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終焉の約束---あの日「天使」と交わした契約  作者: MIKA_05


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8/9

第8話 episode1 背中

今回はスマホでの投稿です!


もしかしたら、段落や空白とかがおかしくなっているかもしれませんが、帰宅後確認して修正していきます。


また、少しでも応援したい!投稿頑張ってるな など思いましたら、評価して頂けるとめっちゃ喜びます!

あの日からさらに一週間が経った。


 エルペは完全に回復し、また以前のように村中を走り回っている。火事の復興も順調に進んでいて、焼けた家の半分はすでに再建されていた。村には少しずつ、活気が戻ってきている。


 シャムの日常も、表面上は元に戻っていた。朝は父と畑に出て、昼は村の復興を手伝い、夕方になればエルペと村外れの丘で過ごす。あの日、約束を交わした丘。二人にとって、特別な場所。



 でも、シャムは知っていた。



 もう、元には戻れない。



 背中の紋様は消えない。力は増していく。毎日、自分が何か別の存在になっていくような感覚がある。鏡を見ても、同じ顔。でも、中身が違う。自分が、自分でなくなっていくような、そんな恐怖があった。

____________________



 その日の夕方、シャムとエルペは丘の上にいた。


 春の終わりの風が、草を揺らしている。村を見下ろせるこの場所で、二人は並んで座っていた。夕陽が沈みかけていて、空がオレンジ色に染まっている。


「ねえ、シャム」


 エルペが話しかけてきた。


「最近、様子がおかしいよ。何かあった?」


「え...いや、何も...」


「嘘」


 エルペはシャムを見つめた。その目は真剣だ。


「子供の頃からの友達だもん。シャムが何か隠してるの、分かるよ」



 シャムは答えられなかった。言えない。この力のこと、背中の紋様のこと、全部言えない。



「火事の時から、ずっとおかしい。あんな力、普通じゃない。シャム、何か...」


 エルペが言いかけた時――



 背中が、熱くなった。



 突然、焼けるような熱さが襲ってくる。



「っ...!」



 シャムは思わず背中に手をやった。



「シャム!? どうしたの!?」



 エルペが慌ててシャムの背中を見た。



 そして――



 目を見開いた。



「シャム...あなたの背中...光ってる...!」



「え...?」



「服の上からでも分かる...すごく、光ってる...!」



 エルペは震える手でシャムの服をめくった。



 そこには――



 金色に輝く紋様があった。



 複雑な模様が背中一面に広がっていて、まるで生きているかのように脈動し、光を放っている。美しくて、でも恐ろしい光景。



「これ...何...?」



 エルペの声が震えている。



「僕も...よく分からないんだ...」



 シャムは正直に答えた。もう、隠せない。



「火事の夜、君を助けた時...誰かに会ったんだ。光の存在に」


「光...?」


「その人が、力をくれた。君を救うために、契約をした」



 シャムは全てを話した。あの夜のこと、契約のこと、代償のこと。エルペは黙って聞いていた。



「そっか...」


 エルペは呟いた。


「だから、あんな力が...」



 二人の間に、沈黙が流れた。



 風が吹く。


 草が揺れる。


 夕陽が、さらに沈んでいく。



「ねえ、シャム」


 エルペが口を開いた。


「これ、村長さんと神父様に見てもらおうよ」


「え...?」


「だって、こんな重要なこと。一人で抱え込むのは辛いでしょ。ちゃんと、大人に相談しよう」



 シャムは迷った。でも、エルペの目を見て、頷いた。



 彼女は正しい。


 一人で抱え込むには、あまりにも大きすぎる。

____________________



 その夜、村長の屋敷に人が集まった。


 村長、神父、そして村の長老たち。シャムは大広間の真ん中に立たされていた。背中をさらして。


 神父が近づいてくる。年老いた神父は、長年この村の神殿を守ってきた人物だ。シャムが幼い頃、よく神殿で遊んでいた時、優しく見守ってくれた。


「シャム、背中を見せてくれるか」


 神父の声は穏やかだった。



 シャムは服をめくった。



 紋様が現れる。今は光っていないけれど、はっきりとその形が見える。



 神父は息を呑んだ。



「これは...」



 長い沈黙。



 神父は震える手で、シャムの背中に触れた。その手が、紋様をなぞる。



「信じられない...こんなものが本当に存在するなんて...」



 神父が呟く。



「これは...聖痕のようだ...いや、聖痕に違いない...!」



「聖痕...?」



 村長が前に出る。



「聖痕というのは...神に選ばれた者の印だよ。伝説の中にしか存在しないと思われていた...」


 神父は興奮と戸惑いが混じった表情で言葉を続ける。


「でも、私の知識だけでは断言できない。こんなに完璧な聖痕は、古い書物でしか見たことがないんだ」


 神父はシャムを見つめた。


「シャム、お前は王都に行った方がいい。大神殿には、もっと詳しい神官たちがいる。そこで正式に確認してもらうべきだろう」



 シャムは何も言えなかった。



 あの光は、神だったのだろうか。


 優しい声色だった。慈愛に満ちた姿だった。まさしく希望のような、光り輝く存在だった。


 でも、なにか...


 心の奥底で、小さな違和感がある。


 何かが、引っかかっている。



 でも、それが何なのか分からない。


 今、この場で、その不安を口にすることもできない。



「シャム」


 村長が重々しく、でも優しい声で言った。


「もしこれが本当に聖痕なら、お前は王都に行って、大神殿で確認を受けた方がいい」


「え...?」


「聖痕を持つ者は...世界のために戦う運命にあるそうだ。確認が取れるまで、ここに留まるのは...」


 村長は言葉を切って、シャムの目をじっと見つめた。


「いや、確認なんて必要ないかもしれないな。私には分かる。お前は、特別な子だ。昔からそうだった」


 村長の目には、確信と、そして父親のような優しさと悲しみが混じっている。



「明日、旅立ちなさい。王都へ、そして...もし本当に選ばれた者なら、世界のために」

____________________



 その夜、シャムは眠れなかった。


 明日、村を出る。急すぎる。心の準備ができていない。でも、もう決まってしまった。村全体が、シャムを「勇者」として送り出すことを決めた。


 窓の外を見る。星が輝いている。あの星の下に、どんな世界が広がっているのだろう。


 

お読みいただきありがとうございます!


今後も随時更新していきたいと思いますので、少しでも『切ないな』『続きが気になる』と思っていただけたら、**ブックマークや評価(★)**で応援いただけると、執筆の大きな励みになります!


よろしくお願いいたします!!

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