第二手
前回までのあらすじ
主人公がうんこ漏らした。
*
「大丈夫か!!」
パンツを履き替えた月影が急いで藁で組まれた家に入る。
「大丈夫です」
先程の青年はすでに元気になっていた。
「いやいやまだ寝てた方がいいぜ」
「立ち眩みで少し気分が悪くなっただけなので……」
「そうか……。そういえば自己紹介がまだだったな。俺は『黒木月影』ってんだ。アンタは確か『オベロン』って言われてたか」
「『ペペロン』です」
「ああ、『ペペロン』か。いやぁ~、さっきは本当に助かったぜ。ありがとな」
「いえいえ、月影さんのお役に立てた様で良かったです」
そんなやり取りを続けていると、どこからか笑い声が聞こえてきた。
「ふぉっふぉっふぉ」
椅子に座っている老人の笑い声のようだ。
どうやら最初から同じ家の中にいたらしい。
「おわっ!? ビックリした!! えっ? この家に住む幽霊?」
「ふぉっふぉっふぉ。違うぞい」
「じゃあ亡霊?」
「違うZOOOOOOOOOOOOOOY!! 早速キャラ崩壊さすNA! なんじゃ『幽霊』じゃないから『亡霊』っTE!!」
「じゃあお化けで」
「違うWA!! ……あれ、語尾が英語?アルファベットになってしまってるZOY……」
「それで爺さん、なんか用かい。妖怪だけに」
「だから違っ、……コホN。もうよいY。おぬし、この棒をどこで拾ったのJA。……あとおい、もう語尾元に戻SE」
月影が先程持ってきた杖代わりの木の棒に指を指す。
「ああ、アレはここに来る途中で良さそうな木の棒が落ちてたから杖代わりに使ってただけだけど」
「アレ、わしに譲ってくれんかのう。最近長年使っていた杖が壊れてしまって、新しいのを作りたいんじゃ」
「あんなんで良ければ別に譲るよ。多分もう使わんだろうし」
「本当かの!? ありがとうございます!! ありがとうございます!!」
爺さんが土下座をし、何度も自分の頭を床に叩きつけながら感謝し始めた。
「頭を上げろじじいいいいいいいいいい!! アンタさっきからキャラ変わりすぎなんだよ!!」
爺さんが態勢を戻し再び話始める。
「時にお若いの。おぬしがこの集落を訪れた理由。それは、この集落に隠された財宝が目当てであろう」
「いや違いま……」
「実はその財宝、今ここにあるんじゃよ」
「人の話を聞けじじいいいいいいいいいい!!」
爺さんが立ち上がり布の仕切りを開ける。
「おわっ!? 何だっ! まぶしっ!! 朝の日差し!? いや違う、今はそんな時間じゃない!! これは……」
「財宝じゃよ」
絵に描いたような財宝の山がそこにあった。
「木の棒をくれた礼じゃ。そこにある財宝を好きなだけ貰っていってくれ」
「いやもうゴール!?」
「ふぉっ!?」
「いやこういうのって『わらしべ長者』みたいに物々交換で少しずつ良い物に変わっていくもんじゃないの!?」
「?」
「『わらしべ長者』を知らんのかい!!」
うん、今日はここまで。
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