ワームと対決
「さてと。取り合えず、ジェネラルスコーピオンから倒すか。」
そう考え、背中から羽は出さず、低空飛行で、砂漠地帯を目指した。
魔法で飛ぶとMPは削られるが、一人で飛んでいる分には成長しているため特に問題はないみたいだ。
でも、羽を使って飛んでいる時よりかなり遅いけどね。
砂漠地帯が見えてきた。
俺は、砂漠に降り立った。
すると、足元の砂が盛り上がって来た。
やべ。
俺はとっさに、その場所から移動した。
するとその場所には、でかい山が突き出てきた。
いや、あれは、なんかの口だな。
あぶね~飲み込まれるところだった。
その口は、そのまま俺の方に倒れて来た。
やばい。
このままだと下敷きになる。避けないと。
俺は後ろにジャンプし距離を取った。
うん、思っていた通り胴体は砂の中だな。
ワームだワーム。
ワームは俺の姿を確認すると、興味が無くなったのか、砂の中に再び潜っていった。
あれっと思いながら、様子を見ていると、胴体は一旦地上に出て、そのまま砂の中に入って行っている。
どれくらいの長さなんだろ。
俺は、その様子を見ていたが、なかなか尻尾までたどり着かない。
どんだけ長いんだ。
そう思っていると、やっと尻尾が地上に姿を現し、また砂の中に消えてった。
なんで攻撃してこなかったんだろ。あれかな、俺が小さかったからかな。
食料にならなかったのかな。まいいか。
俺は、また砂漠を歩き出した。
すると、また土が盛り上がった。
またか。と思いつつ、その場から飛びのいた。
すると先ほどのよりもかなり小さい口が出て来た。
お、これはたぶんワームの子どもかな。
なんて思っていると、そのまま、勢い良くワームは上空に上がり、俺の真上から口を大きく開いて飲み込もうとした。
俺はとっさに躱して、ファイヤーボールをワームの胴体に当てた。
すると、当った場所は大きく裂け、大きな叫び声が鳴り響いた。
そのワームは砂の上でぴくぴくしている。
ふう。子どもワームかな。
こんなのもがいっぱいいるのかな。
なんて考えていると、俺の周りに3っつ、大きく砂が盛り上がり、でかいワームが砂から出て来て、上から俺を睨んでいる。
やばいな。仲間だ。
一匹目よりは小さいがさすがに3匹同時に上から睨まれると腰が引けそうになる。
3匹のうち 一匹が俺に向かって口を開けて落ちてきた。
俺は、横に避けたが残りのワームが同じ様に次々と襲ってくる。
避けたら、もう一匹のワームも襲ってくる。だが、避けられないスピードではない。
しかし、ワームのスピードも上がってくる。
俺は、ジェネラルホーンの角で作られた剣と取り出し、胴体を切り付けた。
しかしワームの皮膚で跳ね返されてしまった。
なんだ、ゴムみたいだな。何度も切り付けるが、跳ね返される。
ちっ、剣では無理か。あ、しまった。
ちょうどワーム同士が重なり、タイミングよく俺の死角から、ワームが飛び出て来てこれは避けられそうもない。
俺は体を丸め、顔の前に腕をクロスさせ、衝撃に備えた。
案の定、大きく飛ばされた。
だが、ダメージはほとんどない。
俺は、砂の地面の上に着地しようとしたら、ちょうどその場所から、砂が盛り上がって来た。
ばかデカい、最初のワームと同じぐらいだ。
俺は、避けるためにウインドで、飛び立ち、なにもない場
所に降り立った。
上を見上げると、4匹のワームに上から睨まれている状態だ。
しかも、ばかデカイい一匹は胴回りが30mは有りそうだ。長さはわからん。
たぶん、一番最初に遭ったワームだろう。
俺はその場で回転して、ウインドカッターを適用に乱射した。
すると、デカいワームは、切り裂かれダメージを与えた。
しかし、一番大きいワームにはデカすぎてかすり傷程度しか与えられなかった。
俺は立て続けに俺を中心としてファイヤーストームを放った。
すると火の竜巻がワームどもを飲み込んだ。
小さめのワーム3匹は皮膚が焼きただれ、そのまま地面に倒れた。
ばかデカいワームは少し皮膚が焼けているが何ともないみたいだ。
ばかデカいワームは再び上から俺を飲み込もうと襲ってきたが、俺は左に躱した。
すると今度は俺の周りを砂の中でぐるぐると回りだした。
次はどんな攻撃を仕掛けてくるのだろうと、様子を見ていると、俺の地面の下がだんだんと窪んできた。
砂が水みたいに渦を巻き出した。
あ、俺を砂の中に追い込む気か。
そう思い、ウインドで、空中に上がり停止した。
するとどんどん渦は大きくなった。
なんだかな~。
そう思っていると、突然砂の中から黒い小さい物体がいくつも飛び出してきた。
「うお、なんだこれ?」
さすがにすべて避けられるわけでもなく、何発かくらってしまった。
当った場所を見ると、小さいワームが噛み付いているではないか。
しかも緑のよだれを垂らしながら。
ん、これは、毒か。まずい。
と思ったが、特に問題は無いみたいだ。
ヴァンパイアの特性で耐性があるようだ。
俺は、全身を炎で包んだ。
「ギャー」
そう言って俺に噛み付いていた小ワームは地面に落ちて行った。
そのまま、少し上がり、地面から飛んでくる小ワームが届かないところまで来た。
すると、俺の後ろからたぶん、ばかデカいワームの尻尾だと思うが俺を叩き落とそうと襲ってきた。
避けきれなかった。
ワームの尻尾に当り、縦に回転しながら砂の地面に強く強打し、何回か跳ねて、やっと止まった。
冗談じゃない。
なんて質量だ。
さすがに物理的に大きいと魔法どころではない。
やばいな、本気を出さないと。
でも背中の羽を出すと逃げられるからは出せないし。
とりあえず、特大の青いファイヤーボールをぶつけてみるか。
俺は、ばかデカいワームの顔に青いファイヤーボールを放った。
ドカ~ン。ファイヤーボールはワームを焼き尽くすため燃え出した。
するワームは、砂の中に逃げ出した。
あ、逃げられる。
と思ったがどうすることもできない。
しばらくすると、砂の中で炎を消し、顔が焦げていて明らかに怒っているであろうデカいワームが砂から顔を現した。
完全に怒らせたな
ワームは口を開けた。
ロの中には穴が開いた舌があった。
あ、まずい。またレーザー系か。
と思って、ウィンドで飛んでて、軌道上か、逃げようと思ったが遅かった。
ワームの舌の先が一瞬光ったと持ったら、わき腹を貫通し!そこから肩まで弧を描くように持ってかれた。右腕は吹きとんだ。
抉られた状況だ。
俺は口から血を吐き、砂の上に転がった。
うううう。うん、大丈夫だ。
意識はある。さすがに、自己修復では間に合わない。
でも、少しづつだが肉が盛り上がっている。
だけどそれを待っている暇がない。
ばかデカいワームは上から俺を見下ろしている。
ハイヒール。
俺の体が光に包まれ、失ったわき腹から腕が元通りになった。
それを見て、ワームはまずいと思ったのか上から口を開き、
さっきレーザーを発射した舌を出した。
ちくしょう。
どっちが強いか勝負だ。
俺は地面から仰向けのまま、両手をばかデカいワームの口に向けて構え、青いファイヤストームを発動した。
それと同時に、ワームからもレーザーが発射され、ぶつかり合った。
ワームのレーザーの方が威力が強く、俺の方にだんだんとレーザーが近づいてくる。
俺が押されている。
「うおおおお~~! !」
更に俺は、出力を上げた。
すると、ワームのレーザーを飲み込み、そのまま口に到達し、体ごと焼き尽くした。
ドスン。
ちょうど、焼かれたところから胴体が切れ、ワームの上半身は砂漠に落ちた。
ふう、やっつけたぜ。ちょっと俺は、呆然としている。
さすがにハイヒールと最後のあれは、魔力を使い過ぎた。
バシ。
ん。横を見ると、小さいワームが切られて死んでいる。
「なにやってんだよ。お前。背中の羽を使えば簡単に倒せるだろ。」
サタンさんだった。
「あ、サタンさん。どうしたんですか。こんなとこで。」
「こんなとこって。なんか外が騒がしいから見に来たら、ワームとあそんでいるやつがいてな。面白かったから見てた。」
「そうなんですか。さすがに今回も死ぬかと思いました。やばかった。」
「お前、いつもこんな危なっかしい遊びをしているのか?」
「遊びじゃないですけど。いつもこんなこんな感じです。」
「いくら、命があっても足りないぞ。って言ってもなかなか死なないか。
でもさ、頭だけは胴体とくっつけとけよ。じゃないと体は復活しないぞ。」
「え、そうなんですか?」
「そうだ。心臓はやられても復活する。だが、首を跳ねられると、首だけで生きることになる。しかも何もできないぞ。」
「え、生き地獄ってこと?」
「そうだ。他の人間やヴァンパイヤに頭を付け替えればいいなんて考えるなよ。
それこそ、体が反発して朽ち果てるぞ。ま、それが唯一のお前の弱点だ。
でもそれって、魔物なら普通か。」
「そうですね。人間よりは必ず守る場所が一つ減るからいいですけど、同じ様に頭を壊されたらいけないってことですよね。」
「そうだ。気を付けな。」
「ありがとうございます」
「おい、落ち着いたか。」
「ええ、今日はもう戻ります。」
「そうか。じゃあ、またな。」
そう言ってサタンは飛んで行った。
俺も飛んで戻ろうかと思ったが、魔力がまだ回復していなかったので、歩いて帰った。




