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異世界バトルオブハゲウス  作者: ハゲウス
10/10

続 煉獄の試練

閑話休題

「はぁ…はぁ……。」


見渡す限りの荒野で2人、クタクタになりながらも歩き続けていた。


「ハァ…お前の国…近くにあるんじゃなかったのかよ……。」


太陽が真上にあるので、今は多分昼頃。


「うぅむ……竜の身では瞬く間であったが……人の身ではこうも……労するとは……難儀なものだ……。」


裸に焼け焦げたジャンバーだけを羽織った幼女が吐露する。

熱に耐性があるらしいのだが、どうも普通に疲れてきたらしい。

が、それもそのはず、身の丈程はいかないにしても、一振りの剣を持って少女が歩くのだ、すぐに草臥くたびれていてもおかしくはない。


「それにしても……。」


煌々と照らす太陽、20キロ以上歩いたにも関わらず、未だに居座り続けるそれを、憎たらしく眺める。


「なあ…そろそろ…日が傾いてもいい頃だと思うんだが…。」


体感的にもう夕方だが一向に傾く気配が無い…。

もう足の感覚も無いし、流石の俺も限界だ。


「何を頓痴気とんちきな事を…。」


間抜けを見るかの様な目線を受けた。

何だ…?こいつにはこの異変がわからないのか…?

しかし俺は忘れていた、ここが普通じゃ無いことを。


「もしかして、自転の周期が違うのか…。」


ゲーム内時間という奴か、いやそれはおかしい。

普通逆だろ…。


「いつまで歩けばいいんだよ…。」


途方に暮れ段々弱気になってきた。


「軟弱な……。悠久の時を…生きた…我が身には……須臾しゅゆの…戯れよ……。」


※須臾 (わずかの間)


「強気な事言って、もうフラフラじゃねぇか…ほら、剣を渡せよ、重いだろ?」


紳士な俺は、極限状態ですら、少女に対して優しさを見せる事が出来る。


「うむ、そうか…では、貴様の甘言に…乗るとしよう…。」


目論見通り、俺は剣を受け取った。


「ふう、そろそろ、杖が欲しかったんだ。」


俺は、剣を杖代わりにして足への負荷を分散した。


___不敬な!神聖なる我が身に対する冒涜です!今すぐに止めなさい!


俺には何も聞こえなかった。


「なっ…!謀ったな…!今すぐにその杖を返すのだ!」


自分の愚かさと騙された事に気がついた龍は、すぐに取り返そうとするが、身長の差が絶対的な壁となって立ち塞がった。


___ですから、私は杖ではありません!


余計な横槍は無視しつつ、俺の杖を高く持ち上げていると、痺れを切らしたのか、少女は俺の体に密着し、体を擦りつけてながらジャンプしだした。


「さっさとっ…よこせっ…!」


ま、不味い…胸が…擦れて。


「はっ、なんならそのジャンパーも、持ってやろうか?」


「なっ…戯けがっ!」


ようやく意識した様で、体を抱えながら身を離した。


「龍王である我を、その様な邪な眼で見るとは…。やはり貴様は獄焔を望むか…。」


口元を邪悪な炎で照らしながら、自らを龍王と謳う幼女は、照れ隠しか俺を睨む。

だが、俺にはその脅しはもはや通用しない。


「へっ…!この剣があればこっちのもんだ、お前の火なんか怖くねーよ!」


俺の天下だった。

この状況なら何でもし放題だし、勝者の権利を行使しても良かった。

あんな事やこんな事、いやーでもそんな…ね?


___この身を愚弄しておきながら、斯様かよう些事さじに使おうなどとは思わない事です。


え、ちょっと待って!


「ほぅ…。」


何やら刺さる視線が凶悪になった気がした。

不味い、これは…殺気…!


「あ、その、御免なさい…。」


紳士な俺は真摯に謝った。


「身の程を弁えよ…。」


許してくれたようだ。

王だけにどうやら、器は大きかった。


「とりあえず、あの岩場で休もう。」


行く先に見えた陰で休むことを提案した。

当然、さっきのやり取りでももうヘトヘトだ。


「貴様のお陰でとんだ徒労だ…。」


どうやらこいつも疲れていただけらしかった。




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