ハゲウス、出品される
た、助かった~…!
俺は内心安堵した。
突如現れた変な格好の奴のおかげで、無理心中は回避出来たようだ……。
「我が失態を笑いに来たのか、黒死天狗。」
依然俺の剣を奪ったまま、幼女化した龍は鋭い殺意を向けた。
「そういう訳ではありませんが…、それにしても貴方を初期化するとは、随分とレア物を引き当てたじゃありませんか?それなら今回の品評会の優勝も、夢ではありませんねぇ!」
本気で言ってるか皮肉で言っているのか…どちらにせよ、ムカつく様な俺を馬鹿にしたような言い方だった。殺す。
「ふん!案外、お前も戦えば彼奴に負けるかも知れんからな。」
俺と同様苛立っているのか、見下ろす奇妙な鳥の様な皮のマスクへと挑発をする。
「クックック、貴方となら兎も角、人間相手では訳もわからずに死ぬのが関の山ですよ。勿論、貴方が負けた事すら殺さぬ様手加減した結果でしょうから深くは追求しませんよとも。」
それでは品評会で、と言いって黒い外套を翻し、不気味な生き物は消えた。
なんだか怖いからさっさと逃げるか。
「待て。」
窪みから抜け出そうとすると、いきなり服を引っ張られ背中から落ちた。
「ぐはっ!」
いきなりで土でも呼吸が止まるかと思った。
「何しやがる!」
勢いで強気に言ったが、相手が剣を持ったままなのを忘れて焦った。
「我が話を聞くが好い。」
何やらさっきとは180度違った態度にどぎまぎする。
それもそのはず、この幼女は裸にジャンパーを抱えているだけだ、普通なら興奮でどうにかなりそうなシュチュエーションだ、急にそんな事に気が付いた俺が気まずくしていると、幼女は言った。
「この通り、貴様にやられたおかげでもはや選定は行えん。そこでだが、貴様に品評会に出て貰いたい。」
「待て待て!俺はここに来たばっかで何もよくわからないんだ、一から説明してくれないか?」
冷静に状況把握しようとした俺のナイス判断!これでこの意味わからん現状を打開できるぞ!
「何…?貴様は無関係な紛れ者であったか……。」
説明をするでもなく幼女は落胆した。
「まあいい、最悪我が力をいくらか付与すれば足りるであろう…。」
とにかく情報を得るために俺は続けた。
「とりあえず品評会ってのはなんなんだ?」
「500年に一度開催される祭り事だ、収穫した獲物を競わせる悪趣味な余興に過ぎん、もっとも優勝すればどんな願いすら叶うらしいのだが…。」
「何ィィ!!!」
興奮に叫んでしまったがこれが叫ばずに居られるだろうか?無理だね絶対無理だ。何でも叶うと言われれば、人は不老不死だとか金銀財宝だとか、あとは世界最強とか頼むだろうけどそんなの小さい!なぜなら俺には絶対に叶えたい大いなる願いがあるのだ。これは参加せざるを得ないな!
「よし俺が優勝してやろう、何、俺が本気を出せば不可能は存在しない!」
俺は鋼鉄の騎士団長である、どんな化け物でも負ける訳が無いのだ。
そう自己暗示をし自信満々に答えた。
「そ、そうか!何やら見つけた時から、この世ならざる気配を感じ取っていたのだが、我が見立てに狂いは無かったようだ。」
「それでは詳しい話を聞こう!」
断片的だが、どうやらここら一帯は強力な化け物が支配する都市国家が点在する場所で、さらに奇妙なことにどの国も同じ神の様な者を信じているらしいが、俺からしたら国家を支配する化け物の方が神話染みてる気がするんだが……。ともかくその神に捧げる供物を競わせて最後に残った最も素晴らしい物を捧げるとどんな願いでも叶うらしい。神が居る世界か…やっぱゲームかなんかなのか…?
俺に信仰心は無かった。




