不幸な俺は、
俺、長崎 ユウト。高校二年生の17歳である。
小学校四年生の時、友達とトラブルになり、担任の先生が中を取り持ったが、
俺は悪くないのに先生は公平な対応をせず、相手の肩を持つ、偏った対応をとり、俺は反発した。
それから担任の先生と馬が合わなくなり、そのあたりから不登校が始まった。
それからすべての先生に不信感を持っている。
当然、引きこもりになったが、親の助けもあって、こんなことではいけないと思い、
部屋から出るためと、体力づくりのために定期的に一人で家の近くの川沿いを走った。
だから精神力と体力が付いたのか、
なんとか、自分の部屋で閉じ込っもっている引きこもりではなく、家の外には出られるようになった。
今は、同級生と一緒に教室で、授業は受けられないけど、不登校支援教室みたいなところに登校して、出席日数を稼いでいる。
現在まで、なんとか中学校、高校生と進学して学校生活を送っていた。
「あ~高校を卒業して社会に出たら社会の厳しさに、耐えられなくなって、メンヘラになるんだりうな。
今みたいに会社に行けなくなって、また引きこもりになってしまうんだろうな。」
といつも思っている。
「どうして、こんなことになってしまったんだろう。」
と毎日、自問自答を繰り返している自分がいる。
本来ならまだ、人生を諦める年齢でもないのに悟ってしまったのか、冷めているのか。
将来に不安を持っている人は俺以外にも多いのではないかと思う。
自分も努力はしているがなかなか切り替わらない、一歩前に進めない人間だ。
ある日、いつものようにやることもなく、時間潰しの為、近くのコンビニに雑誌の立ち読みをしに行った。
本来は、立ち読みはいけないことだとわかっている。
でも、この辛い世の中を生きていくにはいい子ちゃんでは生きていけない。
少しぐらいの図々しさがなければいけないと思って少し頑張って今、立ち読みをしている。
コンビニからしたら迷惑だと思うが。
そんなことを考えながら駐車場を正面にして、映画の雑誌を読んでいた。
何気なくふっと前を見たら。
なんと、白の軽自動車が駐車場から俺に迫ってくるではないか。
運転席のおばあちゃんはビックリし、驚愕した顔で、俺と目が合った。
車止めを乗り上げて跳ねた車は、コンビニの窓ガラスを突き破り本棚もろとも俺を吹き飛ばした。
意識が朦朧としていく中、
「おばあちゃんが運転している車がコンビニに突っ込んだ。ブレーキとアクセルを間違えたらしい。」
とそんな声がうっすらと意識の中で聞こえてきた。
なんなんだ。この不運な運命は。ち、くだらね~よ。
と思いながら意識が遠のいた。
俺は昔からホラー映画が大好きで、特に吸血鬼ものヴァンパイアに憧れれていた。
いつも映画でヴァンパイアが描かれている視点は、人間の視点で恐怖の対象だった。
昔の映画では、男爵みたいなフォーマルスーツの様な洋服を着た紳士的な装いのヴァンパイアが、
人間の美女の首もとに口を大きく開いた二本の牙を突き刺し血をすすろうとしている映像が有名だ。
ト⚪・クル⚪⚪が主演していたインタビューなんとかのヴァンパイアもカッコいい。
もっとカッコいいヴァンパイアを表現する自信があった。
ていうかなりたかった。
不老不死なのに太陽の光に弱かったり、結構、弱点があり残念な設定なんだけどまたそこがカッコいい。
俺はヴァンパイアに憧れれていた。そう思いながら目を覚ました。
するとそこは、眩しくて真っ白い世界だたった。
「ん、ここは何処だ?。」
回りをキョロキョロ見渡してみると遠くに黒っぽい人のシルエットが見えた。
人影は徐々に俺に近づいて、よ~く見るとチョー自分好みのきれいな女性だった。
しかも、白いヒリヒラしたワンピースを着ていて、体のラインが良くわかる。
胸も大きめで直視できない。
さらに、お花畑の様な、すごいイイ香りが辺りを包んだ。
なんなんだこの人は?
どうしよう恥ずかしくて緊張する。
俺のモロ好みのど真ん中。
今までほぼ引きこもりに状態だった俺は、女性と付き合ったことや、手すら繋いだことがないのだ。
そんな俺の前に本当にきれいな人がこっちを見てるだけで緊張した。
はじめて綺麗な人に会うと「ぽけ~」と見とれてしまう感じ。
って言うか俺には刺激が強すぎだ。すると綺麗は人が話しかけてきた。
「あなたは、死にました。」
え。
意識的にははっきりしているし、綺麗な人が話しかけてきたいるので今の状況が上手く把握できない。
「運悪く、車に引かれましたね。」
え。
良く聞いているとこの人は、俺に対して、むかつくことを言っていると感じた。
最悪だ。
「でも、あなたは本来ここで死ぬはずではなかったのです。
これから大人になる過程でどう生きるのか。
引きこもりのまま落ちぶれて行くのか。
それとも大成の道を進むのか。
これから長い年月をかけて魂の修行をする必要がありました。
それなのにあなた。
コンビニに行く途中、蝶々を助けたでしょう。」
そうだ。
コンビニに行くいつもの道を歩いていたら、ふとアゲハチョウが飛んでいるのが目に入ったんだ。
「きれいだなあ。」
と思い、しばらく様子を見ているとその蝶々は、大きな蜘蛛の巣に向かって行った。
「あっ」
蝶々の羽が蜘蛛の糸に引っ掛かり、逃げようと羽をバサバサとさせていた。
その振動が糸から伝わって来たのか、巣にの主の蜘蛛が蝶々に迫って行くのが見えた。
なんか蝶々がかわいそうになってきて、
というか、俺の目の前で一つの命が消えようとしているのを黙って見ていられない性格なので、食べられないように逃がしてあげたんだった。
「その時の命のやり取りが原因で時間軸が変わり、本来はかすり傷程度で済むはずだったのですが。」
え、それだけのことで死んだの。
やっぱり不運な運命だったんだ。
「本来はそのような事をしても死ぬことはまずありません。
ただ、本当に運が悪い人はいます。あなたみたいに。」
なんなんだこの人は。本当に嫌なことをズゲズゲと言ってくる。
あ~本当に訳がわからん。
現状でわかるのは、俺が死んだと言うことか。
とすると俺はこのあとのどうなるのだろう。
「それで一つ提案があります。」
ん。なんだ
「聞いてもらえますか?」
と綺麗な人に尋ねられた。
聞かないと言っても死んでいる訳だし。
このあとのどうなるか解らないし。
「聞きます」
そう答えた。
「そうですか。聞きますか。
なら、あなたは私が管理している魂の一つです。
このままだと地球の魂の一つとして地球魂に吸収され魂の一生を閉じるか。
地球外の魂として生まれ変わるか。
どちらがいいですか?」
はあ~解らね~。
なんだ地球魂に吸収されるって。
たぶん自分が無くなるっていうことなんだろうなたぶん。
それだったら地球外の魂の方がいいかな。
今までの引きこもり人生をやり直すことが出来るし。
もう後悔はしたくない。
「生まれ変わりたい。」
「では、地球外の魂として生まれ変わることでよろしいですか?」
「はい。」
「では、種族ですが何がいいですか?」
え、また何か訳の解らないこと言ってる。
「すみません。種族って何ですか?日本だと黄色人種とか白人とか黒人のことですか?」
「いえ、違います。
地球とは多少、常識が異なります。
地球の言葉で言うと、魔法と呼ばれるものがあったりするぐらいですかね。
まあ、あなたは地球のことでもほとんど知らないのでそんなに問題ないでしょう。」
確かに。
いざ、問いかけられると地球のことなんて100分の一、1000分の一、それすらも解らん。
「じゃあ、種類だけでも教えて下さい。」
「人間、ドワーフ、エルフ、獣人、スライム、ゴブリン、オークなど。」
え、ドワーフにエルフ。
しかも魔物系まで。
なんか面白くなってきたぞ。
「オススメとかないですかね?」
「特にないですね。無難なのは人間ですかね。
地球の人間と大体同じ作りをしていますからね。」
そうかあ。
でも、同じじゃつまんないな。
「魔物には、なんでもなれるのですか?
例えば、ドラゴンとかは?」
「ドラゴンは無理ですね。
あっちの世界にもルールがあって、希少種類は人気ですから。
なるのに相当な時間と能力が必要ですね。
因みにあなたは、
すぐにって言っても1日ぐらいの時間はありますが、
早く決めないと地球魂に強制的に吸収されてしまいます。」
そうなると、ものは試しで、前々からの夢でもあった、ヴァンパイア。
聞くだけ聞いて見るか。
「ヴァンパイアになれますか?」
「ヴァンパイアですか。
その種族はあるにはありますが希少種類ですから。
あ~でも、全然人気が無いみたいですので問題ありません。
大丈夫ですよ。」
やったー!!
人気が無いと言うのが引っ掛かるが俺的には問題ない。
「それではヴァンパイアでよろしいですか?」
「はい。」
「それでは、ヴァンパイアとして人生を謳歌して下さい。」
そう言われて目の前が急に真っ暗になった。