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居候猫の父の気がかり  作者: 小高まあな
第六幕 The cat is in the cream pot.
17/34

6−1

 件のファーストフード店につくと、京介似のあの女性が、困ったような顔をして座っていた。

「マオはっ?」

 挨拶や礼儀なんて抜きに、斬りつけるように尋ねると、軽く首を横に振られた。

「一階に飲み物を買いに?」

「そう。奢ってくれるっていうからお言葉に甘えちゃって。……なんかごめんなさい」

「いや」

 別にこの女性が悪いわけではない。

 というか、何があったのか今の段階ではわからない。ろくでもないことになっているのは、わかるけれども。

 飲み物を買いに行って姿を消した。鞄は持っていったようだが、ケータイがここにあるんじゃなんの意味もない。

「……俺、探すんで。万が一見つかったら、今から言う番号に電話して欲しい」

 覚えている自分の電話番号を告げると、慌てたように女がメモをした。機械音痴でも、数字を覚えることは苦ではない。

「それじゃあ」

 と、マオのケータイをもって立ち去ろうとするところを、

「待って」

 慌てたように呼び止められた。

「これ」

 渡されたのは、いつだったかペンダントを買った時のと同じような袋。

「貴方にって、マオちゃんが」

「マオが?」

 予想外の言葉に、怪訝な顔になる。

 それから、そっと袋を開けてみた。出て来たのはシンプルな革のブレスレットだった。

「今日は、それを買いに出て来たみたいよ。いつもお世話になってるからって、嬉しそうに言ってたけど?」

 付け足された言葉に、なんとも言えない気分になる。

 そんなことのために、わざわざ一人で出かけたのか。お世話になっているお礼? そんなこと、考えたりしなくってよかったのに。

 ブレスレットをもう一度袋に戻す。

 これはちゃんと、マオの手から渡してもらおう。じゃないと、素直に喜べない。喜びたいと、嬉しいと思っているのだから、俺は。

「……ありがとう」

 女になんとかそれだけいうと、足早に店を後にした。

 そうでもしないと、何故だか知らないが泣きそうだった。

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