011-ケンジ&ハルコとマコト&ヒミコ
タロウ達が眠り、ハル・アユミ・ケンジの3人は、沈黙して仮眠をとった。
ケンジは、目を閉じると過去の記憶を思い出していた。
この世界に来る前の自分。
ケンジは、うっすら目を開けハルミさん。アユミさんを見て再び目を閉じると、幼いころの自分の姿が脳裏に浮かんでいた。
僕は、元の世界の学園では、初等部からいじめられっ子であった。
幼い頃は、気の量が他の人と比べ多い事で敬われる存在に近かったが、学園に入って気を使う実技が行われるようになると膨大な気を使いこなせず自分の放つ気にふりまわされ、翻弄する日々をすごしていた。
クラスでは、有り余る資質を持ちながら、使いこなせない劣等者と陰口を言われ僕に近づく生徒はいなくなっていた。
そんな僕にクラストップの実技を持つマコトとヒミコが言葉を掛けてくれた。
「ケンジくんは、練習ねっしんだね。」
「いぇ・・・・」
「ケンちゃんは、練習熱心というまえに落ちこぼれ扱いされたくないから頑張ってるんだよね?落ちこぼれたら皆から仲間はずれにされちゃうからね。」
「仲間はずれ・・・・・」
「僕達が、ケンジの練習を手伝ってあげようか?」
僕は、まだ仲間はずれにされてない!、二人が練習を手伝ってくれる、
ケンジは、2人との会話でそう思い嬉しくなり、心が明るくなり、
希望が湧き高揚した。
翌日の放課後、約束の練習場で2人を待っていると
マコトとヒミコがあらわれた。
「ケンジ、稽古の手伝いにきてやったぞ!」
「ケンちゃん、今日から毎日稽古をつけてあげるね。楽しんでね。」
ケンジは、2人の様子にいやなものを感じたが、2人に練習の手伝いをお願いしてしまった。
「うん。よろしくおねがいします。」
ケンジの挨拶が終わると、再び練習場の出入り口が開き大勢の学生が入ってきた。
クラス全員がこの練習場に入ってきたのだ。
「稽古は、ハードだから服を着替えてくれるかな?」
ヒミコさんが、そう言うとひとつの紙袋がケンジめがけ投げつけられた。
とっさのことでケンジは、対応出来ずにその袋を顔面で受け止め尻餅をついてしまった。
「キャァハッハッハ! ケンジ、まじうける!あんた稽古つけるには、最高だよ。」
ヒミコが高らかに笑いケンジを馬鹿にした。
ケンジは、思った。
ここから逃げたい・・・・何でこんな事に・・・・
「ケンジくん、練習がんばって!」
一人の女の子が屈託の無い笑顔でケンジに声援を送ってきた。
その女の子が、ハルコだった。
これがケンジとハルコの出会いであり、ケンジは、ハルコを見ながら思った。
たぶんハルコさんは、この場の状況を把握出来ていないのだろう。
他のみんなは、マコトくんとヒミコさんの言動で稽古じゃなくて、いじめだと感じているはずだ。
このままじゃハルコさんまで僕と同じに扱われる。どうしよう・・・・・
ぶさまに尻餅をついた状態でケンジが固まっているとヒミコが話し出した。
「へえぇ~。ハルコは、ケンちゃんの稽古で頑張る姿を応援するんだね。」
ヒミコさんが、にやついた顔でハルコさんに話しかけた。
「うん!ケンジくんの実技の練習を2人が手伝うんだからきっとケンジくんは、気を使いこなす事が出来ると思うんだ。もし2人みたいに気を上手に使えたらすごいんだろうなて。だから今日は、見にきちゃった。」
ケンジは、思った。
ハルコさんは、2人を疑うことなく純粋に2人が僕の指導をして僕が気を使えるようになるのを楽しみに来たのだと。
「ふぅ~ん。ハルコさんもケンちゃんが気を使えるようになるの楽しみなんだ。」
「うん!」
「じゃ~ ハルちゃんもケンちゃんの稽古を手伝ってくれるよね?」
ケンジは、このままじゃハルコさんまでいじめのターゲットに・・・・・そんな思いで、周りを見渡し、願った。
だれか、なんとかしてくれ!助けてくれ。
だが、だれも動かず多くの者が、顔を伏せその場に立っていた。
この状況で2人を止める者はあらわれず、
ケンジとハルコは、いじめらっれ子として決まってしまった。
この後、僕は渡された体操着に着替えぼこぼこに2人からされた。
ハルコさんは、そんな僕を見かねてか練習の中止を2人に進言したが、僕が起き上がるまでの時間ハルコさんが稽古をすることになってしまった。
「そぉ~ね!ケンちゃんが起き上がるまでの時間ハルちゃんが稽古の相手をしてくれるなら今日は、終わりにしようかな?」
ハルコは、実技は、クラスで上位であったが一対一ならそれなりの戦いを見せることが出来る実力があった。
だが、ヒミコとマコトは、学年トップの実技能力の持ち主でありハルコが稽古相手としては、格下すぎた。
「きゃ~・・・・」
最初は、様子見といった感じでハルコがヒミコを押しているようにも見えたが実際は、ヒミコがハルコの能力を測っていただけだった。
「ハルちゃん、おわりかな?大技とか無いの?つまらないのですが。」
ハルコは、全力でヒミコを倒そうと戦っている。
彼女が身に着けた技の全てをヒミコに叩き込んで戦っている。
「ほかの技が無いのなら、私が攻めますね。」
ヒミコが、攻めると言ってバックステップでハルコとの間合いをとったと思った瞬時にハルコとの間合いを詰め肩を両手で押さえ跳び膝蹴りでお互いが宙を舞うと肩の手をすばやく引き下ろしヒミコが着地した。
ハルコは、背中から落ち気絶した状態で床に大の字となった。
ハルコの上着は引き裂かれ、ふたつの乳房が晒されていた。
「あちゃ~。一撃で、おねんねとは、つまんないね。」
そう言うとヒミコは、気絶したハルミさんのスカートをめくり
「え?まじ? ハルちゃん失禁してるよ。それよりこの子のパンツって黄ばんで汚いんだけど!」
ヒミコが、つま先で脇腹を蹴ってハルコさんを起こす。
目を覚ましたハルコにヒミコが話し出した。
いじめのネタ探しと思われる質問攻めが繰り返された。
そんなヒミコの質問にハルコは、素直に答えた。
ハルコは、捨て子であり親がだれなのか不明であり孤児院からこの学園に通っていること。
孤児院出身で、この学園に通えるのは、彼女が有する能力が関係しているが彼女自身その能力が何か知らないこと。
ハルコは、特待生であり彼女の評価に応じた金品が孤児院へ送られ孤児院の運営費の一部として使われていること。
だから、この学園に通いつづけないといけない。出来れば成績も上げて報酬を増やしたいとも思っていることなどが、暴露された。
ヒミコは、ハルコの境遇を哀れむと言いながら、侮辱と恥辱の言葉を吐いている。
「ハルちゃんは、孤児院か。大変なんだね、大勢の子供と生活してるんだもんね。
食事も制限があるだろうし、まして服とか簡単に買えないでしょ。」
「はい、配給される分だけで贅沢は、できませんが生活に支障はないので心配しないでください。」
「ハルちゃんは、困らなくても皆がね?生服は、新品みたいだけど下着とか臭うんだよね。」
ハルコは、ミトコの言葉にハットし俯いた。
「あたしの、お古でよければあげるけどわたしのお古を穿く?」
ハルコは、ぱっと顔を上げ言った。
「ありがとう。頂きます。」
ケンジは、思った。ハルコさんは、なぜ侮辱され蔑まれてもめげずに、逆手に取った様に相手の言葉を素直に受け止め、恥じる事無く情けを受けられるのかと。
孤児院という特別な場所で生活しているから出来たのか?
理由は、わからない。だがハルコさんを見ていると勇気が湧いてくる。
ケンジは、ハルコさんに自分に無い強さを見て決意した。
いじめられっ子のままでも最後までこの学園に通い続けよう!と