聞いて来た。


「だってしょうがないだろ。こんな状況じゃ俺も居づらいし。」


「ユート殿、お待ちください。」


サプが、震える足を引きずってこちらに歩いて来て、震える声を発した。


「申し訳ない。まさかこんなことになるとは。本来であれば、ユート殿は私たちのリーダーなのだから、ここに居て当たり前で、私たちが我慢しなくてはいけないのに。」


「いいよ。無理しなくて。」


「いや、これでは申し訳ない。村の男たちがこの恐怖を我慢すればいいこと。女、子どもはなんともないのだから。」


「ユーちゃん。赤オーガたちにある程度ユーちゃんの免疫をつけて貰わないとこれからユーちゃんが来れなくなるわ。

だから、サブの言う通り居てあげて。」


サラに説得された。


「俺は構わないけど。」


「ありがとうございます。」


ホープがお礼を言った。


「ユート殿、いつも通り、あの家で寛ぎください。私たちは、男どもを集めて、ユート殿の強さになれるため、私も含めて修業します。」


「ああ、頑張って。」


と冷たいけどそれしか言えなかった。


「あれ、エレナ。なんか雰囲気が変わったような。」


俺は立って居るエレナの姿勢を見ながら言った。


「あ、わかります~。実は、私も赤オーガさんたちと修業をしていました。見ててください。エリアヒール。」


エレナが呪文を唱えると、エレナの周りにいる俺たちはキラキラした魔法に包まれた。


「もしかして、範囲魔法か。」


俺は聞いた。


「そうです。すごいでしょ。私も赤オーガさんたちと一緒に魔物を狩ったりしていまして、結構LVが上がりました。

すると今まで出来なかった範囲魔法が使えるようになったんです。

それに体もだいぶ丈夫になりました。」


「へ~。エレナは偉いな。時間を無駄にしないで、自分を鍛えるなんて。」


「やった~。ユートさんに褒められた。私も、仲間に入れてもらえますか。」


エレナは恐る恐る聞いて来た。


「それは無理。」


俺は冷たく断った。


「え~、ユートさんの仲間に入れてもらおうとして頑張ったのに~。」


「ユート。エレナが可哀想よ。」


ミラが言った。


「ミラちゃん。エレナちゃんのことはユーちゃんに任せると約束したでしょ。」


サラがミラを咎めた。


「エレナ。大丈夫だよ。その考えを持っていれば、きっとお前の居場所は見つかるよ。ただ、俺の近くにはないけど。」


「え~。ユートさんの近くがいいのに~」


「だめ~。エレナは王子の下で働くの。頑張って魔女の印象を変えるために。」


「そうなの? どういう事ですか?」


エレナは聞いて来た。


「なんか魔女は、魔法が使えるだけで犯罪者みたいになっているからね。

だからエレナが王子の下で働いて、魔女の印象を変えてほしいんだ。

魔女は怖くないと。人間の世界では魔女は怖いものと昔かつら教えられているからね。」


「ユートさん。それってかなり重要な役目じゃないですか。」


「そうだよ。魔女にとってはかなり重要だよ。今後の魔女の在り方にも影響するよね。」


「ネロちゃんはどう思う?」


エレナはネロに聞いた。


「私には違う役目があるから、エレナと同じことは出来ないわ。エレナしかできないことだから魔女の為に頑張ってほしい。」


「わかったわ。ネロちゃんもそういうふうに言うんだったら、私、頑張る。

それで、ネロちゃんの役目ってなに?」


「私の役目は、人間の世界で戦いを通して実績をユート君と一緒に作ること。」


「いいなぁ~。ネロちゃんは。ユートさんと一緒で。でも、わかったわ。私は私で頑張る。ユートさんが言うように、魔女の印象を変えてみせるわ。」


「エレナ、お互いがんばろうね。」


ネロとエレナは頷いている。

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