ハゲウス、穴に落ちる
「うーん、一時はどうなるかと思ったがなんとかなったな。」
剣を投げ、気がついたらドラゴンは消えたていた。
「さっぱり何が起こったのかわからないが、とりあえずは今日一日をしっかり生き延びられそうな気がしてきたぞ。」
大学を中退してからはさっぱり無かった自分を信じる気持ちを回復しつつ、すぐに投げた剣の事を思い出して、ドラゴンの消えた焼け野原を小走りする。
「あの剣があれば何が来てもなんとかなるだろうな、この運が大学時代にあればっ!!!」
「ぐほっ!」
過去の後悔を色々と引き摺り、気を散らしすぎた……。
俺は足を踏み外し、すっ転んだ。
だが柔らかさに抱かれ痛みは無かった。
アスファルトに体を削られる予感を周囲の風景を思い出し打ち消す。
ほっ…下が硬い地面じゃなくて良かったー。
地面に手を当て起き上がろうとすると、何やら柔らかい肉塊のような感触がしてぎょっとした。
「ぎ、ぎさまーっ!!!我がぎゅうぎょくのにぐだいをを消し去っだにも関わらず、ごの身をもげがぞうどいうのがっー!!!」
おそらくドラゴンの足跡の中、俺の下には情緒不安定な子供が居た。
全裸だ!!!!
「え!ちょっと待て!よし!これを着ろ!」
紳士な俺はすぐさま、ニューヨークを連想させるスーパークールな上着を起き上がりかけていた幼女の上から被せながら弁解をする。
「安心しろ、俺はロリコンというわけじゃないんだ、高校生から小学校高学年くらいが好きな至って普通の男だ!」
「ふがっ!ほげ!」
どうやらまだ興奮している様でふがふが言っているのでジャンパーで押さえつけながら続ける。
「それに俺の好みは大人なら巨乳、子供なら平坦という様な感じで君みたいな子供に関わらず胸が大きめないかにもなタイプはそんなに好きではないわけで、何より子供でそんなメッシュを入れた様な髪をするなんて頂けない、子供なら子供らしく純真で清楚な格好をしてなきゃ、うわっあちゃっ!!」
俺の好みを力説していたら、突然服から火柱が!
親のクローゼットから借りたサイズの合わない何かのブランドのジャンパーが!!
「うっ…真なる力を失いはしたが貴様如きならばこの身の炎で焼き殺せるぞ……。」
「なんだこの幼女!火を吐いてるぞ!もしかしてお前、さっきのドラゴンか!」
「うがー!」
幼女が火を吐くというシュールな図だが、実際その火力は肉を焼くには十分なほど熱かった。なので咄嗟に顎を掴み上へと向けた。人類の勝利である。
「さっきはよくも!覚悟しやがれこのトカゲ幼女が!」
無駄な抵抗をよそに、空いた片手で被せたジャケットをまさぐると指がふわふわした弾力に触れた。
俺は胸をまともに揉んだ事は無いが、これは…!大きいな……多分妹よりも……。
揉んでいると次第に手のひらに硬いなにかが…ぐほっ!
油断した鳩尾に蹴りが直撃した、これはまさか!水月…!
思わぬ空手の技に衝撃を受け、呼吸が一瞬止まる。
「えぇい!よくもっ!この我が身に辱めを!こうなっては、貴様を殺して我も死ぬ!」
立ち上がったこの幼女は手に、竜殺しの剣を持っていた。
確実に殺す気だ、なんとかしないと…。
「そ、そこは責任を取らせるとかで頼む。」
苦し紛れのジョークの様な妥協案を提出していると、後ろから奇妙な声がした。
「やれやれ、竜王すら殺してしまうとは何かありますねぇ貴方は」
奇妙な鳥の顔が窪みの上からこちら眺めていた。
もうどうにでもなれ……。




