襲来、かつての仲間達!
大分間隔が開きましたが倍くらい書いたのでゆるして
「何考えてやがるテメェ!」
いかにも急ごしらえというような風体で、男が威嚇する。
彼の事は大して覚えていないが、元団員でもあるし答えてやるとするか…。
「いやなに、伝説でも作ろうかと思ってね。いかにもカッコイイと思わないか?」
自信満々で答えたものの、元団員からどよめきと呆れた声が聞こえる。
どうも馬鹿を見たかの様子だ、やれやれ・・・。
「伝説だぁ?一人で優勝でもしようってのか!?そいつはとんだ身の程知らずって奴だぜ。」
さっきの男が挑発気味に繰り返すが、俺が覚えてない時点でお前が役立たずなのは明白なんだぜ。
「団員と一緒に連続優勝じゃダメだってのかよ!」
「でも流石に私達を相手にして勝つのは無理だと思うんですけど」
こいつらは覚えているな、確かグルームとケルビムだ、いつも突撃時になかなか死なずに着いて来る割と優秀な奴らだ、1週間しか時間が無かったはずだが、どうやら馬も用意している様だし先に殺るべきかもな。
「どうやら無理だと思っている様子だが、現に3回戦まで進んでいる。これもお前らと貯えた資金のおかげでもあるが、それ以前に俺が一騎当千の実力であっただけの事だ。そしてこの場はそれを証明する為だけにあるのだ!!」
実はまだ雑魚としか当たって無いだけだが。
しかし、オーバーなアクションで返すと幾人かの兵に焦りが出ている、作戦通りだ。
トーナメントは64チームで開催され1チーム最大15人、現在16チームが残っている
「面白い・・・面白いな、だが!騎士団を追い出された事だけは面白くない!この大会が終われば当然、戻してくれるんだろう?」
グルームが半ば激昂を見せながらも語りかけて来るが、どうしたものか…。
別に問題は無いが、丁度良い事だし。
「ああ!当然いいとも!勝っても負けても戻すと誓おう!だが…。」
そう!急に親が家族で外食に行こうだとか言うと思ったら、親と妹はすぐに就職すると思っているのだ!妹に言うんじゃなかった……!履歴書の書き方だとかビジネスマナーだとか面接の質問対策だとかをこのニート生活ですっかり忘れた俺に、今月中の就職を求めている!不味い……!只でさえ風当たりの強い俺が、喜びの反動で吹き飛ばされてしまう!家から!なのでつまり…。
「負けた場合は俺の就職先を紹介するのだ!」
一気にテンションが下がったのを相手から感じた。
キィィィン!!グオォン!
金属の激突する音を響かせながら馬上で騎士が火花を散らし叫び合っていた。
「お前の紹介出来そうな職場は何だ!!」
凄まじい剣戟を受けながらも、怯まずに騎士は近づいて来た。
「実家がコンビニやってるから、そこのバイトでどうだ!!!」
こいつはグルーム、鬼の様な形相をしてる癖にコンビニを紹介するのかよ!しかもバイト!
「ふざけるな!バイトで安定した生活が出来るか!バカ!」
近づき過ぎた馬鎧の隙間、馬の目を目掛け剣を突き刺す。
「うがああああ!!」
すぐさま騎士は転げ落ち、無惨な姿を晒す、装備が重すぎてまともに動けまい。
「さて、あとまともに相手出来るのはケルビムくらいなもんだ。」
グルームと打ち合いながらも、無謀に近づく歩兵を打ち倒していたので、もう殆ど兵は残っていない。
「さあ、お前の就職先を言え!」
必滅の気を纏い、残った騎馬に問い掛ける。
「ほんとにここまでやるとは思ってませんでしたよ…。」
こいつは無理に攻めない時点で、それなりの自信があるようだが。
この惨状を見てどうやら俺を認めた様子。
勿論、こいつらが油断し弓兵やらを用意していなかったせいで負けたんだがな。
「警備員なんてどうでしょう?」
「うーむ、警備か悪く無い様な、まあ給料によるが。」
「正社員を保証しましょう。」
「そうか!ではお前に決まりだ!!」
「勿論、私に勝てたらですがね…!」
互いが一気に距離を寄せ、互いを切伏せんと剣を煌かせる。
ケルビムの剣が首を討ち取らんと動くが、それを斜めに受けそのまま払う。
バランスを崩した体を狙うが、ケルビムが身を反らした為空を斬る。
実力がある程度拮抗しているのが判る。
その後も数回フェイントを織り交ぜたが、なかなか、小手すら取らせない身のこなし。
「やはりお前はなかなかやる!」
「それはどうも、ちなみに私が勝ったら何かくれたりしないんですか?」
「何か?そうだな…俺の妹をくれてやろう!義弟にしてやる!」
「それは……見ないとなんとも言えない所ですが。」
「心配する必要は無い、お前はすぐにくたばるんだからなぁ!」
突撃する俺の目前にマントが広がる。
「クソァ!!」
飛び出た剣をギリギリで避けるが、その間に馬の首は討ち取られる。
落ちながら無我夢中でマントを掴み、ケルビムを馬から引き摺り落とした。
「グッ!!」
ビリビリに破けたマントを投げ捨て、使わずに居た円盾を構える。
対するケルビムは起き上がりながらも、背にあるバッラーを構え輝かせる。
体制が整う前にと斬りかかるが当然、バックラーで弾かれ突きが飛ぶ。
迂闊であったがなんとか身を回し避け、その遠心力をのせ剣を振るう。
反応し、剣で受けようとするが残念ながら俺の剣は膝を狙っていた。
留め金が砕け足があらぬ方向へと曲がる。
「何っ!!グッ!!!」
体制を完全に崩したケルビムの首へと斬撃を見舞った。
結果的には優勝は出来なかったが、就職先を見つけることに成功したのだった。




