【5】
「……でっ…、出てってよ! …って…何で鍵閉めんのよッ!? 」
器用にも、後ろ手で戸の鍵を閉める男は、私の知っている彼なのだろうか?
私の部屋なのに、私は、今直ぐ此の部屋から逃出したかった。しかし、生憎、出入り口の道は一つ。
もう一つ、逃げ道に、窓から外に出る案はあったが、隣に住むハジメちゃんの部屋に行着き、此れまでの経緯を訊かれるのは明白なので、――結局、逃げ道は、先生の横を通り、鍵を開けて扉を開けるのみ。
そうこう考えているうちに、先生は私の傍に近付き、目の前までくると、腰を下ろし、私と目線を合わせる。
「!」
「んー……やっぱ、お姉さんの方が美人だな」
ねえ? 今、目の前で、腕を組み、ウンウンと頷いてる男をぶっ飛ばしても好いですか?
米神に、青筋が浮かんだ気がする。……いや、絶対浮かんでるだろう。だって、先生の顔、引き攣ってるし…。
「待て! 俺は、確かめにきたんだって! 」
「何をだ――っ!? 」
突然、視界は暗闇に覆われる。腰に回された何かによって、其処で、私は先生に抱き締められているのだと分った。
――コレは、夢デスカ?
私より少し高い体温とか、男と女じゃ見た目では分ってるつもりだったけど、やっぱ、男の胸元は俎板ばりにペッチャンコ。でも、ソレがかえって心地いいとか。
「じゃ、なくて…っ! 」
「おい湊。大声出すなよ……先生、心臓止るかと思ったぞ」
「其れはコッチの台詞よ! 何するのよ!? 」
「何って、…ハグだけど? 」
「私が訊きたいのは理由よ、理由! ……何で、こんな事するわけ? 嫌がらせ?! 」
「…………だからさ、確かめにきたんだって…」
「だから何を……っ!? 」
体同士が密着してると、嫌でも、気付きたくない事も気付くわけだ。コレは多分、私の勘違い。……そう、思いたかったけど…。
「………男の人って…、好きでもない相手に、欲情するんデスカ? 」
「まぁ…、体は、心より正直っつぅー話だけどな。色っぽい女なら、別にアレだし」
「詰り、私は色っぽいって事ね? ふふっ…コレで、私の悪女人生スタートだわ♪」
「そんな、胸だか背中だか分らねぇ体に欲情する位ぇなら、男に欲情してた方がマシ……っつ! 」
先生の背を、力いっぱいに抓ってやった。男のクセに、よく喋る口を黙らせた処で、私は其の儘の体勢の侭、顔を上げる。思ったより、先生との顔の距離が近い事に驚き声を上げそうになるも何とか堪え、ふと思った疑問を訊ねる。
「じゃあ、…何で? 」
「………何が」
「何で、私に欲情するわけ? 」
恥ずかしい質問だってぇ事は、百も承知だ。でも、如何しても、聞きたかった。
「………如何してだと、思う? 」
「質問してる人に、質問しないでくださぁーい」
「俺は教師なんで、問題を与える側。お前は、生徒なんで、答える側」
「………何、其の理屈…」
「まぁ…、好いじゃねぇか。…じゃ、答えてもらいましょうか」
「………」
追詰めるつもりが、逆に、追詰められてしまうとは…。
――やっぱ、先生が大人で、私が子供だから?
其れに、私が浮かんだ“答え”が、もし間違っていたら、とてもじゃないが恥ずかしい。合っていたら嬉しいケド、間違っていた場合、――もう、先生と真面に顔を合わせられない。
一度吐いた言葉なのだから、また言えるだろ、と自分に言聞かせてみるが、無理だ。照れよりも、恐いという感情の方が勝っている。
「……耳の穴、かっぽじいてよく聞け! 」
意味不明な言葉を発し、先生は、更に私を強く抱き込んできた。苦しい…窒息しそう…。
――ドクンッドクンッドクンッドクンッ!
「…………え…? 」
「詰り、こーゆう事」
耳元で先生がそう囁いてきて、驚いた私が顔を上げると、先生と目が合い、気付いた時には、唇に、先生のソレが触れていた。
後書き
すみません。。こんな、グダグダで…(-_-;)
もうさっ、恥ずかしいんだよねっ!こう、甘々になっちゃうと。。((甘いかね、コレ…
次回辺り、完結させたいなぁ。。
初出【2013年2月16日】




