十八禁百合小説なんて存在しません! 〜続・百合小説とR18ボーダーライン〜
≪前回≫
百合小説とR18ボーダーライン
http://ncode.syosetu.com/n4917do/
十八禁百合小説なんて存在しません!
なんて言えばミルコばりの顔をした百合オタ諸氏に「お前は何を言ってるんだ」と二次元ドリーム文庫の角でぶん殴られることでしょう。でもちょっと待ってください。あなたの振り上げたその二次元ドリーム文庫の百合小説、実は十八禁じゃないんですよ?
確かに今の日本社会には十八禁というものが存在します。映画、ビデオソフト、コンシューマーゲーム、PCゲーム、漫画、雑誌……媒体の違いはあれど、何かしらで十八禁という物の存在を知った(あるいは触れたことがある)という人がほとんどでしょう。しかしここがやっかいなところですが、それらの十八禁というのは大ざっぱに言ってしまえば各業界による自主規制、自主レーティングに過ぎないのです。例え都道府県レベルで制定されている青少年保護育成条例によって半ば強制されたようなものだとか様々な社会的事象によって生まれる社会からの圧力・影響を受けやすいだとかあってもあくまでも自主的なものなのです。
映画やゲームのように業界による審査団体を作ってそこで審査された上で個々の作品のレーティングが設定される媒体もあれば、漫画のように業界内で大まかな枠組みを作ってそれぞれの企業が自主的に運用していく媒体もあります。いずれにしても業界内での十八禁システムがあらかじめ確立されていることが前提です。
では小説はどうでしょうか。
少なくともネットで検索してみた限りでは小説の内容を審査してレーティングする団体は引っかかりませんでした。また私の手元にある二次元ドリーム文庫の本には未成年が購入するには相応しくないことを意味する成人向けマークも未成年者への注意書きもありません(皆さんのお手元にあるフランス書院文庫の本でもおそらくは同じでしょう)。小説には十八禁の前提となる業界による自主規制システム事態が存在しないということになりますし、それは事実上、小説には十八禁の区分が存在しない、ということになります。つまり本屋でわたくし十八禁ですのよとすました顔してエロ漫画と一緒の棚に置かれているあの小説たちはとんでもない非十八禁だったというわけです。
とはいえ、これは実際のところ「紙媒体での商業出版では」という但し書きが付きます。例えば同人誌においては即売会の規約や作者の自主的な判断によって小説本にも十八禁表示が付けられ頒布に年齢制限がかけられることもあります。電子書籍でも配信元によっては紙媒体と違って独自の十八禁指定がかけられる場合もあります。日本の十八禁は業界の自主規制ですから、業界全体で統一された規約やシステムがない以上個々の事業者が対応しているということなのでしょう。
今回問題になった濃厚な百合キス描写のある百合小説をなろう運営がR18警告をしたこともこういった個々の事業者による対応の一例と言えます。あくまでもサイトを管理するなろう運営独自の判断であり、判断の権限を持つのがなろう運営しかいない以上その判断を覆すのは非常に難しいと言わざるを得ません。利用者に出来ることと言えば、なろう以外を利用するか(ただし他のサイトがなろう運営と同じ判断をしないという保証はどこにもありません)、今回示された判断から類推できる問題になるような表現を控えるくらいしかないでしょう。
まあ一つの小説に下された判断一つだけで何が問題になるか全て把握しろというのはどだい無理な話なので、書店での陳列や電子書籍のレーティングで十八禁相当と思われているレーベルを判断してそこの作品を読み、そこで多用される性的な表現をなるたけ避けるという方向を目指すのも一つの手だとは思います。
つまり。百合小説書きの皆さんは二次元ドリーム文庫の百合小説を片っ端から買って読みましょう! という話でした(ダイマ)。