【4】
家に帰ってきた私を出迎えた母は、驚いた顔で「学校は? 」と訊いてきたので、具合悪かったから早退してきた…、と嘘を吐いて自室へと引っ込んだ。
部屋へ入るやいなや、私はベッドへとダイブし、体勢を変えて仰向けになり、つい先程の事を思い出す。無意識に、手は未だに熱が宿る唇へと伸び、慌てて其処から離す。行き先を無くした手をベッドの上に置き、目を瞑る。
「………何で、キスしたの…? 」
本人に直接訊きたいのに、恥ずかしいやら、期待外れの答えが返ってきそうで恐い。
――結局、お姉ちゃんの代りって、事かな…?
頬を伝う涙には気付かないフリをして、私は其の儘深い眠りに着いた。
*
「ミクぅ! 風間先生が来たわよ」
目が覚めたのは、母の声だった。
――風間先生?誰だっけ、その人?
そんな、頭の回転が悪い状態の私は、挙がった名前の人物の事などすっかり忘れていて、――部屋の中へと上げて、その人物の顔を見た時に、はたと思い出す。
「! …っ、んで…」
「可愛い生徒の御宅訪問ですが、…何か? 」
そう言って、後ろ手で扉を閉める先生は、無表情で私を見詰ていた。
貴方の考えてる事が分らない。
“好きじゃないなら、其れ以上私を、引っ掻き回さないで! ”
初出【2013年2月14日】




