第三十三手
「でもあそこには恐ろしいモンスターがいるでチュ……。ぼく達はアイツが暴れ回るせいで餌が取れなくなったんでチュ!」
*
地上に出るため、地下を歩く月影と金華。金華が口を開く。
「ネズミ達かわいそうだな……。痩せてる様に見えたから何かおかしいと思ったぜ……」
「そうだな。だが、奴らの餌の事なんて俺の知ったこっちゃないね。俺だって腹が減って死にそうなんだ」
すると、金華が急に大きな声を上げる。
「兄ちゃんっ!! 大きな肉が落ちてるっ!!」
「何言ってんだオイィー。こんなところに肉なんて落ちて………………るううううううううううううううう!!!?」
本当に目の前に大きな肉が落ちていた。
「焼く前みたいな色してるけど、なんか漫画でよく見る肉の形だな」
「焼けば食えそうだぜっ!!」
「ああ。それにしてもこの形の肉が存在していたとはな。加工しないとあの形は再現できないって聞いたことがあるが……」
ムクッ
「兄ちゃんっ!! 今あの肉動いたっ!!」
「ははっ! 何を言っているんだい、この子は。肉が動………………いたあああああああああああああああ!!!?」
巨大な肉が起き上がる。
「なんだコレ!! モンスター……なのか!? こんなの見たことねーぞ!!」
モンスターの名前は「マン・ガ・ニク」。
一本の巨大な骨を肉が覆っており、それに四本の骨の足が生えていた。
「どうもさっきネズミが言っていたモンスターっていうのはコイツのことらしいな。勝負といこうじゃねーか!」
月影が首からぶら下げているギアスタルのネックレスが黒く光りだす。
「ギア発動!」
そう言うと、月影の白い髪が黒く変色し、右腕に黒いオーラが纏わりつく。
「出番だ。力を貸してくれ!」
月影がスマホを前にかざす。
「召喚獣『ノックアント』!!」
「ギュイ!」
四~五頭身ぐらいでボクシンググローブを付けた二足歩行の蟻のモンスターを召喚。
「ねぇ、兄ちゃん」
金華が月影に声をかけてきた。
「なんだ」
「アイツ、どうやってご飯食べてるのかなぁ?」
「知らん。とにかくちゃっちゃと倒すぜ!」
「ねぇ、兄ちゃん」
「ん?」
「アイツ、うんこするのかなぁ?」
「知るかあああああああああああああああ!! んなこたぁどうでもいいんだよ!! ここは俺ときゅう太に任せて、お前はどっかに隠れてなさい!!」
「わかった!!」
月影達目掛けて突進してくるマン・ガ・ニク。月影ときゅう太が横に飛びその攻撃を躱す。
(顔が無いのに真っ直ぐ俺達の方に突っ込んできた!? 気配を感じ取って行動してるのか!!)
マン・ガ・ニクがこちらを向き、再び突進攻撃。
「きゅう太! 奴の動きを止めてくれ!!」
「ギュイ!」
力強く返事をするきゅう太に向かって接近してきたマン・ガ・ニクが大きな骨を叩きつけるが、それを両腕で受け止めた。
「でかしたぞ! あとは俺に任せとけ!!」
月影が黒い魔力の塊を上空に向かって放つ。
「チェックメイト! 『シャドウスピア』!!」
やがて、その塊が槍の様な形になり、勢いよく降り落ち、マン・ガ・ニクに直撃! その場に倒れ込んだ。
「よし、食べるぞ! きゅう太、『ファイヤーストレート』で燃やしてくれ! 焼き加減は『ミディアム』だ!」
「えーっ、『ウェルダン』がいいよーっ!!」
「すごい! あのモンスターを倒したでチュ!!」
岩陰から先程の数匹のネズミのモンスター達が出てきた。
「なんだ、こいつら後ろから付いて来てたのか」
「おーいっ!! お前らも一緒に食べようぜっ!!」
金華がネズミ達に声をかける。
「ぼく達も食べていいんでチュか?」
「好きにしろよ」
「ありがとうでチュ! お礼に、この振れば振るほど金が出る小槌を……」
「いらん」
――その後、月影が焼けた肉を一口食べて思う。
(『レア』だコレ……)
またしばらく空くかもしれませんが、よろしくお願いします。




