第十五手
月影の家にて。
月影は居間にあるソファに寝そべって、木也がテレビゲームをしているのを見ていた。
そんな月影に気付いて木也が声をかける。
「あ、兄さんもやる?」
「やらない」
即答した。
「いや兄さんもゲーム好きでしょ?」
「少し前までは遊んだけどな。今は誰かが遊んでるのを後ろで見てる方が好きっていうか」
「そんな事言わずにちょっとやってみてよ」
「えぇー、………………まぁ暇だしちょっとだけならいいか」
こうして、月影は木也の選んだゲームで遊ぶこととなった。
「じゃあコレやってみて」
「ん?」
テレビ画面に「Brave manの大冒険」と表示される。
「……コレどんなストーリー?」
「ある町の引きこもりの主人公がある日旅に出ることになって――」
「魔王倒すんだろ?」
「何で知ってるの?」
「いやありきたりだぞ。それに何だ『Brave man』って。そこだけ英語にすな」
「そう言わずにやってみてよ」
「…………わかったよ」
まず画面に表示されたのはプレイヤー名を決める画面。
「えーと、俺の名前は『黒木月影』だから『黒木月影』っと……」
「いやフルネーム!?」
「おん?」
「兄さんゲームで遊ぶ時、いつもフルネームでプレイしてたの!?」
「う~ん……、あー、よくよく思い返してみれば『つきかげ』とか『ああああ』にしてたかも」
「そうでしょ。まぁどっちにしてもこのゲーム、漢字は使えないし、四文字までしか名前入力できないからね」
「なるほどな。じゃあ『まりこ』で」
「なんで!?」
「この名前にした方が女だからなんかお色気やら何やらで値引きとかサービスしてくれるかもしれないだろ」
「いや勇者ゴリッゴリの男ですけどっ!?」
「なんだ、女選べねーのかよ」
「このゲームは男主人公限定だよ」
「じゃあしょうがないから『くろき』で始めるか」
「苗字の方でプレイするんだ……」
こうして、勇者「くろき」の冒険が始まった。




