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居候猫の父の気がかり  作者: 小高まあな
第九幕 迷い仔猫の同居人
31/34

9−2

 とりあえず着替えて来い、とマオを隣の部屋に連れて行くと、次に玄関の扉をあけた。

「……あ、お話終わりました?」

 扉の横に寄りかかるようにして立ち。ケータイをいじっていたエミリに頷きかける。

「悪かったな」

「いえ」

 エミリは再び部屋の中に入りながら、

「どんな恥ずかしい言葉で、マオさんを説得されたんです?」

 悪戯っぽく笑った。

 見抜かれている。

「ほっとけ」

 苦々しく言葉を返した。

 またダイニングに戻ってくると、部屋着に着替えたマオも部屋から出て来た。首元にはしっかりとペンダントがついていて、それに少し微笑む。

「マオさん」

 エミリが立ち上がると、マオの目の前に立った。

「ごめんなさい」

 そこで頭を下げる。

「エミリさん?」

 マオが驚いたように声をかける。

「一条のこと知らなくって。研究所のことなのに、何も知らなくって。心霊写真のことも、知ってたら送らなかったのに。ごめんなさい」

 早口の謝罪に驚いたのは、隆二も一緒だった。エミリが気に病んでいたのはわかっていたが、まさかここまでとは。ずっと、この半月、どこで謝ろうか考えていたのだろう。

「え、待って。エミリさんが悪いんじゃないよっ」

「でもっ」

「エミリさんが助けてくれたの、知ってるもん。ありがとう」

「マオさん……」

 二人ともなんだか声が泣きそうになっている。おいおい大丈夫だろうな、と思っていると、

「本当、最悪の前に間に合って良かったです」

「うん、ありがとうっ」

 何故か二人して抱き合って号泣。

 なんでこうなった?

 感情の波に一人置いて行かれた隆二は、間抜けな顔をして、わんわん泣く少女達を見る。

 それにしても、緑の髪と赤い服。クリスマスみたいなやつらだなーと、どこまでもひとでなしなことを思った。


「……あー、そろそろいいか?」

 二人が思う存分泣き、落ち着いたところでそう声をかけた。

「はい、すみません」

 ハンカチで目元を拭きながら、エミリが頷く。マオはティッシュを探して彷徨いはじめた。

「あー、その引っ越しの件だが」

 置いてあったティッシュの箱をマオに渡しながら、本題を切り出す。

「決まりました? 場所」

「ああ。マオの希望で」

 その場所を告げると、エミリが驚いたような顔をした。

「いいか?」

「こちらは構いませんが……、神山さんはそれでいいんですか?」

 いいか悪いかで言われたら、正直微妙だけど、

「どこでもいいって言ったの俺だしなー」

 そう呟くと、マオがふふっと楽しそうに笑った。僅かなものではあるが久しぶりの笑みに、心の底で安堵する。

「わかりました」

 エミリも小さく微笑むと、

「それじゃあ、準備できたらご連絡しますね」

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