表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あすの空、きみに青い旋律を  作者: 陽野 幸人
序章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/71

序章

 風に音が乗って果てしない空を飛び回る。


 鳴り止まない拍手と熱を放出する観客。

それは声であり、汗であり、心の声でもある。

歌声、ギター、ベース、ドラム、キーボード。

生まれた旋律は地面と肉の細胞に吸い込まれていった。

何度も蹴り飛ばされた大地は昨日まで考えたことがなかったと思う。

ちっぽけな人間に自身という大きい存在を激しく攻撃されるなんて。

青春の光を何粒か垂らしたバンドメンバーが舞台袖で私を迎え入れてくれた。

振り上げられた手のひらは歓喜の出会いを待ち焦がれている。


 触れ合うたびに心が飛び跳ねた。


「みんなー、やったねー!」


「うおい! うおい! うえーい! 最高っすねー!」


「た……楽し……かった……ですね」


「そう、ね。とても楽しかった」


「――オール……! ……コール! アンコール! アンコール! アンコール!」


 楽曲を催促する声援が広がっていた。

不揃いで無骨であった音が徐々に整然とした合唱になっていく。

大海の波がステージに押し寄せる。醒めない夢と興奮を手にした観客。

メンバーは求められることへの喜悦を手にしていた。


「ど……どうします……か? ア、アンコール……」


「いくしかないっしょ! アンコール! ライツ! ナウ! ナハハハ!」


「――オリジナルは、すべて演奏したから……どうするの?」


「うーん、そうだね……それじゃあ、あの曲でいこうよ!

私達が初めて合わせた……あの曲で! いいでしょ? ねっ!」



             *



 ねえ……聞こえている?

みんなの声。聴いてくれる人の声。

あなたが私たちに『繋いでくれた想い』なんだよ。

人の出会い……巡りあいって偶然じゃないって思うんだ。


『軌跡』と『奇跡』の交わり。


 私たちの想いを乗せた音楽は、きっと誰かに届いてくれる。

もう一度、私に歌わせてくれて……ありがとう。



――ねえ、聞こえているよね?


 届けたい音。届けたい言葉。届けたい想い。


 少しでもいいから、みんなにも届くといいな……。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
すっごく続きが気になります…!!続き、コツコツ読んでいきますね~…!毎回この神小説かける陽野さんの虜になってしまいそうです!!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ