第三十二手
月影と金華はこの日、丘へピクニックに来ていた。
「さて、そろそろ昼飯にするか」
「うん!」
月影がバスケットから昼食を取り出す。
「いっただっきまーすっ!!」
早々と昼食を始める金華。
「俺も食べよ」
月影がおにぎりを食べようとすると、手を滑らせてしまい、手元から落ちコロコロと急な坂を転がり始めた。
「だー、クッソ!!」
転がるおにぎりを急いで追いかけ始める月影。
「待てえええええええええええええ!! 俺のおにぎりいいいいいいいいいいいいいいいい!!」
「ちょっと兄ちゃん!! どこ行くんだよ!!」
「知るかああああああああああああああ!! おにぎりに聞いてくれええええええええええええええええええええ!!」
すると、丘を転がるおにぎりはそこそこ大きな穴へと落ちてしまった。
「あああああああああああああああ!! 急に止まれるかああああああああああああああああああ!!」
月影もその穴へと落ちてしまう――
*
――
――――
――――――
「いてて……」
落ちた場所は大きな空間になっていた。
「なんだここ……」
「おーい、兄ちゃあああああああん!! 大丈夫かああああああああああああ!!」
「ああ!! 大丈夫だ!!」
「よしっ!! 俺も今降りるぜっ!!」
「え? ……だあああああああああああああ!! 待て待て待てえええええええええええええええ!!」
ドン!
月影の体を下敷きに落ちてくる金華。
「お前まで落ちてどうすんだよ……」
「あははっ!! ごめんごめんっ!!」
「ん?」
ふと横を見ると、数匹のネズミのモンスターがおにぎりを食べていた。
「ネズ公おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!! それ俺のおにぎりいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」
「兄ちゃん、今日よく叫ぶね」
ネズミの一匹が月影に近付く。
「今のおむすび、あなたのだったんでチュか?」
「そうだよ」
「ありがとうでチュ!」
「別にテメーらの為にやったモンじゃねーけどな!! 俺の好きな塩おにぎり勝手に食いやがって……」
「美味しかったでチュよ! でももう少し塩加減は抑えた方がいいかもでチュ!」
「うるせーぞ!! グルメか!!」
とか何とか言ってしっかりメモをとる月影。
「お礼に、この振れば振るほど金が出る小槌をあげるでチュ!」
「いや、小槌よりも地上への帰り道を教えてくれ」
「それなら、ここを道なりに進んでいけば出れると思いまチュ!」
「そうかい。ありがとよ。……行くぞ、金華」
「でもあそこには恐ろしいモンスターがいるでチュ……」




