001-プロローグ
タロウが生まれ育つ時代の生活環境は、人類の大規模な戦争後の世界であり
高度な文明が発達した時代でありながら、戦争時の科学物質により
生物の異常進化が起こり人間同士が争うだけでは無く他種との生存競争が各地で勃発していた。
人類が生まれ何世紀もお互いの利権を争い覇者となるべく戦いが繰り返され。
各国々は、覇者となるべく若者の教育に力を注ぎ優秀な能力を示した者に多大な報酬をあたえる一方で能力の劣る者達には、一切の温情も示さなくなっていた。
文明が発達しても全ての人が幸せな生活を送る事は難しいのだ。
逆にこの地を離れ、お互いに協力して生活をする者達も居るが
今、ここで蔑まれて過ごす者達より厳しい生活を送ることになる。
ここには、発達した文明で食べ物も工場生産で新鮮な野菜や果物といった農産物も豊富に作られている。
魚や肉は、当然 工場の無人のシステムで養殖・飼育され工場を出る時には、解体され生鮮食材として出荷される。
ここで暮らせば、飢えて死ぬ事は無いということだ。
ブライドを捨て生きるなら弱者にも都合の良い場所とも言えるのかもしれない。
主人公のタロウは、雅家の三男として生まれた。
父と兄二人は、この国の兵器開発を行っている筋金入りの開発オタクであり
母と一番上の姉は、この国の兵士で兵器を操る頭脳と近接戦もこなす戦士でもある。
次女は、まだ学生で俺と同様に学院生活を送っている。
次女も母達同様に文武両道でこの学園では、知らぬ者が居ない存在でもある。
タロウは、現在12歳で中等部1年、他人と接することをあまり好まない性格なので授業以外の時間は、中等部の敷地では無く高等部の施設に居ることがおおいい。
普通は、中等部の生徒が高等部の施設に居たら袋叩きになるのだろうがタロウの姉の存在のおかげで文句を言う者はこの学園には居ない。
午前の授業が終わり昼食のため何時ものテラスでタロウが食事をしていると
「ハル!おそいよ!・・・それにケンは、どうした?」
「売店が混んでて・・・・先に私が買ってきた物だけでもと思って・・・」
「全部そろわないと一緒にたべられないでしょ! ケンが来るまで余興かな」
何時も通りの芝居とも思えるいじめが始まるようだ。
椅子に偉そうに座る女が『・・・・余興かな』と言うと取り巻きの一人の女が食材の乗ったお盆を持つ女性のスカートをめくり上げる。
「あいかわらず汚いパンツ履いてるんだ」
そう言うと、パンツを一気に膝上まで引き下げ命令した。
「脚を開きな!」
言われた通りに彼女は、脚を肩幅程度に開いて痴態を彼らに晒し罵倒される。
思春期になるとこの手のいやがらせと言うかいじめが多くなるのはしかたのないことかもしれないが・・・・
しばらくして一人の男が大量の食材を盆に乗せ彼らの元にあらわれた。
「ケン!遅いじゃない。あんたがグズだからハルが余興してくれたんだから、あんたも一緒に余興しな!」
偉そうに椅子に座る女が言うと対面に座る男の指示で取り巻きの一人の男が、いま来た男の衣服を剥ぎとり取り巻きの者達が2人に罵倒を浴びせ始めた。
彼らが恥辱と屈辱に耐える姿を観て満足した1組の男女が食事を始めた。
「あんた達!いいかげんにしなさい!」
いま彼らに文句を言って近寄ってくる女性は、彼らと同じ高等部の二年生で、
天馬歩美天馬家は、武に優れた家系でありアユミも家系に恥じぬ身体能力でこの学院でも有能な成績をおさめている。
ただ彼女は、正義感が強いと言うのかこの様ないじめを許す事が出来ず多々問題を起こしていると聞いている。
男女合わせて6人に一人で文句を言って喧嘩を吹っかける度胸には頭が下がるが、彼らは、2年生の覇者の一部でアユミは、1年生の時に、いじめの主犯の女性と戦い無残に負けている。
この場で2人を見比べてもタロウの推量では、いじめの主犯の女性が1枚上手であることがわかる。
あの痴態を晒し、いじめられている二人がアユミに協力するとも思えない。
結果は、左右の腕を二人の女に封じられ左右の脚を二人の男に抱え開かれ自由を奪われ痴態を晒すことになる。
「卑怯者!離せ!離せ!離せ!ゞゞゞ卑怯者!ゞゞゞゞゞゞゞゞゞゞ」
アウミは、卑怯者と離せを大声で連呼しながら、がっちり押さえられた手足を振り解こうと必死にもがいている。
タロウがそんな情景を眺めていると、この場の空間が陽炎の様にゆがみこの場に居る多くの生徒とともに空間の歪みの中へと引きずりこまれてしまった。
この未知の現象により太郎は、異世界へと旅立つこととなった。