泣けない
心臓が痛いのかこころが痛むのか
この廃虚のような感情をどう抑えるべきなのか
いつからだろう
泣けなくなってしまったのは
泣きかたを涙のつくりかたさえ忘れてしまった
鏡の中の自分はきっと悲愴な顔をしているだろう
でも堪える
堪えきる
出来る
やる
笑え
自分を痛めつけて我慢する
私は母親が死んだときさえ泣けなかった
冷酷な人間だ
いや 臆病ものだ
泣く勇気さえないのだ
どんなに楽しいことがあっても他人事のように笑うのは
綺麗な花束のお裾分けを断るのも
人を妬ましく思い続けるのも
前さえも向けずに歩くのも
悲しみを拒絶する罰なのだろうか
でも泣くことを我慢し続けていたカラダはそれを受け入れない
そうしないと生きてこれなかった私は
滑稽すぎる
涙の色は何色だろうか
涙の形はあるのだろうか
また夜が終わってしまう