7−1
いつの間にか、少しうとうとしてしまったらしい。
マオは慌てて顔をあげた。
辺りは明るくなりはじめている。
今、何時ぐらいだろうな。
抱えた膝にぎゅっと力をこめた。
隆二、心配しているかな、しているだろうな。イマイチ素直じゃないし、なんか冷たいし、ひとでなしだけど、隆二はいつだって心配してくれている。
最初は、隆二が初めて自分のことを認識してくれる人だから一緒にいた。
今は違う。隆二がそういう風に優しいこと知っていて、大好きだから一緒にいるのだ。
一晩も隆二から離れていたなんて、初めてだから、寂しい。心細い。
ペンダントをぎゅっと掴む。
もうちょっと、もうちょっと待てば実体化がとける。そうすれば、隆二のところに帰れる。
そう、思った時。
「花音」
声が上から降ってきた。
全身が冷水を浴びたように凍えた。
恐る恐る上を見る。
マオがもたれかかっているビルの屋上に、あの男がいた。
「やっと見つけた。すぐに行く。待っていなさい」
そんな声が降ってくる。
冗談じゃない。
慌てて立ち上がると、ビルの隙間に体をつっこむ。
「花音」
呆れたような声がする。
「花音じゃないしっ、しつこいし!」
また何カ所か擦り傷を作ったけれども、気にしない。もうそんな細かいことはどうでもいい。
あとちょっとなのに、なんなのっ。
通りにでると、走り出す。なるべく家に近づくように。隆二の家に向かって走り出した。




