第四十手
この日、月影は一人でプールに来ていた。
「流石にいつまでも『カナヅチ』ってわけにはいかないからな。今日こそ泳げるようになるぜ」
そう言うと、ビート板を両手で持ち、大きく足をバタバタしながら泳ぐ練習を始める。
すると、
「ゴルアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
と大きな怒鳴り声が鳴り響く。
「む?」
振り返ると一人の男が立っていた。
「テメーの渾身の水しぶきが俺に勢いよく降り注いでんだよ!!」
「あー、ごめんな。人のいない所で泳ぐよ。ほいじゃ」
月影がその場を後にしようとする。が、
「ちょっと待てやあああああああああああああああああ!!!!」
男が呼び止める。
「ぬ?」
「『ぬ?』じゃねーんだよ!! 俺の怒りが簡単に収まると思うな!!」
「じゃあどうすればいいんだ」
「俺と勝負しろ!!」
「また唐突だな。それであんたの怒りが収まるなら別に構わねーよ」
「いいか、俺の名前は『水野流』だ! いずれ四天王の一人になる男だから覚えておきな!!」
*
闘技場。
月影と水野が向かい合う。
「何もこんな場所で戦わなくてもいいだろ」
先に口を開く月影。
「観客がいた方が盛り上がるだろ? 大勢の客の前でテメーを叩き潰してやる!」
「そうかい」
(それにしても、よく見りゃ見るからに弱そーな野郎だ。火丸に再び挑戦する前に色んな奴を倒して経験を積んできたが、今回はとんだ人選ミスだったな。とっとと片付けるか)
「黒木月影vs水野流、勝負開始!!」
ごわぁ~ん!!
試合開始の銅鑼が鳴る。
「一気に場外に葬ってやるよ! 『ビッグウェーブ』!!」
水野が両腕を前に出すと、突如大きな波が出現。そのまま月影を襲いにいく。
「行くぜ!」
月影が首からぶら下げているギアスタルのネックレスが黒く光りだす。
「ギア発動!」
そう言うと、月影の白い髪が黒く変色し、右腕に黒いオーラが纏わりつく。
「ん?」
「『ブラックボール』!!」
月影を黒い半球ドームが包み込み、「ビッグウェーブ」を防ぐ。
「何だとっ!?」
「さあ、次はこっちの番だ」
・訂正
月影の防御技「ブラックボール」について。
今までは「黒い球」と表記していましたが、
自分が想像していたのは、地に足が付いた状態でこの技を使用した場合は「半球ドーム型」である為、
これからはこちらの表記を使います。
また、「第二十手」では「試合開始のゴング」でしたが、今回から「試合開始の銅鑼」に変更しました。




