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第三話


 これは、とある異世界の物語である。


 その世界は戦隊ヒーローが現実に存在し、そして――――








「うきゅきゅきゅきゅっ! オデは吸血怪獣リーチッチ! 世界中の生物から血を吸って殺してしまうんだな!」

「「キー!」」


 人々が逃げ惑う中、悪の組織ガイチューンの幹部が数多のガイジャーを引き連れて町を闊歩する。


 だが、そんな彼らの前に立ちはだかる者たちが。


「待てぃ! そうはさせんぞっ!」


「あいつ前回のやつとキャラ被ってない? 前回も血を吸う……」


「イエローは黙れっ‼」


 若干グダグダではあるが、今回もレッドの活躍により予定調和の流れは守られようとしていた。


「き、貴様らは!」


「赤き炎の戦士! レッドフレア! イエロォ、分かってるな?」

「青き水の戦士! ブルーアクア!」

「緑の風の戦士! グリーンエアー!」

「こ、金色の大地の戦士! イエローガイア!」

「黒き闇の戦士! ブラックコスモ!」


 決めポーズをとり、五人は声を合わせて名乗りを上げる。

 レッドの睨みが利いているおかげで、イエローの名乗りも完璧だ。


「「我ら! 五人揃って五色戦隊カラーレンジャー‼」」


 背後の爆発も決まり、レッドは満足気に頷く。


「現れたんだな、カラーレンジャー!」


「「キー‼」」


「ガイチューンソルジャーたちよ、かかるんだなっ!」


 なんとなく裸の大将を連想させる、吸血怪獣リーチッチ。

 だが実力は確かなようで、彼に付き従う百体以上のガイジャーたちが五人に襲い掛かる。


 なお、普通なら戦闘員は二十~三十人なのだが、イエローが居てはそれだと話にならないからと、ガイチューン上層部が増員してくれたのである。焼け石に水だが。



「くらえっ! レェェェェッド、クラァァァッシュ‼」



 赤い光を纏った剣戟が放たれ、数名のガイジャーが戦闘不能となる。



「いくぞっ! ブルゥゥゥゥ、スピアァァァッ‼」



 目にも止まらぬスピードの槍技が、ガイジャーの何名かを吹き飛ばす。



「決めるわよっ! グリィィィィン、エナジィィィィッ‼」



 グリーンが放った愛の波動が、数名のガイジャーを蹴散らす。


 グリーンの前には明らかに前回よりも多くのガイジャーたちが列をなしていたが、彼女は気にせず複数回の必殺技を放ち、それらを蹴散らす。


 どうやら悪の組織内に、彼女のファンクラブができたようだ。



「うおぉぉぉ! イエロー手加減ビーム!」



 今回も限界まで手加減されたイエローのビームによって、二十数名のガイジャーが戦闘不能になる。



「これで! 終わりだぁっ‼ ブラァァック、シュータァァァ‼」



 嬉しさのあまり満面の笑みでブラックが放った光線銃は、ガイジャー十数名を吹き飛ばして戦闘不能にする。

 今回も無事に必殺技を当てられて、ブラックはとても幸せそうだ。


 そうして倒されたガイジャーたち。

 残るガイジャーたちも五人の連携によって戦闘不能に追い込まれる。


 やがて全てのガイジャーが倒れ、あとは幹部のみとなった。


「おのれ! ガイチューン幹部、吸血怪獣リーチッチが相手なんだな!」


「よし! ここまで最高だ! いくぞ、みんな! 油断するなよ!」


 ガッツポーズのレッドを先頭に、リーチッチと五人の闘いが始まる。

 ただしイエローは、戦闘のフリだけとレッドに念を押されているので、実質はリーチッチと四人の闘いだ。



「食らうんだな! 必殺……血液分身なんだなっ!」



 そう叫ぶと、リーチッチは口から赤いドロドロの物体をいくつも吐き出す。

 するとそれらはリーチッチとそっくりな形になり、カラーレンジャーへと襲いかかるのだった。


「なにっ⁉」


「分身はまだまだ増やせるんだなっ! 五対一でも苦戦していたオデと同等の力を持った分身が、お前たち一人に複数体襲い掛かるんだな? いつまで耐えられるかな?」


 その言葉通り、リーチッチの分身体はあっという間に四人を追い詰める。

 何故かイエローは放置されているが、そこはリーチッチもやるだけ無駄と理解しているのだろう。


「いやあああぁぁ!」


 四人の中で先に敗北したのは、グリーンだった。

 彼女の悲鳴に慌てるが、レッドもブルーもブラックも分身体の相手で手一杯で助けに行けない。


「うきゅきゅきゅきゅ! こいつから吸血してやるんだな。まずは邪魔なスーツを脱がせるんだなァ?」


「近寄らないでっ! 変態っ!」


「オデは人間の裸なんて興味無いんだな? けど、仲間たちにあられもない姿を見られながら吸血されて死ぬなんてのも()()なんだな? うきゅきゅきゅきゅ!」


「くっ……!」


 分身体に押さえられて為す術の無いグリーンのスーツへと、リーチッチの腕が伸ばされる。


「止めろぉ! グリーン!」

「くそぉっ! どうすることもできないのかっ!」


 仲間の叫びも虚しく、リーチッチが彼女のスーツを掴む。

 顔を赤らめる彼女に構いもせず、リーチッチはグッと腕に力を籠めた。



「イエロービンタァ」



 そんな気の抜けた声とともに、リーチッチは分身体ごと空の彼方へと飛ばされた。

 レッドたちと闘っていた分身体も、本体から離れたせいか霧散して消えてしまう。


 唖然とするカラーレンジャーの面々だったが、すぐに一人が鬼の形相で動き出す。


「イィィィエェェェロォォォ?」


「なんでだよっ⁉ 今回はオレ、ファインプレーだっただろ⁉」


「きぃぃさぁぁまぁぁぁ!」


「いやいやいや? グリーンのピンチ助けたよね? ねぇ、グリーン?」


 危うく仲間の目の前で裸にされそうだったグリーンは、イエローの問いかけに大きく頷く。

 だがしかし、レッドの怒りは治まらない。


「てんめぇぇぇぇ! もう少しでお約束のお色気シーンだったのに! 助けるならグリーンの肌とか胸元が見えそうになってからだろうが‼ 全く脱がされてないうちから助けてどうすんじゃコラァ⁉」


「……今回はオレ、間違ってないと思う」

「……レッド、最低。見損なったわ」


 ドン引きのイエローとグリーンだったが、猛るレッドの背後では、ブルーとブラックが微妙な表情をして顔を見合わせていた。

 どうやら彼らも、口に出さないだけでレッドと同意見だったようだ。



 そうしてチームに亀裂を走らせつつも、今回も世界の平和は守られたようで。








 ……まあ、頑張れグリーン。


 男なんて皆そんなもんだから。

 だけど、レッドみたいなやつとは絶対二人きりにならないようにね。



明日も投稿します。


※リーチ(Leech)=ヒル

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― 新着の感想 ―
[良い点] これはイエロー空気読まないと(笑) すべてを救ってこそ真のヒーロー( ´艸`)
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