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いつもと違う帰り道で。

作者: beatrice

 私が高校生の時の事です。

 Y線N駅から自宅まで帰るのに自転車を使っていたのですが違うルートを使うのが好きでその日は1番遠回りなルートを走っていました。

 その道はバス通りですが交通量は多くなく何度も走った道なのですが、その日はいつもと違う感じがしました。

 何と言えば良いのか。そう、全く違う世界に投げ込まれて私だけが異物になったように思えて真夏なのに鳥肌が立ち、寒気も感じていました。

 早く家に帰ろうと漕ぐのを速めようとしたのですが身体がズンっと重くなり終いにはよろけてしまいました。

 初めて感じる恐怖に歩道で蹲っていると何処からか視線を感じたのです。通り過ぎるバス、アパートのベランダ。人がいそうな場所にくまなく目をやるのですが私を見ている人は誰もいませんでした。

 ですが気付いたのです、視線をどこから感じるのかに。

 それは遥か頭上、雲一つない濃い青空からでした。空に浮かんだ眼が瞬き一つせずにじっと私を見ているのです。

 私はあまりの怖さに鞄や自転車の事も忘れて走って逃げました。泣きながら家に駆け込んだ私を母や姉が宥めてくれましたが体験した事を話すと怪訝な顔をしながらも置き忘れた鞄や自転車を姉が取りに行ってくれましたが眼は無かったと言っていました。

 それ以来その道を使う事は止めたのですが、社会人となり地元を離れた今でもこの季節になると視線を感じるのです。

 雲一つない青空から降り注ぐ視線を。

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