第三十七手
「そういえば俺、ここに蜂蜜を買いに来ただけなんだけど……」
月影がふと思い出す。
「え? もしかして見学者じゃなかった?」
「あ、ああ……」
「やだもう! 早く言ってくださいよ!!」
「何度も言おうとしたわ!!」
「今持ってきますね!」
そう言うと、店の奥から大きな壺を持ってくるみつば。
「いや、こんなには要らないぞ」
「いいえ、今日手伝ってもらったお礼です! お代は要りません!」
「でも本当に貰っていいのか?」
「はい!」
「それじゃ、お言葉に甘えてありがたく頂くぜ。妹も喜ぶよ」
すると、月影が「何か」の気配を感じた。
「お姉さん、俺の後ろに隠れるんだ!」
「え? 何ですか?」
月影達のいる少し先に二メートルぐらいの大きな熊が現れる。
(蜂蜜を狙いに来たのか?)
こちらを見るや否や四本の足を使い全速力で走ってくる熊。
「チッ! しょうがねえ!!」
月影が首からぶら下げているギアスタルのネックレスが黒く光りだす。
「ギア発動!」
そう言うと、月影の白い髪が黒く変色し、右腕に黒いオーラが纏わりつく。
「『ストレート』!!」
ドン!
向かってくる熊に対して月影が真っ直ぐに力強いパンチを脳天にぶつけた。そして、そのまま呆気なく仰向けに倒れる。
(もう少し丈夫だと思ったが、もう倒れたのか?)
月影がそんなことを思っていると、
「ん?」
すぐに異変に気付いた。
「グオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!」
熊が急に雄叫びを上げ始める。
「な、なんだっ!?」
血鬼熊。
見た目は通常の熊とあまり変わらないが、怒らせると体が一回り大きくなり全身の色が血の様に赤く染まる。
そして、全てのステータスが上昇する。




