第10話 episode1 勇者
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村を出てから二週間が経ち、シャムはついに王都に到着した。森を抜け、街道を歩き、いくつもの町を通り過ぎて、そしてようやくたどり着いた場所。それは、シャムが今まで見たどんな場所よりも大きく、壮大で、圧倒的だった。
城壁が、空高くそびえている。石で作られた巨大な壁が、街全体を囲んでいて、その高さは村の家の十倍以上ある。門には衛兵が立っていて、出入りする人々を見張っている。商人、冒険者、旅人、様々な人々が行き交っていて、その数の多さにシャムは圧倒された。村では、一日に会う人の数は多くても五十人程度だったのに、ここでは一時間でその何倍もの人々とすれ違う。
門をくぐると、さらに驚いた。街の中は、まるで別世界だった。石畳の道が整然と続いていて、その両側には様々な店が並んでいる。武器屋、防具屋、薬屋、宿屋、酒場、雑貨屋。見たこともない商品が店先に並び、商人たちが声を張り上げて客を呼び込んでいる。そして、道を歩けば肩がぶつかるほど、人、人、人。町の中はより一層人たちが多く、老人、若者、子供、男性、女性、様々な人種。シャムは人混みに流されないように、必死に歩いた。
大神殿は、王都の中心部にあった。
街の人に道を尋ねながら、シャムはようやくその場所にたどり着いた。そして、その壮大さに息を呑んだ。
白い大理石で作られた巨大な建物。高い尖塔が空を突き刺し、ステンドグラスが太陽の光を受けて七色に輝いている。正面には大きな階段があり、その上には重厚な扉がある。神々しい。それ以外の言葉が見つからないほど、美しく、そして威厳に満ちた建物だった。
シャムは階段を上った。一段、また一段。心臓が激しく鼓動している。緊張と、そして不安。ここで、聖痕を確認してもらう。そして、本当に勇者なのか、確かめる。
扉を開けると、そこには広大な空間が広がっていた。
天井は高く、柱が整然と並び、中央には祭壇がある。神像が静かに佇んでいて、その前には神官たちが祈りを捧げている。シャムが入ると、一人の老神官が近づいてきた。
「ようこそ、大神殿へ」
その声は穏やかで、温かかった。シャムは緊張しながら頭を下げた。
「あの...村の神父に、こちらで聖痕を確認していただくよう言われまして...」
「聖痕を?」
老神官の表情が変わった。穏やかだった目に、鋭い光が宿る。
「背中に、紋様があるということですか」
「はい...」
「では、こちらへ。奥の部屋で確認させていただきましょう」
老神官に案内されて、シャムは祭壇の奥にある小部屋に入った。そこには他に三人の神官が待っていた。
「では、背中を見せていただけますか」
シャムは頷いて、上着を脱いだ。背中をさらす。紋様が現れる。
部屋の空気が、一瞬で変わった。
老神官が息を呑む。他の神官たちも、目を見開いて立ち尽くしている。
「これは...」
老神官が震える手で、シャムの背中に触れた。紋様をなぞる。その手が、温かい。
「信じられない...こんなものが本当に存在するとは...」
老神官は他の神官たちを見た。
「皆、どう思う?」
「間違いありません。聖痕です」
「しかも、これほど完璧な形は...古文書でしか見たことがありません」
「神話の時代以来、初めてではないでしょうか」
神官たちが次々と意見を述べる。老神官は深く頷いて、シャムの方を向いた。
「お名前を、聞かせていただけますか」
「シャムです。小さな村から来ました」
「シャム...」
老神官は優しく微笑んだ。
「あなたは、神に選ばれた方です。この聖痕は、世界を救う者の証。私は神官として五十年以上この神殿に仕えてきましたが、実物を見るのは初めてです」
シャムは戸惑った。世界を救う? 自分が?
「でも、私はまだ何も...」
「今はそうでしょう。でも、あなたにはその運命が授けられた」
老神官は祭壇の方を向いた。
「これから、多くの試練があるでしょう。困難な戦い、苦しい選択、時には絶望さえも。でも、忘れないでください」
老神官はシャムを見つめた。
「神は、あなたを見守っています」
神は、見守っている。
その言葉が、シャムの心に引っかかった。本当に? あの光は、本当に神だったのか? もしそうなら、なぜ「代償がある」と言ったのか? 神が与える力に、代償が必要なのか?
でも、今はそれを言えない。ここで疑問を口にすれば、全てが崩れる。
「ありがとうございます」
シャムはただ、頭を下げた。
「大神殿として、あなたを正式に認定させていただきます」
老神官が言った。
「これから、あなたは勇者として歩むことになる。どうか、その力を正しく使ってください」
「はい...」
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