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ステータス

そうだ。久しぶりに自分のステータスを見るか。


ん、LUK以外全部※印になっている。


LVが(※※)。それと並行して、HPが(※※)、MP(※※)、STR(※※)、 VIT(※※)、 DEX(※※)、AGI(※※)、INT(※※)、 LUK (3)になっていた。


で、種族が、ヴァンパイア(改)になっている。


やべー、しくじった。


エルフのダンジョンをクリアした時ぐらいに、視界にステータスがいつも見えるのがウザったくて閉じたままだった。


こんなことになるんだったら、毎日、確認すればよかった。


今さら嘆いても仕方がないけど。


俺は、山岳地帯を少し探索したが、魔物が全然見つからなかったので、メーテルの元に戻った。


「どうしたの? 神妙な顔をして?」


「いや~、自分のステータスがおかしなことになっていて。」


「ん。どういうこと?」


「なんか、数字が※印になっているんだよね。いつからか解らないけど。」


「ねぇ。ユートさんは、どこの神様に祝福してもらったの?」


「え、あれはたしか、カミール神の女神だったかな。あまり覚えていないけど。」


「ああ、カミール神の女神ね。それじゃあ、そうなるのも仕方がないわよ。」


「え、どういうこと?」


「だって、女神の加護でしょ。女神は神の中で位が一番低いからよ。

しかも、人間の神様で、ユートさんはヴァンパイアなんだから、無理があるわよ。」


「ん?」


「もう何も知らないんだから。いい。加護を付与してくれる神様は私が知っているだけで3人。

その一人がカミール神。で、カミール神の女神だから、位が低いの。だから、ステータスの表示にも限界があるわ。」


「ほほ~、なるほど。ということは、位の高い神様の加護を頂ければ、もっと正確に解るという事か。」


「そうよ。加護を貰えればね。しかも、神様によっては、ステータス関係以外に強力な加護を受けられるの。」


「例えば?」


「魔法が強くなったり、運勢が上がったりといいことずくめよ。

ただし、加護を受けられればだけどね。」


「メーテルさん。どこで、加護を受けられるか知っていますか?」


「私の故郷なら受けられるかもしれないけど。人間の世界のことは解らないわ。それにあなたヴァンパイアでしょ。それならヴァンパイアの由緒ある神様から加護を貰った方がいいんじゃないの。」


「そっか。そうだよね。それが普通だよね。」


「そうよ。ヴァンパイアが人間のカミール神から加護を受けていること自体がおかしいのだから。」


「わかりました。地上に戻ったら、ヴァンパイアを探します。」


「そうした方がいいわ。」




俺は少し休憩して、また、山岳地帯で魔物を探している。


あ、また虫がいた。この前倒した同じ種類の虫が俺の前方を飛んでいる。


虫の真後ろに居るためか気づかれていない。


よし、巣があるかもしれないから、尾行しよう。


俺は、気づかれないように虫の後を付けた。


しばらく後をつけて行くと、溪谷みたいなところに入って行った。


そのまま付いて行くと、両サイドが断崖絶壁に囲まれた場所に出た。


そろそろ巣か。


そんなことを思っていると。ガラガラと小石が上から落ちて来る音がした。


ん、なんだ。


そう思い上を向いたら俺や虫を目がけて、直径3m級の岩が落ちてくる。


俺はとっさに横に飛んで躱し、急いで断崖絶壁の入り口に戻った。


ふう。危なかった。


俺が後ろを振り向くと、虫はその落ちてきたいくつもの岩に潰されて動けなくなり、もがいていた。


あぶね~。俺も虫と同じように危なくぺちゃんこになるところだった。


それにしても、崖が崩れたのかと思い、上の方を良くみると、かなりの高さに人影があった。


それも20体ほど。


俺はその影からさっと身を隠した。


しばらくすると、ザザザザーと崖からいくつもの人影が器用に降りてきた。


はぁ? 普通は落ちるとこだぞ。ここは。ほぼ90だろ。


って突っ込みを心の中で入れた。


最初は上の方にいたから姿は黒くて確認できなかったが、下に降りて来るにつれてだんだんとその容姿が解って来た。


ゴリラだ。いや違う。毛並みは茶色いが短い。


ホワイトオーガでもない。でも体格は似ているが腕を地面に付けて歩いている。


ゴリラの歩き方だ。


しばらく様子を見ていると一匹が動けなくなっている虫に近づき、何かを刺した。


すると、虫は動かなくなった。


その後、ゴリラの仲間が次々と虫の上の岩をどかし、そのまま岩を担いですごい速さで崖を登り始めた。


すげ、岩を上の位置に戻すんだ。


っていうか、もうあんなところにいる。


すごすぎる。


最後の一匹は、虫を背負い、同じように崖を高速で登って行った。


う~ん。20匹ぐらいか。


今の感じだと肉弾戦になりそうだな。


魔法は使って無さそうだったし。


でも虫になんか刺していたよな。


毒のたぐいか。あれには気を付けないといけないな。


それに、役割労担が決まっていたから、絶対1対20って戦いになりそうだ。


どうするかな。でも、戦わないと強くなれないし。


う~ん。俺はその場で20分ぐらい考えた。


よし、奇襲をしよう。


さっき俺まで潰されそうになったし、ちょっと卑怯な感じもするけど、どうせ一対一で戦ってくれるとも思えないし。


絶対に全員で攻撃してくるし。


それにダンジョンの中の魔物だから卑怯なこともしていいか。


羽を使って、上空から飛んで、でっかいファイヤーボールをぶちかませば半分以上は倒せるだろ。


出来るだけ見つからないように慎重に近づいて、住み家に放てば。


よしそれでいこう。


俺は痛いのを我慢して背中から羽を出した。


そして、勢いよく上空へと飛びあがった。


「うお~、おお。」


相変わらず早い、早すぎる。


あっという間にダンジョンの天井だ。


なかなか加減が難しい。


俺は上空に停止してゴリラがいるであろう場所を見わたすと、先ほど捕まえた虫にゴリラが群がっている。


高い位置から見ているので、大袈裟だけど、飴に群がる蟻みたいだ。


たぶんあそこにいるのが全部だな。


俺はファイヤーボールを中心で食べられている虫に向かって放とうとした。


すると、背中の羽から違和感が伝わり、そのまま違和感は両手に集まったと思うと、俺が考えていた大きさの2倍ぐらいのファイヤーポールが発射された。


しかも、スピードもいつもの倍以上の速さだ。


「え・・・・」


ファイヤーボールは虫に命中し、そのまま、大爆発した。


「ちょっと待て、大参事じゃないか。完全にオーバーキルだ。

何だこの力は。羽の影響か、それにしてもすごすぎる。自分でやったことだけど、これは引くな。」


この爆発の音を聞きつけて、洞窟から何体かゴリラが出て来たが、俺の姿を見て、ものすごい勢いで逃げて行った。


「あ、逃げた。なんかこの光景、前に見たことがあるぞ。そうだ、エルフの洞窟で俺が女性陣に騙された時だ。あの時と同じだ。」


なんか今日は疲れた。自分の力に。


俺はメーテルの所に飛んで戻った。


「お帰り。どうしたの? 今回も顔が引きつっているわよ。」


「いや~、山岳地帯にゴリラみたいのいるでしょ。」


「ええ。ジェネラルマントヒヒね。あれは群れて行動するから厄介だし、拳の所から毒の針が出て危険だし、個体自体もかなりの強さを持っているわね。」


「へ~。」


「なによ。その興味がなさそうな返事は!」


「だって、やっつけちゃつたから。」


「え...。やっつけたって?」


「うん。ファイヤーボール一発で。」


「ん。ファイヤーボール一発って?でも、群れて襲ってくるから大変だったでしょ。」


「20匹ほど。」


「・・・」


沈黙が続いた。


「ちょっと待ってよ。20匹をファイヤーボール一発で倒したってこと?」


「そう。」


「・・・」


また、沈黙が続いた。


「ユートさんっていくらヴァンパイアだからって非常識すぎるわね。頭が痛いわ。」


「やっぱり普通じゃないよね。僕も自分の力に引いたよ。」


「そう。でも、良かったじゃない。これで、地上に戻れる希望が出来たんじゃないの。」


「そう言えばそうだ。いい方に取れば地上に戻れる力を手に入れたってことだね。」


「そうよ。頑張って。」


「ありがとう。」


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